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【物理】テニスボールの弾み方(硬式・軟式)

Twitterにてリプするために計算とかしたのが勿体無いから記事にしておきます。「硬式のボールと軟式のボールとで跳ね方が違うのはなぜ?」という問いに対しての答えとなります。

1)ルール上の違い
公式ルールで決まっているボールの基準から反発係数を計算してみました。

硬式:254cmから落として跳ね返り高さが135〜147cm
→反発係数は0.73〜0.76

軟式:150cm から落として跳ね返り高さが65〜80cm
→反発係数は0.65〜0.73

このように、ルールに合わせたボール自体の跳ね返りやすさが、まず違いますね。反発係数というのは当たる前後での速度の比です。これが大きいほど、よく跳ねることになります。

おまけ:計算の考え方を少しだけ。mgh = (1/2)mv^2 と位置エネルギーを運動エネルギーに変えると、高さの比を反発前後の速度比に変換することができます。なので高さ比をルートしただけです。たぶん、これで合ってる。

2)表面の違い

トップスピンの弾道

意外ではあるのですが、トップスピンのボールはバウンド後、地面に入射した角度よりも低く飛び出しています。そんなこと言ったって、トップスピンのボールは跳ねているじゃないかと思われるでしょうが、実は高く跳ねてはいません。低いのです。つまり回転の力は前進力を生み出すのみであり、回転で跳ね上がってるわけではないのです。もっと言うと弾道の頂点よりも高く跳ね上がることはありません。

じゃあ何故、高く跳ねるのか?それはトップスピンが頂点から急に落ちるからです。入射角が急降下することで、結果として反射方向もフラットボールより少し上向きになるのです。ただそれだけです。ちなみにスライスの球が跳ねない!と感じるのは入射角が低いということです。実は同じ入射角ならスライスの方が跳ねるんですよ。

となると、跳ねさせたければ、高いところから急降下させれば良いわけです。高く上げるのは、頂点を高くすれば良いです。急降下させるのは回転量を多くするのと、空気と表面との引っ掛かりを増やせば良いのです。見えてきましたね。フェルトで包まれた硬式のボールは空気との関わり多めでありまして、回転が良く効くのです。したがって、同じスピン量なら、硬式の球の表面の方がよく落ちると言うことになり、結果、跳ね上がり方向も上向きになると言うことになります。

3)エネルギーロスの話

基本的にボールが変形すると、反発係数は下がります。形を変えるのにエネルギーが使われてしまうからですね。軟式のボールは柔らかいです。だから跳ねない。

ちなみに硬式テニスでよく言う「ボールを潰す」は変形多めにして飛びを抑えるテクニックのことを指します。

他にもボールの重量とかいろんな要素が入ってきますが、わかりやすいところ3点をまとめてみました。

注)
・比較のためにソフトテニスのことを軟式と表記してます。悪しからず。
・入射角あたりの説明で「角度が低い」と正しくない表記をしてます。わかりやすさのためです。
・空気抵抗関連の説明で「空気との関わり」と曖昧な表記をしてます。乱流とかのことを考え出すと複雑になりすぎるためです。

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