こん棒からドル箱へ、変わる外交の本質【今日の余録】
余録を読んで、真っ先に気になったのは冒頭に登場する風刺画だった。早速検索してみると、確かにセオドア・ルーズベルト大統領が巨人ガリバーのように描かれ、太いこん棒を担いでカリブ海を闊歩する姿が目に飛び込んでくる。
「世界史の教科書で見たという人も多いだろう」とあるが、僕自身は見た記憶がない。受験のために世界史は選択していたものの、授業を真面目に聞いていなかった記憶のほうが鮮明に甦る。単に忘れているだけなのかもしれないが😇
余録の「こん棒に加えてドル箱も手にしている」という表現は印象深い。かつての「こん棒外交」は力の誇示が主な目的だったが、現代では経済的な利害がより露骨に前面に出ていることを、うまく表現している。痛烈な皮肉に思えるが、当の本人は意にも返さないだろう。
さらに、次期大統領トランプ氏への強い警戒心も透けて見える。たしかに、国際政治にそれほど詳しくない僕でさえ、この先の日米関係や経済への影響が気になってしまう。パナマ運河の「返還は大きな間違い」という発言や、グリーンランド購入を持ちかける姿勢からは、すでに具体的な力の行使を視野に入れているようにも見える。
「世界の警察官」を自任してきた米国の姿勢は、時代が変わっても本質的には変わらないのかもしれない。ただ、かつての外交には、少なくとも理念や大義名分という装いがあった。「殉教者の日」という言葉の重みを、改めて考えさせられる余録だった。