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バレーボール学会に向けて 2024
毎年3月に開催される日本バレーボール学会の日程が発表されました。3月18日(月)と19日(火)に明治学院大学の白金キャンパスで開催されます。
平日開催か……と行かない理由を探してくるのは簡単ですが、昨年は忙しくてお休みしたので、今年は一般研究発表に参加しようと思います。
テーマ:レセプションの精度とスパイクの結果
発表に向けたテーマですが、皆さんは昨年のワールドカップを見たでしょうか?女子日本代表は惜しくもオリンピックの切符をつかみ損ねたわけですが、中継でAパスの重要性を図解付きで強調していたのが気になりました。
というのも、手前味噌になりますが、レセプションの精度が高いことが、スパイクや試合の結果に及ぼす影響は極めて小さいという研究があります。
http://jsvr.org/archives/pdf/issue/17/jsvr17pp1-4.pdf
この研究があるので、そこまで強調することかな?と思いながら中継を見ていたのですが、ふと、思い至りました。
この研究結果が既に古いものになってしまっているのではないか?
どんな競技においても、求められるプレーは時代とともに変わります。そして、プレーが結果に及ぼす影響の強さも不変ではありません。
上記の研究で分析の対象としたのは2009年から2012年までのFIVBの主要大会のデータなのですが、気が付けば10年が経過してしまっています。
この10年でレセプションの精度に求められるものが変わった可能性は考えられないでしょうか?
というわけで、昨年のワールドカップのデータを用いて、レセプションの精度とスパイクの結果の関係を分析したいと思います。
論点としては、
・先行研究と同じく、レセプションの精度の影響は小さい
・時代は変わって、現在ではレセプションの精度の影響は大きくなった
いずれの結果に着地するのかを検証するという形です。
研究の目新しいところ
今回のテーマ、昨年のワールドカップにおけるレセプションの精度とスパイクの結果の関係が、以前の分析と同じような関係にあるのか、それとも変わってしまっているのかというところが検証のポイントになります。いわば保守点検のようなもので、あまり目新しいところが無いのが物足りないところです。
そこで、今回は使用するデータを今までにないものにしました。
先日、FIVBのサイトよりワールドカップの試合結果のデータを共有できるようにしたことは報告しています。
通常、バレーボールの記録で公開されているのは、上記で共有したように、ボックススコアと呼ばれる1試合分、または1セット分の記録をまとめて集計したものです。
このデータでも、まとまった量が集まれば様々な分析にかけることができますが、レセプションの精度とスパイクの結果の関係を分析する際には1つ問題が生じます。スパイクのデータに、レセプションからのスパイクとそれ以外のスパイクの記録が混ざってしまっているのです。これが分析の際にはノイズになってしまいます。
そこで今回は、FIVBのサイトでワールドカップのデータを見ていると、下図のように新しくPlay by Playデータがあることを見つけました。
![](https://assets.st-note.com/img/1706511944288-eOA1WBFbt9.png?width=1200)
Play by Playデータとは、試合中の1つ1つのプレーに対し、誰がどのようなプレーをしたのかという記録になります。このデータがあれば、スパイクの記録が混ざってしまうという問題を解決できますので、今回はこれを用いた分析を行いたいと考えています。
人は見たいものが見える
ところで、データは客観的なものとはいいますが、データを分析してその結果を解釈するのは人間です。そしてこの解釈には人間の信念や好みが入り込む余地があります。そこで、発表に当たり個人的な考えなど表明しておきたいと思います。
というわけで私の個人的な信念ですが、バレーボールはこうあるべきという考えはないというものになります。
なので、今回の分析が以前の分析の結果と同じように、レセプションの精度とスパイクの結果にそれほど強い関連が認められなくても、逆に強い関連が認められても、どちらでも良いと考えています。私としては、直近のレセプションの精度とスパイクの結果の関係をできるだけ正確に知りたいと考えています。
といっても、自分でも気が付かついていない信念や好みがあって、それが分析結果の解釈に影響している可能性も0ではありません。それに自分で気が付くのは難しいので、こうやって学会に持って行って批判を受けることが発表の目的でもありますので、興味のある方は会場までお越しください。
とはいえ平日開催
会場で会いましょう。と終われば綺麗なのですが、ここで平日開催がネックになって、気軽にお越しくださいといい辛いのも事実です。しかし、思い返してみれば、過去の私の発表は元々人がたくさん集まるようなものでもなく、心配はいらないのかなと思い至りました。
というわけで、分析して資料を作って発表するという行程を粛々と進めていこうと思います。興味のある人はお声掛け頂けると、ちょっと嬉しいです。
タイトル画像:いらすとや