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大正から令和、"米"の物語は尽きない【今日の余録】

大正七(1918)年、富山県の主婦たちが米の県外移出を阻止しようと立ち上がった。これが「大正米騒動」の始まり。その切迫感を伝える言葉として、「竹槍で刺す」と報じられたケースがある。ただし、このフレーズは当時の地方紙『北陸タイムス』が比喩的に用いただけらしい。それでも、日雇い労働者の日給が1円なのに対し、米価は1升50銭という時代だ。収入の半分が食費に消える苦境は深刻で、一揆の波は名古屋や大阪へ広がり、軍隊出動まで招いた。というのが大正時代の米騒動のあらまし。

そして100年以上を経た現代。コメの高騰から「令和のコメ騒動」と呼ばれ、世間が騒がしくなる。昨年8月には60キロ袋が2万3千円を超えたとも報じられた。「テンバイヤー」による買い占めや、政府が備蓄米をわずか21万トンしか放出しなかったことが原因とされる。一方、インバウンド需要は伸びているが、国内消費全体に占める割合は0.5%ほどらしい。100年前と比べ社会は激変したとはいえ、米をめぐる思惑や混乱はどこか似通っているようにも思える。

ところが最近、僕らの当たり前をさらに揺さぶる情報が出てきた。1,083の栽培品種と446の野生種を解析した結果、ジャポニカ米もインディカ米も中国・珠江流域から生まれた可能性が高まっているのだ。これまで有力とされてきた長江流域説やガンジス川説を覆す新説だ。歴史も市場も科学も、コメはまだまだ新たな物語を秘めていそうだ。

コメの歴史と科学もなかなか興味深い。
興味深いが、まずは値段の高騰をなんとかしてほしい🙃

今日の余録と参考資料

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