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【絵本感想】『 きつねの窓 』



「 幻想的な世界で、失ったものを見つめ直すひととき 」




👑教科書に載った絵本👑

作:安房直子
絵:いもとようこ
出版社:金の星社



《 読書感想 》

この物語は、猟師である主人公の「僕」が山で迷い、そこで子狐に出会い、不思議な染め屋を見つけるというお話です。

狩りをするために山へ入った「僕」は道に迷ってしまいます。そんなとき、1匹の子狐を見つけ、追いかけていくと、一面に広がるきれいなききょう畑と、染め屋が突然現れます。染め屋からは子どもが出てきて、

「指を染めてみませんか?」

と主人公に勧めます。主人公が染めた指で窓を作ると、そこには狐の姿が映り、子狐はその狐が自分の母親で、人間に撃たれて亡くなったことを告げます。しかし、子狐は

「窓を通して母に会えるから寂しくない」

と言います。


最初は信じられなかった主人公ですが、自分の過去の思い出が窓に映し出されると、その不思議な力に惹かれ、銃を代わりにして指を染めてもらいます。

窓には、主人公の好きだった女の子や、失われた家、そして亡くなった妹の姿などが映り、彼は感動します。

しかし、家に帰ると、いつもの習慣で手を洗ってしまい、染めた指の力を失ってしまいます。その後、再び山へ戻って染め屋を探しますが、見つけることはできません。

それ以来、指で窓を作る癖だけが残り、時々人に笑われることがありますが、もう二度と窓には何も映りません。

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この物語を読んで、主人公の「僕」が過去の大切なものを見たいという強い気持ちに共感しました。物語の中で「僕」は、不思議な染め屋で指を染めることで、自分の思い出を窓に映し出すことができます。彼が窓を通して昔の好きだった人や、失われた家族の姿を見たとき、その感動と懐かしさが伝わってきて、私も同じように過去をもう一度見たいと感じる瞬間があるなと思いました。


しかし、手を洗ってその力を失ってしまう場面では、過去は一度失うと二度と取り戻せないという現実を痛感しました。過去に戻りたいという思いは誰にでもありますが、それを追い求めても戻ることはできない、という物語のメッセージがとても印象に残りました。


また、子狐が母親を失っても、窓を通して会えることに慰めを見つけている点も心に残りました。失ったものに対する悲しみを抱えながらも、それをどのように受け入れ、前に進むかを考えさせられました。


この物語を読んで、私は自分の大切なものをもっと大事にしたいと思いましたし、失ったものをどう心に残していくかが重要だと感じました。


この物語を読んで、私たちは「過去に戻りたい」と思う瞬間があることに気づかされます。

皆さんも、大切な思い出をもう一度見たいと思ったことはありませんか?

主人公が染めた指で作る窓は、そんな私たちの願いを映し出しているように感じます。しかし、手を洗ってその力を失う場面で、過去は戻らないものだと改めて実感します。私たちは、失ったものをどのように心に残していくかが大切なのではないでしょうか。

この物語は、その問いを私たちにそっと投げかけているのかもしれません。


いもとようこさんの美しい絵と、幻想的で切ない物語は、読書経験が少ない私でも素直に感動できました。何かを失った時に、もう一度読み返したくなる絵本です。



最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



■ ネットでの感想


真っ青な桔梗畑で子ギツネに出会ったぼくは、青く染めた指で作った窓のむこうを見せられる。そこには鉄砲で撃たれて死んだという母ギツネの姿があった。ぼくも指を染めてもらうと、昔好きだった女の子が見える。それから母や死んだ妹、焼けてしまった家も……。ずっと青い指でいようと思ったのに、帰宅したぼくは、うっかり手を洗ってしまう。

真っ青な桔梗畑で子ギツネに会った僕は、青く染めた指で作った窓を見せられる。そこには死んだ母ギツネの姿が。ふしぎで切ないお話。


<切ない絵本の感想文>



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