投球数と球速のばらつき リリーフ投手編
前回の分析では投球数と球速のばらつきの関係について、2021年のYusei Kikuchi(菊池雄星)選手とBlake Snell選手の2人のデータを集計しました。
結果としては、投球イニングが進むごとに平均球速のばらつきは小さくなるというものでした。2人は先発投手だったので、今回はリリーフ投手のデータを見てみようということで、以下の表1からLucas Sims選手とDillon Maples選手をピックアップしてデータを見ていきたいと思います。
この表は前々回の分析で用いたもので、全員ストレートの平均球速が95m/h付近の投手となっています。
投球数と球速のばらつき
それでは、2021年のLucas Sims選手とDillon Maples選手のストレートの球速と投球数との関係を、以下の図1-1と図1-2に示します。
これは横の軸に投球数を、縦の軸に球速(m/h)を取ったものです。前回の先発投手と比較すると、当然ながら投球数は少なくなります。
データを見ると、投球数が増えると球速が上がっていそうに見えます。ばらつきはどうでしょう?なんともいえないところ。
次に、10球ごとに平均球速と標準偏差を求めたデータを以下の図2-1と図2-2に示します。
真ん中の折れ線が平均球速の変化を、上下の色つきの部分が標準偏差の範囲となります。20球目以降、明らかに標準偏差が小さくなり、球速のばらつきが小さくなっていることがわかります。
次に、投球イニングの集計のために、登板初回(1st)と回跨ぎをしたイニング(2nd)で同様の集計をしました。2人とも3イニング目の登板はありません。データを以下の図3-1と図3-2に示します。
回跨ぎをしたイニング(2nd)で球速の標準偏差が小さくなっていることがわかります。
まとめ
以上のデータから、リリーフ投手においても、投球イニングが進むことで平均球速のバラツキが小さくなることがわかりました。
これは、回跨ぎで登板させると監督が判断した時点で、悪いパフォーマンスではない状態であるということが影響している可能性が考えられます。
前回の先発投手と投球数や投球イニングに違いはあるものの、回が進むごとにばらつきは小さくなるという傾向は共通しています。
今回も2人のデータと少ないので、次回からは対象を拡大して分析していきたいと思います。
タイトル画像:いらすとや
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