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【技術】グリップの厚い薄いの再定義

近頃話題の薄グリップの話です。物珍しそうに語られるのも、世の中の標準がセミウエスタンくらいになったせいですね。僕らがテニスはじめた頃はサーブアンドボレーな選手もたくさんいたし、薄いグリップが標準だったんですよ。

コンチネンタルグリップ:包丁やカナヅチの握り方

この写真は、いわゆるコンチネンタルです。薄いグリップの代表です。ちなみに僕はもう一山右にずれたイースタンです。

基本的に薄いグリップは力が入らないし、フラットかスライスしか打てないし・・・と言われがちではありますが、実はその辺り、持ち方によって変わるんです。

厚い握りのコンチネンタルグリップ
薄い握りのコンチネンタルグリップ

この写真はどちらもコンチネンタルで握ってます。親指と人差指とで作るVの字が乗っている場所は同じでございます。では、何が違うのかというと、グリップエンドの位置なのです。で、これだけのことなんですが、持ち心地が大きく異なってきます。

コンチネンタルでフォアを打つ方は少ないですけれど、イースタンで打つ方はそこそこおられますね。ここからはイースタンフォアの方も一緒くたに考えて説明していきます。

下の方はハンマーグリップとも呼ばれ、力みがちでよろしくないと言われることが多いですね。とてもクラシックなテニスにおいてはこれで人差し指を離したくらいでやってるように思えます。いわゆる薄いグリップでボレーするときに、この持ち方をしている方も多いかと思います。ラケットと前腕との間の角度がしっかりつきます。90〜120度くらいですかね。

一方、上の方は薄いグリップでスピンのかかるフォアハンドを打つなら必須の握り方です。グリップエンドが手のひらに乗っかるのが特徴です。ラケットを長く持つ人はより作りやすい形だと思います。この持ち方にするとグリップと手のひらとの接触面積が増え、それだけで感触が「厚く」なります。また、手首にとって打撃力の伝えやすい「屈」方向の動きとラケットスイングの方向が一致するためにスイングしやすくなっています。ちなみにハンマーグリップの方では手首の「回」方向とラケットの動きが近くなっています。ラケットと前腕はスイングの最中において、ほぼ直線になっているのではないでしょうか。肘を伸ばしたスイングの方が多いのも隠れた特徴です。昔で言えばエドバーグあたりはこの持ち方でした。

いかがでしょうか。この握り分けを無意識にやっておられる方もいるかと思います。最初から、上の握りで習った方も多いかも知れません。分かった上で握り分けができるとコンチネンタルが一粒で二度美味しいグリップになるでしょう。リターンのときなど、薄グリップで待つときにとっさのフォアで役立つかも知れません。

実はボレーでもこの違いは存在しています。色んな人の手元を見てみましょう。スクールなどのボレー指導で「インパクトに握り込むんだよ」と見本を見せるコーチの手元がどっちになっているのか、こっそり見てみましょう。テニス入門なんかの書籍で、「腕とラケットに角度をつけて」とか「ラケットを立てて」とか書いてあるものも結構あります。ところが、鈴木貴男さんのフォアミドルボレーなんかは時々、ラケット寝てますよね。これって手のひらにグリップエンドをある程度、乗せていないと成立しません。ラケットを立てて構えるにしても、両方の持ち方の人が混在してます。アドバイスを貰うときはその辺も気にしておくと良いです。もちろん中間的な方もおられます。一番注意しなくてはならないのは、この違いによってフォアボレーの打点が変わってくるのです。フォアボレーの打点を前にさせようとするコーチと引きつけた打点で打たせようとするコーチとではグリップ自体が異なっていることも出てきます。アドバイスをもらう側が注意してないと、間違ったアドバイスになっちゃいますね。

どっちでも良いやんというのは、そのとおりであります。しかし、わかった上で握っていると、アドバイスを正しく受け取れるし、また、理解しているコーチかどうかを見分けるチェックポイントになるかも知れません。

お役に立てれば幸いです。

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