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ukkaには何色の風が吹いている?〜ワンダリルラ考〜

ワンダリルラことukkaの新曲「wonder little love」が聞いても聞いても聞き足りない。
ワンダリルラが好きすぎて、気づけば足繁くリリイベに通っている。
ワンダリルラはMVもダンス動画も生ライブもどれをとってもよい。
ダンス動画がまだ未発表の頃、待ちきれずに過去曲の動画にまで手を伸ばし始めてしまった。
そして気づいた。ukka、他の曲もいいじゃん…。
もちろん前々からukkaは好きだが、ワンダリルラを経て見るukka曲は、以前より輪郭がはっきりして見えたのだ。ワンダリルラすごい。
特にワンダリルラの作詞をしている藤原優樹さんの楽曲がよい、歌詞が好みすぎる。世界観が素敵すぎる。生み出してくれてありがとう。
色の表現に惹かれてたのだが、それに限らず散りばめられる言葉が美しすぎるため、曲を横断することでukka楽曲の魅力について考察していきたい。

対象楽曲

『アフタヌーン・グラフィティ』2022.11発売
https://www.uta-net.com/song/327251/
『コズミック・フロート』2023.1発売
https://www.uta-net.com/song/331005/
『wonder little love』2023.5発売
https://www.uta-net.com/song/338227/
※いずれも作詞:藤原優樹 氏

各楽曲を構成するフレーズ

これらの曲の歌詞を見てみると、似た構成要素が浮かび上がってくる。
まずはフレーズの中から時間を表すもの、色を表すものを取り出してみる。また、明確な分類は難しいが「気になるワード」としてその他幾つか特徴的なフレーズを記載する。

アフタヌーン・グラフィティ

【時間】
秘密の午後、図書室と夕暮れ、アールグレイの空
【色】
緑:そよいでるペパーミント
茶:アールグレイの空
【その他の気になるワード】
角砂糖みたいな恋、気づいても内緒
カタカタ インク打つリズムで

コズミック・フロート

【時間】
ムーンライフ、トワイライト
【色】
黄:シトロン
緑:ミントグリーンの風
青:サイダーブルーの地球(ほし)、水彩の空
複数:まわるマーブル
【その他の気になるワード】
うたかたに、生まれた恋 内緒で今夜
ネガイと セカイが

wonder little love

【時間】
early morning、朝露
【色】
緑:ライムの風、スプラウト、木漏れ日のフィルター、クローバー
透明:硝子ペン、透明な恋、朝露
複数:プリズムに変わる
【その他の気になるワード】
まだ誰も先を知らない、芽生えゆく予感、生まれたての季節
染まるセカイ

3曲から見る変遷

前項で取り出したフレーズをリリース順に並べると、いくつかの変遷を読み取ることができる。

時間の変遷

アフタヌーンは歌詞そのまま「午後」の時間帯の歌であろう。
「アールグレイの空」からはオレンジがかった茶色の空が想像され、「図書室の夕暮れ」という情景とあわせると、午後の中でも学生にとっての放課後〜帰宅にあたる時間帯…おそらく夕焼け空の16〜18時ごろであると予想できる。

コズミックは「トワイライト」から紐解いてみる。トワイライトは日本語に訳すと「たそがれ、(日没後、日の出前の)薄明かり」となる。
ちなみに何色か?と気になり調べてみるとヘアカラーの記事が多くヒットする。ピンクパープルといった色味らしい。
アフタヌーンの「アールグレイの空」と近しいものを感じるが、この時間を補強するのが「ムーンライフを 夢見るロマンチカ」の歌詞である。
アフタヌーンが日中の存在の「図書室」に心を寄せているのに対して、コズミックは夜中の「ムーンライフ」に気持ちのベクトルが向いている。
これらから、コズミックは日没から夜にかけての歌、17時〜深夜帯までを歌っているのではと考えられる。

ワンダリルラは「early morning」とある通り、朝、それも早朝の時間帯が想像される。
具体的な時間は「朝露」から読み解いてみる。朝露の発生方法を調べると、放射冷却によって起こり一番気温の低い日の出から2時間後に発生しやすいとのこと。大体午前6〜7時頃かと考えてよいだろう。

このように各楽曲が示す時間を並べてみると、アフタヌーンの【夕方】→コズミックの【日没〜夜】→ワンダリルラの【早朝】と、見事に夕方〜朝までの時間変遷を曲ごとに経ているのが見て取れる。

色の変遷

この3曲における注目ポイント(という名の大好きポイント)である。
だんだん色を表現するバリエーションが増えていくところが大変興味深い。
また、徐々に色の鮮やかさ、透明度が上がっていくことで輝きを増していくのである。

緑:そよいでるペパーミント
茶:アールグレイの空

アフタヌーンではまだバリエーションは多くない。
我ながら若干のこじつけ感があるが、「カタカタ インク打つリズムで」の歌詞が恐らくタイプライターを示しているであろうことで、全体がレトロな色味で覆われているように感じる。

黄:シトロン
緑:ミントグリーンの風
青:サイダーブルーの地球(ほし)、水彩の空
複数:まわるマーブル

コズミックでは色の種類が倍になる。また、「マーブル」が入ってくることで、一気に色味の増加を感じさせる。
特に印象的なのが「サイダーブルーの地球(ほし)」。「ミントグリーンの風」と続くことで鮮やかな色味が強調され、脳裏にはネオンのように水色に光る地球が浮かんでくる。
また、「サイダーブルー」と「水彩」の青で、向こうを見渡せそうな透き通った青の印象を作り出している。

緑:ライムの風、スプラウト、木漏れ日のフィルター、クローバー
透明:硝子ペン、透明な恋、朝露
複数:プリズムに変わる

ワンダリルラは色数こそ増えてはいないものの、一つの色に対する表現のバリエーションが最も多い。
前項で述べたように早朝の時間帯であることも相まって、全体を照らし出すような明るさを感じる。
自然の輝き(木漏れ日、クローバー、朝露)と人工の透明さ(硝子ペン)の両方を組み合わせることでよりキラキラした印象を受ける。
「プリズム」でさまざまな色を閉じ込めている様子もまた良い。

3曲の共通項としては、風や空気を表現するフレーズが全て緑色に分類されるところである。
「そよいでるペパーミント」「ミントグリーンの風」「ライムの風」と並べると爽やかさが伝わってくる。
本来は透明であるはずの風にこのような緑を付与することが、各曲に鮮やかさに繋がっていくのであろう。

変わらない恋心と取り巻くセカイ

前項から風景描写は三者三様で曲ごとに変遷をしていく姿が見てとれた。
一方で3曲通して変わらないものもある。
「恋心」に関する描写である。
アフタヌーンでは「角砂糖みたいな恋」「気づいても内緒」、コズミックでは「生まれた恋 内緒で今夜」、ワンダリルラでは「透明な恋」「まだ誰も先を知らない」とそれぞれ表現される恋。
共通しているのは、【他の誰もまだ知らない】といった恋心が秘められている状態である。
ちなみに「角砂糖みたいな恋」とはどのような状態であろうか。少し踏み込んでみると、「角砂糖」という熱で溶けていく物で表現された状態と、その後に続く「溶ける場所を探すまどろみ」に補強されて、「容易に変化しやすいもの」というように捉えられるのではないだろうか。
また、ワンダリルラでは「芽生えたて」「生まれたて」といった表現が散りばめられることで、まだ始まったばかり故に輪郭がはっきりしていない状態が想起される。
これら3曲で描かれる恋愛は、まだ気づいたばかりのふにゃふにゃした新しい感情なのであろう。
最新曲である「wonder little love」の「wonder」が、定まらない感情と驚きを表しているようで微笑ましく感じる。

その他共通項として気になったのは、「セカイ」という表現である。(アフタヌーンにはないが…)
「世界」ではなく「セカイ」と書かれることで、「セカイ系」が思い浮かぶのは自然なことであろう。
セカイ系の説明は以下を参考にされたし。

主人公の少年と恋愛相手の小さく日常的な二者関係(「ぼく」と「きみ」)が、社会関係や国家関係のような中間領域を媒介することなく、「世界の危機」「世界の破滅」といった存在論的な大問題と直結するような物語構造を持つ。

私自身はセカイ系というと「涼宮ハルヒの憂鬱」や「魔法少女まどか⭐︎マギカ」が思い浮かぶ。
ukkaのこの3曲においては、いわゆる「世界の危機」「世界の破滅」といった事象は描かれていない。歌われているのは、芽生えたての淡い恋心である。
だが、もしかしたらその外で世界がてんやわんやしているのかもしれない、と思うと少し面白い心地がする。

「青春小節」が意味するところ

「青春小節」は、これからのukkaが掲げるテーマである。
公式サイトのプロフィールにはメッセージが書かれており、コズミックやワンダリルラのYouTubeの概要欄にも「#青春小節」と記されている。
2023年の春ツアーではオープニング時に各メンバーが「青春小節」のメッセージを読み上げていた。
メジャーデビュー後に発売された1stミニアルバム「青春小節」のタイトルのみには留まらないのだ。

「青春」というと思春期の中学〜高校時代が思い浮かぶが、ukkaは楽曲を通して、それらの時期をとうに過ぎた私たちに青春を思い出させる空間を提示しているのではないか。
ただ懐かしむのではなく、ライムやミントグリーンの風、そよぐペパーミントと共に爽やかな空気をもたらすことで、青春の世界観に再度私たちを取り込もうとしているのであろう。

…と、ワンダリルラにずぶずぶとハマって今まで色々と書き連ねてきたが、先日リリイベでもあてゃんに言われた「ワンダリルラが好きというのは、つまりもあが好きということ」という言葉に全ての真理が詰まっていた。
思いが随分広がっていたが、始まりは暖炉の中のもあてゃんだったことを思い出させてくれた。
アイドルは偉大である。

ワンダリルラともあてゃんに愛を込めて。

\ワンダリルラ発売おめでとう!/



参考:
ukka「アフタヌーン・グラフィティ」Music Video
ukka「コズミック・フロート」Music Video
ukka「wonder little love」Music Video

トワイライトについて

朝露について


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