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自分事発信で、他人事を自分事に ー西口洋平さんありがとうー

5月13日 キャンサーペアレンツ代表の西口洋平さんが亡くなった事を知った。享年40歳だった。

朝日新聞の記事にもなり、周りにいる様々な方がSNSなどで追悼のコメントを発信している中、わたしは…Twitterでお疲れ様と呟いた以外、どうにも良い言葉が出てこなかった。
こうやってnoteに書き出してはみているけど、
多分、「こんなん書くけどいいですかね?」って西口さんに聞いたら、『え!!何それ。恥ずいからやめて』と言われそうな気がして、若干の躊躇がある。

西口さんとは、日経ソーシャルビジネスコンテストの大阪meetupで最初にお会いした。
わたしは小学生3人の子供がいるので、基本的に夕方に出歩くことは難しい。それでもそのmeetupに参加した1番の理由は(日経ソーシャルビジネスコンテストにも興味はあったが)、がんを患いながら団体を立ち上げた西口さんの話を聞く事だった。

当日、合間の休憩中に、名刺とパンフレットを持って真っ先に西口さんに話をしに行ったことを覚えている。
西口さんは「え???僕???コンテストに興味あるんやったら、日経のもっと偉い人と話しはった方がええんちゃうのん?」と言いながらも、わたしの話をうんうんと聞いてくれた。
当時まだチャーミングケアを一般社団法人にはしていなかったし、まさか物販部門を独立させて株式会社を立ち上げるなんて思ってもいなかったのだけれど、西口さんに「チャーミングケアって必要ですよね?どう思いますか?」という事をただただ確認したい気持ちが強かった。

わたしは、大人にはアピアランスケアって言葉もあって、見た目とかメンタルのケアについて重要性を感じられ始めている。だけど子どもはまだまだで・・・うちの子なんかは、結構色々こだわりがあるし、必要な話だと思うんだけどどう感じますか?と弾丸のように話をした。

西口さんは、「そら、必要ですよ。こんなん間違いなく必要やん。コンテスト出しはったらいいと思う。僕も全然わけわからん状況の時に、この日経のコンテストに出て、ちょっと世界が変わったし。」
と言って、「あの人、主催側の人やから、話しに行ってみたらいいよ」とコソッと教えてくれた。

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結果、わたしはコンテストでファイナリストに選出され、その最終プレゼン会や表彰式で再び西口さんに顔を合わせる事となった。
その時に一緒に連れて行っていた長男に「あのおっちゃん、めっちゃいい人やねん。あのおっちゃんがおらんかったら、多分今ここには私ら来てないと思う。」というと
「あのおっちゃんは何してる人なん?」と息子が聞くので
西口さんが、うちの長男も経験したがんを患っている事。そんな中、同じような境遇の人のつながりのために「キャンサーペアレンツ」という団体を立ち上げて、前回のコンテストで入賞している事を伝えた。

長男は
「そうなんや。そら名刺交換しとかなあかん人やな」と言って、ささっと西口さんに駆け寄って名刺交換をしだした。
*長男には名刺を数枚渡していて「枚数そないにないし、自分がこの人いいなって人にだけ名刺交換したらいいよ」と伝えていた。

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西口さんは、「お!凄いな。名刺持ってんのかいな?ほなちゃんとするわ」と言って、とても丁寧に長男に接してくれ、以来長男も西口さんが大好きになり、その後親子で参加したラベンダーリングのイベントでも「西口さーーーん」と必要以上に絡んで交流を深めていた。(ほぼ一日中、西口さんがうちの長男の子守をしていた^^;)
西口さんのお子さんと、うちの長男が同い年ということもあり、本当によく可愛がってくれた。

西口さんと話をしていて印象に残っている言葉がある。
「僕のやってる事業は、自分のためなんです。自分のために始めたことがいつの間にか他の人のためにもなっていった。この先、この僕の自分事という他人事が誰かの自分事に感じられるくらいまで持っていけたら、そこが認知やし社会に混ざっていってるってことやと思うんです。」
本当にそうだなぁと思った。わたしのやっているチャーミングケアも似ているなぁと感じた言葉だ。

2020年3月。日経ソーシャルビジネスコンテストのシンポジウムが開催される予定だった。息子は「西口さんに会いたいし、オレ絶対行くから!」とはりきっていたのだけれど、コロナの影響で延期に。

西口さんと最後に言葉を交わしたのは、キャンサーペアレンツのボランティア募集説明会だった。
オンライン参加した際に、
「なぁなぁ、西口さんに手を振りたい」と長男が言ったのを汲み取ってくださって、オンラインで少しお話ししたのが最後となった。

西口さんには伝えていなかったけど、実はわたしの亡くなった父と西口さんの病気はとても似ていた。うちの父は肝臓から胆管、門脈へ転移して2015年に亡くなった。
父を看取っているので、西口さんのTwitterで状況を知るたびに「あぁ・・・しんどいんだな」というのが痛いほどよくわかった。
かなりしんどい状況でも、キャンサーペアレンツの活動を止める事をしなかった精神力は凄いなと、本当に思う。
そして同時に感じていたのが、西口さんは体調を労われるよりも事業を前に進めることを喜んでいたし、キャンサーペアレンツをどう残していくかという一点に集中して生きてるんだなと感じていた。

西口さんが緩和に移行すると知った頃、長男に話をしたことがある。
わたしのやっているソーシャルビジネスというジャンルには、普段の生活ではなかなか出会うことの少ない物凄い尊い人がいてる。そのうちの1人が西口さんやと。西口さんは恐らくそんなに長くは生きられないけど、人間は遅かれ早かれみんな死ぬ。長く生きるのが良いのかと言ったら、わたしはそうは思わない。どう生きるのか?が一番大事やと思うと。
西口さんの生き方は、カッコええとわたしは思うと。

訃報を聞いて、「そうか・・・会われへんかったな。」と長男は悲しそうにしていた。
長男にはこう伝えた。
いろんな大人がおるからな。親や先生だけが大人じゃないし、それぞれが完璧でもない。わたしだって全然完璧じゃない。
わたしがチャーミングケアをやってる関係で、きっと他の子よりも沢山の大人を知ると思うけど、良いところをいっぱい吸収して欲しい。
西口さんは、イケてる大人の1人やったからな、しっかり覚えといて欲しい。
ほんならきっと、西口さんも喜んでくらはると思うで。と

西口さん、息子に優しくしてくださってありがとうございました。
本当にお疲れ様でした。
きっと息子は忘れないと思います。それってきっと、「他人事を自分事に」できた1例なんじゃないかなと思います。
わたしも、そんな活動ができたらと思っています。

*TOPに使用した写真は、スペシャルキッズ(病気や障害のある子どもたち)のためのECマーケットプレイス「チャーミングケアモール」立ち上げクラウドファンディングでの西口さんへのリターン品。息子たちとわたしとで、文面を考えた。





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