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ゴロの位置情報の整理
Statcastでは下図のように、野手と打球の間の距離と時間から、その打球をアウトにする難易度を求めて評価に用いています。
https://baseballsavant.mlb.com/savant-player/francisco-lindor-596019?stats=statcast-r-hitting-mlb
これはとても良いデータなのですが、野手と打球の間の距離と時間に集約することで、打球がグラウンド上のどこにあったかという情報を消失してしまっています。
これはグラウンド上の選手のポジショニングと打球の位置を両方記録していくと、1球だけを見るなら大丈夫ですが、データが増えてくると整理がつかなくなるので仕方のないことです。
そこで、今回はStatcastデータから使えそうなものを見繕って、上記の野手と打球の間の距離と時間のデータを補完することを目指し、ゴロのデータをグラウンド上にプロットしてみたいと思います。
ゴロの位置情報
ダウンロードして利用可能なStatcastデータには、打球の位置情報(hc_x, hc_y)はありますが、野手と打球の間の距離と時間のデータはありません。
そこで今回は、打球の速度(Launch Speed)に注目することにしました。打球の速度が速いほどゴロをアウトにするのは難しくなると考えられます。この打球の速度でゴロを分類し、結果を比較してみたいと思います。
ゴロの位置情報は以下の図1のようにプロットできます。
データは2020年のMLBのゴロになります。
野手が捕球した位置をプロットしているわけですが、この図では内野を抜けてヒットになった感じがいまいち出てこないと思っています。
そこで一工夫加えて、打球の速度でゴロを分類し位置情報をプロットしたものを以下の図2-1に示します。
大したことをしたわけではなく、ゴロの捕球位置とホームベースを線で結んだだけです。内野で止まってアウトになった打球と、抜けてヒットになった打球の違いが視覚的に見やすくなった(?)かと思います。
図を見ると、ヒットが増えててくるのは打球速度が60~70 m/hで、一二塁間のほうが多いのが見えます。
続いて、80 m/h以上のデータを以下の図2-2に示します。
かなり安打が増えてきたこと、100 m/hを超えると左中間に長打(2B・3B)が増えることがわかります。
個人の守備評価に使えないか?
図2はMLB全体のデータでしたが、この中からFrancisco Lindor選手(遊撃手)の守備時のゴロを抽出します。データを以下の図3-1と図3-2に示します。
Francisco Lindor選手は遊撃手なので、二三塁間のデータに絞っています。
こうして打球の速度ごとにデータを見ることで、どのくらいの速度から安打が増えてくるのか、それはグラウンド上のどのあたりの位置なのかというのが見えてくると思います。
本塁を起点に角度の範囲を指定すれば、特定のゾーンでのデータの抽出も可能になるかと思います。
今回は1人だけですが、2人の選手のデータを比較する材料に用いることもできるのではないかと思います。
まとめ
単純な図ですが、視覚的にゴロが内野を抜けたかどうかを確認しやすくなったかと思います。
次回は、フライかライナーを打球速度に応じて視覚的に表現できたらと思います。今回とは同じようにはいかないので、そこは考えどころです。
タイトル画像:いらすとや
使用データ