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カーブのリリースポイントと身長の関係

 これまでリリースポイントと身長の関係を色々と分析してきました。
 
 発端としては下記のリンクにあったJoe KellyとHeath Hembreeという2人の投手についての記述です。

 シーズン中に得意のスライダーが上手くいかなくなった時、リリースポイントの高さが下がっていることを発見して、それならということでカーブを導入して切り抜けたところが肝です。
 
 リリースポイントと相性の良い球種があるという話だと思うのですが、各投手のリリースポイントは投手の体の大きさによって変わってきます。なのでリリースポイントの高さのデータを見るだけでは、投手にとって相性の良い高さはわかりません。
 
 現代の技術を使えば、おそらく投手の腕の回転や角度も測定可能だとは思いますが、まだ公開されているわけではないので、次善の策として、選手の身長と照らし合わせることでリリースポイントの高さを数値化して分析してきました。
 
 今回は、カーブの丁度良いリリースポイントはどのくらいかということで、ボールの変化量の大きさとリリースポイントの関係を見て行こうと思います。

分析対象

 分析の対象は、2022年と2023年に年間100イニング以上記録のある投手、且つ持ち球にカーブのある投手です。彼らのカーブの変化量とリリースポイントを慎重で除算した値との関係を分析しました。

カーブの変化量とリリースポイント

 それでは、まずは左投手のデータを以下の図1-1に示します。

 縦の軸には垂直方向への変化量、横の軸には水平方向への変化量の値を示しています。左投手のカーブの場合、図中の矢印の方向へ、つまりは斜め左下方向へ落ちていくような変化と取ります。
 
 そして、図中のプロットの色がリリースポイントの高さの値(高さ/身長)になります。これが1.0より大きいと、自身の身長より高い位置から投げていることになり、より高い位置から投げるほど濃い赤色のプロットになります。
 
 図中の左下、この辺りは変化量が水平方向にも垂直方向にも大きいボールとなりますが、この辺りのプロットの色は少し薄く、身長に対して0.8から0.9の間のプロットが多くなっています。やはり少し低めの位置からのほうが投球の変化量が大きくなるということでしょうか。
 
 同様の集計を右投手で行ったものを以下の図1-2に示します。


 
 右投手のほうは変化の方向が右下となります。こちらのほうのプロットが図1-1のように薄くなってるかというと、図1-1ほど県庁ではないように見えます。

リリースポイントとSpin Rate

 次に、リリースポイントとSpin Rate(回転率)との関係を確認してみたいのですが、そもそもカーブの変化量の大きさとは、即ちSpin Rateの高さといえるのでしょうか?
 
 これを確認するために、図1の集計のリリースポイントをSpin Rateに変更した図を以下の図2-1と図2-2に示します。

 Spin Rateが高いほど青いプロットとなります。
 
 どのあたりのプロットが濃くなっているかを確認したのですが、下図に示す部分でしょうか。

 垂直方向への変化がマイナスに大きいプロットは濃くなっているように見えます。水平方向の変化にはそれほど関わっていない様子。
 
 それでは、リリースポイントとSpin Rate(回転率)との関係を以下の図3-1と図3-2に示します。

 縦の軸に身長をとっており、上に行くほどリリースポイントが慎重に対して高いことを意味します。横の軸にはSpin Rateを取っており、右に行くほどSpin Rateが高くなります。
 
 図3-1の左投手では、図1-1で変化量の大きいリリースポイントが0.8から0.9辺りの投手のSpin Rateが高いというわけではないことが確認できます。図3-2の右投手でもリリースポイントとSpin Rateに関連は見られません。

まとめ

 以上、カーブのリリースポイントと変化量の関係を分析してきました。左投手からはリリースポイントが少し低めのほうが変化量が大きいという傾向を確認できたでしょうか。
 
 しかし、少々サンプル数が多くなってしまった感もあります。この場合、1球1球プロットするよりも、変化量からリリースポイントの推定値を求めたほうが分かりやすかったかもしれません。この点は、次回への反省点とします。
 
データ元

タイトル画像:いらすとや
 

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