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投球の角度と打者との相性

 これまで、投球の角度についてあれこれ分析してきました。

 打球の角度については既に多くの議論がありますが、投球の角度についてはあまり言及が無かったので検証した次第ですが、打球にも投球にも角度があれば、当然スイングにも角度があると思います。
 
 そうすると、打者のスイングに対して相性の良い投球の角度というものがあるのではないか?と考えました。

 この打者はあの投手と相性が良いという評価はしばしば聞かれますが、多くは、短期的な確率の偏りである可能性を否定できません。しかし、中にはこうした投球とスイングの角度の相性が良い可能性というのもあるのかもしれません。
 
 スイングのデータに関しては、スイングスピードのデータがあるくらいで角度のデータがるわけで張りませんが、投球の角度に対して良い結果が出ているポイントが相性の良いといえると思います。今回はそのあたりを探り探りデータをまとめて見たいと思います。

打者を選ぶ

 今回は打者を2人ほど選んでデータを見たいのですが、誰を選ぶか考えたときに、平均的な身長の打者が望ましいと考えました。そこで、以下のLahman Baseball DatabaseにあるPeople.csvというファイルにある1995年以降の生まれの選手を対象にしました。

 対象選手の身長(inch)の分布を以下の図1に示します。

 最も選手が多いのは74インチ(≒188cm)でここから2024年に打席数が多い選手を探して以下の2選手をピックアップしました。
 
・Gavin Lux
・J.P. Crawford

 
 2人とも左打者ですが、2024年の彼らに対して以下の図に示すストライクゾーン真ん中に投じられたストレート(4-Seam Fastball)を打った結果を集計しようと思います。

Gavin Luxの打球の結果

 今回投球の角度のデータとして、リリースポイントの高さと投球位置の高さの差を高低差の値として用いました。高低差が大きいほど投球の角度が大きくなります。
 
 例としてGavin Luxの対左投手のデータを以下の図2-1に示します。

 縦の軸に高低差を示しています。横の軸は“estimated_woba_using_speedangle”で、これは打球の角度と速度から推定されたwOBAの値で、高いほど良い結果の期待できる打球になります。つまり、右にプロットがあるほど良い打球といえます。
 
 仮に、Gavin Luxに相性の良い投球の角度があれば、そのポイントに向かってプロットが “>” こんな感じに収束していくと考えられます。図2-1はサンプルが少ないので、以下の図2-2に対右投手のデータを示します。

 こちらは色々な打球の種類があり、色を変えています。プロットが収束していく高低差のポイントがあるかというと、高低差が2.50から4.00の間に散らばっているので収束はしていないのではないでしょうか。

J.P. Crawfordの打球の結果

 同様に、J.P. Crawfordの打球の結果を以下の図3-1と図3-2に示します。

 3.75辺りに収束しているでしょうか?強くはいえない結果です。

まとめ
 
 とりあえず打者に好みの打球があるか集計してみました。まだまだ検証が必要です。

 もう少し他の打者をあたるか、2人のデータを見てもサンプルが少なく感じたので、複数シーズンのデータに増やすというの工夫が必要そうです。
 
 データ元

タイトル画像:いらすとや 



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