打球の距離とHR
これまで、MLBのBaseball savantのLeaderboardにあるホームランのデータを用いて色々とデータを見てきました。
ここでは飛球を以下の3種に分類しています。
・No Doubters: Out at All 30 Stadiums,
・Mostly Gone: Out at 8 to 29 Stadiums
・Doubters: Out at 7 Stadiums or Fewer
“No Doubters”はMLB30球団全ての球場でHRとなる打球の意で、文句なしのHRとでも呼ぶことができるでしょうか。“Mostly Gone”は8~29のほとんどの球場でHRとなる打球、最後の“Doubters”は限られた球場でしかHRにならない打球を意味します。
面白いデータなのですが、“Mostly Gone”と“Doubters”のうち何本がHRになったのか、というデータが無いために使いにくい面もあります。
それならばということで、Statcastにある打球の距離、hit_distanceのデータを使ってHRとの関係を分析してみようと思います。
※hit_distance:Projected hit distance of the batted ball.
打球ごとに見る距離の分布
最初にゴロ(GB)、ライナー(LD)、フライ(FB)、ポップフライ(PO)という打球の種類ごとに距離の分布を確認しました。以下の図1にデータを示します。
ゴロの距離は0から右下がりで150辺りまで、ポップフライ(PO)は200辺りまでで、ライナー(LD)、フライ(FB)と距離が伸びていくという分布となっています。
距離と結果の関係
次に、打球ごとに距離と結果の関係を見ていこうと思います。まずはゴロ(GB)のデータを以下の図2-1に示します。
図1では距離1ごとにカウントしていたのですが、図を見てわかるようにグラフがギザギザになってしまっています。データを見やすくするためにも図2からは距離10ごとに結果を集計しています。
棒グラフの部分が距離10ごとの各種結果で、折れ線はアウト率を表しています。ゴロの場合、距離が延びるとアウト率が低下していくことを確認できると思います。
次は、ライナー(LD)のデータを以下の図2-2に示します。
ライナーは安打になりやすい打球ですが、アウト率の高い山が2つあるのがわかると思います。この辺りが、内野手と外野手の定位置付近の距離であると考えられます。
続いて、フライ(FB)のデータを以下の図2-3に示します。
距離200から距離300のアウト率は低めで、この辺りはポテンヒットと呼ばれる距離にあたると考えられます。そこからアウト率の高い距離が続き、350を超えるとアウト率が低くなっていきます。
最後に、ポップフライ(PO)のデータを以下の図2-4に示します。
ポップフライは基本的にアウトになる打球で、距離はあまり関係ありません。
バレルを考慮する
図2で見たライナーとフライの距離と結果の関係に、バレルかどうかという条件を加えてみたいと思います。バレルとはHRになりやすい打球の角度と速度の意です。
ライナーのデータを以下の図3-1にフライのデータを図3-2に示します。
図3-1のライナーではバレルに該当するケースは稀で、図3-2のフライでは距離が350を超えたあたりからバレルが出現しはじめます。
バレルとなった打球がどれくらいHRになりやすいか比較したものを以下の図4に示します。
バレルでないフライ(NonBarrel)と比較すると距離は同じでもHRになりやすいことがわかります。
まとめ
以上、打球の距離の整理でした。基本的なことがこれで分かったので、次回からは球場の違いに着目していきたいと思います。
タイトル画像:いらすとや
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