大山エンリコイサム展 夜光雲
大山エンリコイサム展 夜光雲
2020.12.14-2021.1.23
@神奈川県民ホール(神奈川県横浜市中区山下町3-1)
入場料:800円
★★★★☆
大山エンリコイサムさんの個展。横浜にある、神奈川県民ホールギャラリーという会場だった。
夜光雲は、地球上で高度が最も高い場所に発生する雲のことで、日の出前や日没後の暗い時間でも、高度が非常に高いため夜光雲だけが太陽の光を反射して光って見える。
様々な時代や地域(言語)で書かれた文書がパッチワークされ、ところどころに大山氏のドローイングが描きこまれている。
文字ではないが文字のようにも見えるオブジェクト。まったく違う時代にこれが発見されれば、いつか使われていた文字なのだろうかと思われるかもしれないなと思った。
実際作家は、時代や場所というバックグラウンドを超えて、この場合であれば文字の形同士で結びつき、響き合いが生じるように感じると語る。(後掲のYouTube動画より)
全体として繰り返しのように見えるが、ひとつひとつを見ると全然違っていておもしろい。
↓振動でとても細かい繊維が跳ねていた。
↓スタイロフォームを積み重ね、切り取られ、真っ黒に塗られた作品。
↓この円の作品はカッコよかった。一見一本の太い線に見えるが、少しずつ少しずつなぞりながら描いている線だった。
暗めの部屋には作品がいろんな高さで展示されていてぼんやりと浮かび上がっている。
つるつるとした表面の床は全体的になめらかな凹凸があり、作品が床に反射したときのゆらぎは水面のようできれいだった。
ホワイトキューブの部屋では、スプレー缶を振ったり吹き付けている音が響いていた。
画集も購入。
いつか稀有な気象現象の夜光雲を見てみたくなった。
オーロラとは似ているが、高度や光ってみえる仕組みが違うようだ。
最終日の駆け込みとなってしまったが、行くことができてよかった。
大山氏過去最大規模の個展ということで、とても満足できる充実した展覧会だったと思う。
2019年に中村キース・ヘリング美術館で開催された個展(https://www.nakamura-haring.com/blog/1923/)からもさらに作品の多様性が増していて面白かった。特に最初のいろんな文書が切り貼りされている作品は、文字や描き込みを眺める楽しさもありつつ作品の意図も伝わってきて好きだった。
アーカイブ映像で、会場の様子や作家本人の言葉が見られる。
展覧会URL
大山氏はストリートアーティストでありながら、研究者として著書も多い。
私は『Against Literacy』を読んだが、ストリートアートについての概観が追えてとても勉強になりつつ興味深い良書だったのでおすすめ。
https://livingculture.lixil.com/publish/post-173/