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“得点”以外のブロックの評価

 前回はスパイクの評価に「状況」という要素を加えた評価方法を考案してみました。

 こうした既存のスタッツを改善していくためのアイデアは常に必要なもので、今回はプレーを変えてブロックについて考えてみたいと思います。

公式記録には“得点”だけ

  ブロックについての公式な記録は、ブロックによる得点だけです。確かに、ブロックの結果として得点となるのは最上の結果といえますが、得点とならなかったブロックが全て同じものと考えてよいのかというと、そうではないと考える人は少なくないと思います。

全日本は“効果”に注目する

 こうしたブロックを評価するためのスタッツの問題に対して、全日本チームは効果率を見ているという記事があります。 

 効果率とは以下の計算式のように、得点から失点を引いた値を打数で割ったスタッツです。
 
スパイク効果率 = (得点 – 失点)/打数
 
 これはスパイクの効果率なので、得点のプラスだけではなく、失点のマイナス部分の貢献も評価に加えるというスタッツです。
 
 ブロックでは、得点にならなくてもタッチを取ることが貢献につながるとあります。

ブロッカーの仕事とは?

 ブロッカーがタッチを取ってくれると、次のプレーが楽になるというのは確かかもしれませんが、狙えばスパイクに必ず触れることができるわけではなく、触ったボールの行き先を完璧にコントロールできるわけではありません。つまり、ブロッカーのタッチには、選手のスキルや選手間での連携、チームとしての戦術以外の要素に振り回されてしまう可能性も持っています。
 
 では他に、ブロッカーが個人、もしくはチームとして遂行しているプレーを評価する方法はないでしょうか?
 
 それは『相手のスパイカーに特定のコースへのスパイクを打たないよう妨害し、できればディガーのいるコースに打たせる』ということと考えます。
 
 例えば、下図のように相手のレフト側からのスパイクに対し、赤の破線で囲んだコートの真ん中にディガーが配置されることは稀で、ここはスパイクを打たれたくなるエリアといえます。こうしたエリアを避け、ディガーが配置されたコースにスパイクを打たせることができれば、ブロッカーとしてはスパイクにタッチしなくても仕事をしたといえないでしょうか。

 当然、相手によってはストレート方向のコースを閉めるかどうか、そしてチームやスパイカーにとって得意なコースがあり、相手と状況に応じた妨害すべきコースは変わってくると思います。
 
 上の図でコートを9×9で区分しているのは、この区分に従ってスパイクの着弾点をカウントすれば、スパイカーがどのコースに打ったかというのは記録が可能であるからです。1本1本の位置にそれほど意味はありませんが、1試合分まとめて集計すればどういったコースに打たれていたかという傾向が見えてくると思います。
 
 また、ビデオでの記録があれば、9×9の区分であれば目視での判定が可能ではないかと思います。もちろん、高精度な測定機材があるに越したことはありませんが、スパイクを妨害したいコースと、ディガーを配置したスパイクを打たせたいコースを1cm単位で弁別する必要もないと思いますので、できない話ではないと考えます。
 
 斬新なアイデアでも測定法でもありませんが、ブロッカーの仕事を評価する方法案の第一歩としてはこんなものかと思います。

タイトル画像:いらすとや 

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