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セリエAの選手の出身国の構成 男子編

Q. 2021/2022シーズンのセリエAの男子1部のチームに所属していた日本人選手は何人?
 
A. 3人 (ISHIKAWA Yuki, TAKAHASHI Ran, NISHIDA Yuji)
 
 これも1つのバレーボールのデータであることは確かですが、このデータがチームや選手のプレーや結果にとってプラスに働くようなことはありません。何年かしたらクイズの問題になるくらいでしょうか。
 
 しかし、こうしたデータも範囲を広げると意味が変わってきます。
例えば、
 
Q. 2005~2009年に毎年5~7人セリエA男子1部に所属していた選手がいて、欧州の中でも多くの選手がセリエAに所属していたのに、2010年以降その数を減らした国は?
 
 この問題はこの後見ていくデータを集計しながら考えたので、よほどセリエAの事情に精通した人でないと答えは出てこないと思います。
 
 この答えはチェコ(Czech Republic: CZE)になりますが、こうして一定の期間の人数の増減を追いかけると、ただの数字以上の意味が産まれてきます。例えば、
 
チェコが2010年以降、セリエA1部に所属する人数を減らした理由は?
 
 このような疑問が湧いてきます。これは数字の増減を見ても解決しない問題ですが、いくつか原因を推定することができます。
 
・チェコが2010年以降、セリエA1部に所属するレベルの選手を輩出できなくなった。
・イタリア以外のリーグ(自国を含む)への進出にシフトした。
 
 他にもあるかもしれませんが、このような可能性が考えられます。
 
 このように、所属する選手の出身国からその国の栄枯盛衰や対外的なイタリアセリエAの魅力のようなものを見ることができるようになるかもしれません。
 
 そこで今回は男子イタリアのセリエAに所属する選手の出身国をカウントし、2000/2001シーズンから2021/2022シーズンまでの変化を集計してみました。 

出身地域の推移

 データを集計したところ、選手の出身国が60を超えてしまい、全てを一括して集計するには多すぎました。
 
 そこで、まずは以下に示す選手の出身国が所属している地域の連盟で分類し、その変化を追いかけて見ることにしました。
 
・イタリア(ITA)
・欧州バレーボール連盟(CEV)
・北中米バレーボール連盟(NORCECA)
・アジアバレーボール連盟(AVC)
・南米バレーボール連盟(CSV)
・アフリカバレーボール連盟(CAVB)

 
 イタリアは欧州バレーボール連盟:CEVに所属していますが、自国ということで別枠としています。以降は上記の略称を用いてデータを集計します。
 
 最初に男子1部(A1)の出身地域のデータを以下の図1-1に示します。

 出身地域の割合を横の軸にとり、地域によって色を変えています。縦の軸に葉シーズンを取っており、上に行くほど直近のシーズンとなります。
 
 データを見ると、2004/2005シーズン頃まではイタリア(ITA)の割合が70%でしたが、以降は少し減少して60%程度になっています。
 
 他の地域は、欧州バレーボール連盟(CEV)はイタリアに次ぐ割合を占めていますが、割合自体に大きな変化はありません。南米バレーボール連盟(CSV)は2000年代の割合が高かったものの、2010年代は少なくなっています。一方、北中米バレーボール連盟(NORCECA)が2010年代に入ってからは増えているでしょうか。
 
続いて、男子2部(A2)のデータを以下の図1-2に示します。

 2部で特徴的なのはイタリア(ITA)の割合で、2000/2001シーズンでは80%程度だったものが、2010年代に入ると90%を超えています。
 
 これは、2部が外国人選手にとってあまり魅力的な舞台ではなくなったことを意味するのではないでしょうか?原因としては、金銭的な報酬に魅力がないのか、それとも1部へのステップアップの可能性に賭けるために所属する魅力にも欠けるのかもしれません。
 
 データから原因はわかりませんが、次の検証につながる仮説を抽出するために、今回のようなデータが役立つわけです。
 
 最後に、設立は2019/2020シーズンと間もないですが、男子3部(A3)のデータを以下の図1-3に示します。

 基本的には2部と同様にほとんどがイタリア(ITA)によって占められるというデータです。

欧州バレーボール連盟(CEV)の変化

 次は地域ごとに国別の選手の人数の変化を見ていきたいと思います。最初に見るのはイタリアを除く欧州バレーボール連盟(CEV)に該当する国になります。
 
 全部で38ヵ国もあるので図1のようなグラフにするには情報量が多すぎます。そこで、各シーズンで所属選手の多い上位3ヵ国を集計してみました。データを以下の表1に示します。

 表を見るとセルビア(SRB)は、この20年多くの選手をセリエAに送り込んできていることが分かります。また、先述したチェコ(CZE)の特徴も確認できると思います。
 
 他にも、2000年代に何度か登場するフランスは、2010年代入ってその数を伸ばしてきています。
 
 全ての国のデータを紹介できませんでしたが、様々な国の動きが見えてきたと思います。
 
 このデータは1部のデータでしたが、2部と3部はほとんどイタリア人が所属しているため、以降のデータも1部のみ見ていこうと思います。

北中米バレーボール連盟(NORCECA)の変化

 次に、北中米バレーボール連盟(NORCECA) 該当する国の人数の変化を見ていきます。こちらは7ヵ国なので、グラフにしてみることができますので以下の図2-1に示します。

  2010年代に入ってアメリカの人数が増えていることが確認できます。また、アメリカほどではないものの、カナダも数を増やしています。図1-1で見たNORCECAの増加はこの2国に依るところが大きいようです。

アジアバレーボール連盟(AVC) の変化

 次は少数になりますが、アジアバレーボール連盟(AVC)のデータを以下の図2-2に示します。

  オーストラリアの選手はコンスタントにいますが、日本を含めた他の国はパラパラと見られるくらいです。

南米バレーボール連盟(CSV) の変化

 次は南米バレーボール連盟(CSV) のデータを以下の図2-3に示します。

 2000年代後半は10人から20人の選手を送り込んでいたブラジルですが、2010年代は10人以下に落ち着きます。10人以下といっても、欧州バレーボール連盟(CEV)の国々と比べても十分多く、セリエAに多くの選手を送り込んでいるといえます。
 
 近年はアルゼンチンも数を増やしつつあります。

アフリカバレーボール連盟(CAVB)の変化

 最後はアフリカバレーボール連盟(CAVB)のデータを以下の図2-4に示します。

  アフリカからはシーズン1人いれば珍しいという状況は2000/2001シーズン以降変わっていないようです。以前はエジプトから、近年はカメルーンの選手がいるという違いはあります。

まとめ

 以上、セリエA男子の所属選手の出身を集計しました。人数だけ見てもわからないことはありますが、それでも色々なことが見えてくると思います。できれば各国のこうした動きが分かれば世界の潮流が見えてきて、それに対して日本はどのようにあるべきか、という道も見えてくるかもしれません。そのあたりはもっと先の課題として、次回は女子のデータを見てみようと思います。
 
 今回のデータの集計の良い所は、実際にやったことは選手の出身国をカウントしただけなので、その気になれば小学生でもできるところにあります。もちろん、数えるだけではなく、それをまとめる作業もあるので、小学生後半から中学生向けの課題でしょうか。
 
 夏休みの自由研究のテーマが決まらなくて困っている小中学生もしくはその親御さん、こんな題材はいかがでしょうか?
 
 今回分析したデータは、以下のリンクより利用可能です。

 使ったファイルは以下になります。
 
・Lega_playerlist_2000-2021.csv
・Lega_f_playerlist_2000-2021.csv
 
データ元

 











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