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餅つきのある風景【今日の余録】

今日の余録は、マンションの餅つき大会がテーマ。
都会で行う餅つき大会が、地域コミュニティの活性化だけでなく、災害時の備えという重要な役割を担っている点が興味深かった。

一般的に、田舎のほうがコミュニティの結びつきが強いと言われる。
しかし実際はどうだろう。
地域によって違うだろうが、田舎には変なしがらみがあったり、お互いの事情を知りすぎているがゆえの遠慮があったりする。
適度な距離感を保てる都会のほうが、むしろ気楽にコミュニティを構築できるのではないかと考えさせられた。

僕自身の餅つき経験は、小学校高学年時の学校行事で1、2度経験した程度だと思う(よく覚えていない)。
母方の実家は農家で、毎年餅つきをしていたと聞くが、実際にやっているところを見たことはない。
訪れたときは完成したものを美味しくいただくのが常だった。
父方の実家では、祖父が餅つき機を使用していた。
ほんのり寂しい気持ちになった記憶がよみがえる。

餅つきの歴史は約2千年前まで遡る。
稲作信仰に基づく神聖な儀式として始まった。
稲には「稲魂」や「穀霊」が宿ると考えられ、餅には新しい生命を再生させる霊力があると信じられてきた。
餅つきには最適な日があり、最も適した日は12月28日。
末広がり」を意味する8の字が、発展や繁栄を象徴するからだという。
逆に、例えば以下の日に餅をつくのは避けたほうがいいらしい(地域によって異なる)。

  • 12月24日:「死」を連想させる

  • 12月26日:「ろくでもない」「ろくなことがない」

  • 12月29日:「二重苦」「苦持ち」

  • 12月31日:「一夜飾り」となり、神様に対して失礼に当たる

また、餅つきは一人ではできない作業だ。
つき手」と「合いの手」が協力し、リズミカルに作業を進めなければ、美味しい餅は完成しない。
この共同作業を家族や地域で大々的に行うことで、絆を深める社会的意義としても重要な役目を果たしていたのではないか。
先人たちのさまざまな知恵が詰まっている餅つきが、廃れていく傾向にあるのは勿体ない気がする。
母方の実家なら、杵と臼が蔵にまだ眠ってそうだなあ。


今日の余録と参考資料


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