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投球にも角度はある

 今回のテーマは投球の角度です。打球の角度についてのデータは多いのですが、投球についてはあまりないと思ったのでデータを見て行きたいと思いました。
 
 しかし、打球の角度の話が出てくるもっと前から、“角度のあるストレート”という言葉は耳にします。これについては、“背の高い投手の投げるストレート”くらいの意味だとは思うのですが、数値化することも可能です。
 
 Baseball Savantでは、下図のように投球軌道を視覚的に見ることができます。

 例としてあげたのは山本由伸選手のストレート(4-Seam Fastball)を一塁側から見た図になります。当然ですが、直球(ストレート)とはいっても直線の軌道となるわけではなく、いくらか曲線の軌道となっています。
 
 では、どのポイントをもって投球の角度というのかという問題になりますが、ここはシンプルに下図に示したようにリリースポイントから捕球位置と考えてみたいと思います。

 これが最適かどうかはわかりませんが、最初なのでシンプルに行こうとかんがえました。図の三角形の場合、以下の図1に示す3つのデータを利用することができ、そこから角度を求めることができます。

2人の投手の投球角度

  例に示した山本由伸選手のデータはまだ少ないので、今回はMarcus Stroman選手とTyler Wells選手のストレート(4-Seam Fastball)から、投球の角度を数値化した場合、どのようなものになるかを確認したいと思います。 

 この2人を選んだ理由ですが、Marcus Stroman選手の身長は5フィート7インチなので170.2cm程度、Tyler Wells選手は6フィート8インチなので203cm程度と、要は一番小さい投手と大きい投手を選びました。

 2人がストレート(4-Seam Fastball)を投げた場合、どのくらい角度に差がつくのかを確認してみたいと思います。
 
 まずは、2023年の2人が投げたストレート(4-Seam Fastball)の投球角度の分布を以下の図2に示します。

 横の軸が角度を表し、縦の軸はその内訳を表しています。角度がマイナスなのは、投球がリリースポイントよりも高いことを意味します。
 
 Marcus Stroman選手の投球角度は2°代の前半が多く、Tyler Wells選手は3°から4°の間が多くなっています。Tyler Wells選手の身長が高いので大きな角度となるのは当然の結果ではあります。
 
 しかし、その差は1°程です。フリーハンドで三角形を描けば誤差の範囲だと思いますが、これが野球においては意味のある差なのでしょうか?
 
この投球角度を、投球位置との関係からも確認しておきたいと思います。Marcus Stroman選手のデータを以下の図3-1に、Tyler Wells選手のデータを以下の図3-2に示します。

 図中の縦軸0の高さの横線は地面のラインを表します。グレーの□がストライクゾーンを表しています。
 
 当然ながら高めへの投球のほうが角度は小さくなり、低めほど角度は大きくなります。
 
 2人の投手には身長差があるので、Marcus Stroman選手の低めに投げた投球の角度が、Tyler Wells選手の場合、高めに投げての同程度の角度となる場合があります。

まとめ:これは何かの役に立つのか?

 以上、投球の角度を数値化し、実際の投手のデータからこれを確認しました。
 
しかしまぁ、これが何かに役立つデータなのかは今の時点ではわかりません。役に立たないことが分かるということも成果ではあるので、次回からはもう少し掘り下げたデータを見て行きたいと思います。
 
データ元

タイトル画像:いらすとや

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