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菊池雄星選手の移籍前後の投球内容の変化

 前回の分析では、2024年の菊池雄星選手のBlue JaysからAstrosへの移籍後の成績の変化を集計しました。

 前回は主に投球の変化量やリリースポイントに注目してデータをまとめたのですが、今回は投球位置と空振りに注目してみたいと思います。
 
 前回もどの位置に投球してその結果はどうなったかというプロットは作成したのですが、例えばインコースとアウトコース、高めと低めではどう違うのかを視認に頼る必要があります。
 
 そこで今回は下図に示すような投球位置の区分ごとに、投球割合と空振り率を集計し、移籍の前後でどう変化したかを見て行きたいと思います。

投球位置の変化

 最初に見るのは、対左打者へのストレート(4-Seam Fastball)の投球位置の移籍の前後での変化を以下の図1-1-1に示します。

 左側がBlue Jays所属時の投球で、右側がAstrosへの移籍後の投球になります。各投球コースの上側に投球数を、下側にその内訳を示しており、投球が多いコースにはより濃い色を付けています。この投球位置は、捕手と審判側からの視点なので、左打者はゾーンの右側に立つことになります。
 
 データを見ると、Blue Jays所属時は全体的に右側、つまりは左打者のインコースのほうが投球は多いですが、Astros移籍後は、左側のアウトコースに少し重心が移動したでしょうか。それほど大きな変化ではありません。
 
 同様の集計を対右打者で行ったものを以下の図1-1-2に示します。

 右打者は図の左側に立つことになります。
 
 Astros移籍後は、右側のアウトコース、特に高めのボール球への投球が増えています。
 
次に、スライダー(Slider)のデータを以下の図1-2-1と図1-2-2に示します。

 図1-2-1の対左打者では、Astros移籍後は、左側のアウトコースへの投球が多くなっていることが分かります。図1-2-2の対気味打者では、Astros移籍後は、左側のインコース低目のボール球が最も多いのは同じなのですが、全体としてはアウトコースへの投球が多くなっています。
 
 続いて、カーブ(Curveball)のデータを以下の図1-3-1と図1-3-2に示します。

 Astros移籍後はカーブの投球自体が減っていますので、一応色をつけてはいますが、サンプルが少ないので何が変わったかをこのデータから判断するのは少し危険です。
 
 最後に、チェンジアップ(Changeup)のデータを、左打者には投げていないので、対右打者のデータを以下の図1-4に示します。

 チェンジアップ(Changeup)もAstros移籍後は左側のアウトコースへの投球が多くなっています。
 
 全体的に見て、Astros移籍後はアウトコースへの投球が増えているでしょうか。

空振り率の変化

 ここまではコースごとの投球割合を見てきましたが、次は空振り率を同じように集計していきます。ストレート(4-Seam Fastball)のデータを以下の図2-1-1と図2-1-2に示します。

 空振り率の高いコースに濃い色を付けていますが、投球数の少ないコースに1つ2つ空振があると、空振り率は非常に高い値になってしまいます。その点注意してみる必要がありますが、図2-1-2の対右打者に対しては、アウトコースで全体的に空振り率が移籍後は高くなっているでしょうか。
 
 次に、スライダー(Slider)のデータを以下の図2-2-1と図2-2-2に、カーブ(Curveball)のデータを以下の図2-3-1と図2-3-2に示します。

 図2-2-1の対左打者へのスライダー(Slider)では、移籍前はインコースでの空振りが多いですが、移籍後は空振りが減少しています。カーブ(Curveball)に関しては、投球割合と同じく、このデータから判断するのは少し危険なので止めておきます。
 
 最後に、チェンジアップ(Changeup)のデータを以下の図2-4に示します。

 Astros移籍後はアウトコースでの空振りが多いでしょうか。

まとめ

 以上、コースごとにざっくりと特徴を集計しました。全体的に見て、Astros移籍後はアウトコースで勝負する傾向が強くなったと思います。これが投球成績が改善した傾向なのでしょうか。この辺りはもう少し調査が必要かもしれません。

データ元

タイトル画像:いらすとや

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