【エッセイ】イギリスの匂い
ぼくは数ヶ月前、イギリスに短期留学に行った。
コロナが収束していないこの状況で海外に渡ることができたのは、本当に貴重な経験だったと思う。
その話はまたおいおいするとして、今日は匂いの話をする。
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イギリス留学中、ぼくはとある家庭にホームステイをした。
2週間という短い間だったけど、ホストファミリーはめっちゃ優しくしてくれた。
ありきたりな表現にはなるけれど、「第二の家族」ができたような。そんな感じ。
心の底から、「第二の家族」という表現がしっくりくると思う。
そんな温かい家庭だったから、もちろん洗濯とかも、ちゃんとしてくれたわけで。
でも、海外だからかはわからないけど、日本に比べて柔軟剤の匂いが凄かった。
臭いわけではないけど、とにかく強烈。
「柔軟剤の香り」じゃなくて、「匂い」のほうが、呼び方としてふさわしいほど。
まあ、それでも気にするほどキツイ匂いではなかったんだけどね。
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そんで、ここからは今日の話。
寝間着が無いな〜と思ってタンスを漁ってたら、留学に持っていった寝間着を発掘した。
そういえば最近着てないな〜と思いながら袖を通すと、あの懐かしい匂いがふわり。
そういえば、帰ってきてから一度も洗濯してなかったっけ。
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よく、匂いは記憶と結びつきやすいと言うけど、本当にその通りだと思う。
優しくて陽気だったホストマザーの顔とか、家とか、近くのバス停とか。
そういう、忘れかけていた他愛もないイギリスの思い出が、一気にフラッシュバックした。
走馬灯ってこんな感じなのかな。
決していい香りとは言えないあの柔軟剤の匂い。そんな匂いが、イギリスのささやかな思い出を運んできた。
今夜着て洗うとなると、あの匂いが上書きされちゃう。次にあの懐かしい匂いを嗅げるのはいつになるのだろうか。
ちょっと着るのが惜しいような気もするけど、まあいいや。
さよなら、イギリスの匂い!
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