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立ち枯れ

土に還ってゆく木や枯れ葉が美しいと思う。なんとなく優しい感じがするから。

台風が来たり、強い雨風の数日後。山に散歩に行くと、木にびっしりとキノコが生えているのを見かけることがある。大きくて丸みを帯びたキノコや、蝶の花びらのように細かなキノコなどいろいろ。

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周りの木には生えていないのに、その木だけに茸が生えている。嵐のあとに、そんな木がポツポツとある。
幹全体に小さなキノコを生やしたものは、遠くから見るとまるで真っ白な木に見えるほど覆いつくされている。

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なぜそんな風になるのか気になって調べたら、立ったまま枯れてしまった木にはキノコが生えてくることがあると書かれてあった。

素人目にはまだ生きているように見えたが、その木は死んでいたのだ。
分かりやすく倒れて枯れているのではなく、立ったままで。

悲しいけど優しい。なんとなく羨ましい。
死してなお、他の生き物の糧になれるなんて。

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長い時間を生きて、いつか枯れる。

そしてゆっくり倒れて朽ちていく。ゆっくりゆっくり土に還っていく。
他の糧になりながら土に還っていく。その姿が美しいと思う。


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