よくある質問:何が原動力なのか?
私は、病気と闘う子供たちと家族を応援するソーシャルプロジェクト『マミーズアワーズプロジェクト』を主催している。
小児がんや心臓疾患などの治療に長期使用するCVカテーテルの先端部分を保管するためのカバーを制作販売しだしたのがきっかけとなり、今では子どものお見舞い品を扱う『マミーズアワーズショップ』と、病気や障害のある子どもたちも可愛らしさやかっこよさを諦めない、治療だけではないトータルケアの重要性を啓蒙する『チャーミングケアラボ』を運営している。
実質1年半とチョットくらいで、ビジネスと社会貢献2つの賞を受賞し馬車馬のようなスピードで話を展開していることもあり、このところ講演などでよく質問されるのは「何が原動力になっているんですか?」という質問。
なんでしょうかね?とチョット曖昧に答えていたので真剣に考えてみた。
「なんで顔や名前が出てこないの?」へのアンサー
私が、小さな小さな企画事務所を立ち上げてすぐに長男が白血病になったので、仕事はPCを持ち込んで病室の息子のベッド隣の省スペースですることになった。
「なぁ、なんの仕事してるの?」とたまに聞かれたので、アレヤコレヤと息子に答えていたら、ある時「なんか毎日頑張ってるのに、なんでお母さんの顔や名前はインターネットとかいろんなところに出てこないの?」と言われた。
チョットびっくりした。
私は以前に広告代理店に勤めていたこともあり得意を仕事にしている。自分で請負う仕事は基本的に代理だったり代行業だ。
なので、一生懸命やったところで私の名前は出ることはない。そんなの当たり前だと思っていた。
だけど、息子にとっては違っていた。「頑張ったんだったら、きちんと名前と顔が出ないとおかしい!」と言うのだ。
確かに・・・
そこで、私は考えた。そうだ!自分の名前を前に出す形の仕事をしてみよう!そしたら、私が息子の横でカタカタやってる成果を見せられるんじゃないか?チョットした親の威厳も保てるんじゃないかと。
早速看護師さんに私の外出をお願いして、病院の近所にプロフィール写真を撮影しに行って、自分のHPに掲載した。そして、名前を出せるライティングの仕事を何個か請けた。
https://anywher.net/author/ishijima/
https://new.akind.center/author/strkikaku/
ネットに私の名前や写真が掲載されるようになると、息子は「すげーー」と喜んだ。
人のことすげーって言ってないで、アンタはアンタのやるべきことをこなしなさい!とよく言っていた記憶がある。
種類は違うかもしれないけれど、頑張ってる親の背中を入院闘病中の子どもに見せたかったというところは大きいと感じる。
人からの評価
基本的に全員から好かれようという気がないので、誰にどう思われてもあまりなんとも思わない方なんだが・・・
マミーズアワーズプロジェクトを始めて1つだけ、カチンときたことがある。
それは
「所詮チョット手先の器用なただのお母さんがやってることだから、誰でもできると思ってる儲け主義の人はきっと真似したがるよね」
と言われたこと。
真似するのは、世の常なので百歩譲って仕方ない。だけど「所詮チョット手先の器用なただのお母さんがやってること」というのに、異常に腹が立った。
それを言ってきたのは、私の背景をさほど知らない「ただのお母さん」だった。
言ってしまえば、私もただのお母さんだ。
だけど、色々な背景があってお母さんになっているわけで、「お母さん=そんなに有能じゃない」という自分で自分を蔑んでいるような発言者の言動に凄くゲンナリとした。
お母さんになったから、子どもが病気になったから・・・確かに諦めないといけない部分はないとは言わない。
だけど、「ただのお母さんだから」諦めて当然、そんなに有能じゃなくて当然という、その発言者の全く意味のわからない自己肯定感の低さに吐きそうになったのだ。
私は、嫌なことやムカつくことがあればあるほどに「やってやろうじゃねぇか!」と思う性質だ。
なので、その「ただの手先の器用なお母さん」が、どの程度までやれるのか見せてやろうじゃねぇかと思ったのが原動力になっている部分も大きい。
カテーテルケース作るおばさんになるために、生きてきたわけじゃない
そもそもカテーテルケースというアイテムをネットで販売しようと思ったのには理由がある。
当初このカテーテルケースの制作事業は、ボランティアベースで私ではない誰かがやったらどうだろうか?と考えていたのだ。
そのために色々なところに話をしてみた。結果・・・誰も手をあげなかった。簡単にいうと、責任を取れない+取りたくないというのが実情だった。
・使うユーザー数がとても少数なので大量生産はできない。
・ユーザーが病児に限られているので、使用している際に何かあった場合のリスクが大きい。
どうしようかと考えて、思いついたのが「自分の実績の1つにしてみよう」というものだった。
実績というのは立ち上げた企画事務所の実績という意味だ。
広告代理店に勤めていたとはいえ、3人息子を育てていた間の7年も8年もブランクがあり、実績も自分のものではなく会社の看板を背負っていた故のもの。
企画事務所を始めたのに自分の実績なんてなかったのだ。ブレーンも途切れてしまっていたので、実績は全部自分の腕にかかっていた。
そこで考えたのが、マミーズアワーズプロジェクトだった。
何をするにもwin-winを考える性質なので、自分自身にもそれを当てはめた。
そんなに好きでもない裁縫を伴う事業をする+自分のHP制作実績となる。
それなら、やれる!と考えたのだ。
*その話は、制作HPビルダーWixの公式ブログにて取り上げていただいています。
Wix ストーリーvol23
そこから始まっているので、小さなプロジェクトではあるけれど、最初からソーシャルビジネスということは間違いない。
家庭の事情で、父が中学の時に蒸発し、高校・大学と自力で学費を支払って過ごした。社会に出ても、「なにくそ!」の精神で営業であったり成果であったりの結果を出してきたフシがある。
その様々な要素は「カテーテルケース作ってるただのおばさん」になるためにしてきたものじゃない。
やるからには、目先のことだけを見てるありがちなもので終わりたくはないのだ。
要するに原動力は「いてまえ」精神
「いてまえ」という言葉がもしかしたら関西弁なので、理解しにくいかもしれないが、「行ってまえ」とか「ガンガンいけ」というようなニュアンスの言葉だ。
私の原動力は、考えるより感じろ的な雰囲気で一言では言い表しづらい。
今までの経験の積み重ねや、広告業界という仕事上での知識があるので、私にはこれといった指導者もおらず、かつ座って人の話をただ聞くのも好きじゃないのでセミナーみたいなものも参加したことがない。習うより慣れろ!という感じだ。
まさに「いてまえ精神」なのだ。
今回は何人かに聞かれたので、少し長い文章で書いてみた。
答えになったのか?それは、読んでくれた人の受け取り方次第なのかもしれないが、参考になればいいと思っている。
*企画・販促物制作・HP制作・ネットショップ運営
*どんな子どもにも可愛らしさとかっこよさを追求したトータルケアを チャーミングケアラボ