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顧客の要望に応えてはいけない訳〜カレーライスか? アスパラの豚肉巻きか?

あなたの会社の顧客満足度はどのくらいですか?

当然のことながら、あなたの会社の物やサービスを、多くのお客様に購入してもらうためには、顧客満足度を上げなければいけません。

ではどうすれば、顧客満足度を上げることができるのでしょうか?
「そんなの簡単だよ。お客さんの期待に応える物やサービスを提供すればいいんだよ」と、思われるかもしれません。

残念ながら、それでは顧客満足度はゼロです!

なぜなら、顧客満足度とは、顧客が感じた価値から事前期待値を引き算したものだからです。

『100円のコーラを1000円で売る方法』の著者である永井孝尚氏は、顧客満足度を以下の式で定義しています。

顧客満足度 = 顧客が感じた価値 ― 事前期待値

この式の意味を分かりやすい例で説明しましょう。

例えば、あなたは6歳の子どもだと仮定します。そしてお母さんの作る夕飯を待っていると想像してください。

そして、次の2つのケースを考えてください。

【ケース1】
あなたは、お母さんから「夕飯は何が食べたい?」と質問されます。
あなたは、いろいろと考えますが、思いつく食べ物は、カレーライス・ハンバーグ・オムライスくらいしかありません。
そこで、その3つの選択肢から、「カレーライスが食べたい」といいます。
お母さんが作ってくれるカレーライスは、いつもどおり美味しく、あなたはとても満足します。

【ケース2】
お母さんは、あなたに「何が食べたい?」と聞いてはきません。
台所のお母さんは、もくもくと何かを仕込んでいます。
そして、ようやく食卓におかずが運ばれてきました。
それは、いままでに見たことのない食べ物でした。
お母さんは、「アスパラの豚肉巻きよ!」と得意げに言います。
初めて食べるその味は、とても美味しく、あなたはとても満足します。

ここで、ケース1とケース2に、先程の公式を当てはめてみましょう。

公式は、
顧客が感じた価値 ― 事前期待値  = 顧客満足度 でしたね。

顧客がこどものあなたとすると、式は次のようになります。
あなたが感じた価値 ― 事前期待値 = あなたの満足度

まず、「事前期待値」を考えてみましょう。
ケース1の場合、あなたは、いつものカレーライスを期待しています。仮にその期待値を100とします。
ケース2の場合、あなたは何が出てくるのか知りません。そして何の期待もしていません。ですから期待値は0です。

次に「あなたが感じた価値」を数値化してみましょう。
ケース1では、期待通りのカレーの味で満足したため、数値は事前期待値と同じ100となります。
ケース2のアスパラの豚肉巻きも、あなたは満足したので、カレーと同じく数値は100となります。

すると、式は以下の通りとなります。

カレーライス: 100(感じた価値)― 100(事前期待値) = 0(満足度)
アスパラ豚肉: 100(感じた価値)―     0(事前期待値) = 100(満足度)

カレーライスもアスパラの豚肉巻きも、どちらも美味しかったという価値は変わりません。ところが、初めて食べるアスパラ豚肉巻きの方が、満足度ははるかに高いという結果となります。

つまり、相手の期待に対して、100%応えたとしても、相手の満足度は0(ゼロ)なんです。

あなたがお客様の要望にいくら応えたとしても、お客は「そんなのは当たり前」と思っているのです。


ですから、あなたがすべきことは、お客様の気がついていない(期待していない)価値を見出し、それに応えることなのです。顧客の潜在ニーズが何かを見極めるのです。

「何かお困りのことはありませんか?」とお客様に尋ねてはいけません。それよりも、何を提供したら、その顧客にとって価値があるのか、喜んでくれるのかを考えてみましょう。

結論として、顧客満足度を高めるには、以下が必要です。

① 顧客の期待を超えるサービスや物を提供する。
② 顧客の気づかない課題(潜在ニーズ)を考え、解決策を創造する。

大好きな彼女の誕生日に「どこへ行きたい?」「何を食べたい?」と聞くのは、ヤボです。彼女の想像を超えた場所へ連れて行き、これまでに味わったことのない料理をプレゼントしましょう。

あっ、この note は、ビジネスに関するもので、恋愛に関するものではありません。



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