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おはようライナー新宿26号 藤沢駅〜渋谷駅【文で旅するストリングスの動画#1】
新たな試み
以前まで僕たちはYouTubeで鉄道旅の動画を投稿していました。それを止めてから早1年が経とうとしておりますが、僕としてはせっかく作った動画とチャンネルを風化させたくはありませんでした。
そこで考えたのは、動画でお見せしていた僕たちの旅を「“文で”表現してご紹介する」ことです。文でしか味わえない旅情や情景描写で、皆さんに僕たちの今までの足跡を知ってもらおうと考えたのです。
また、当時僕たちは未熟な高校生でしたので、鉄道や旅について分からなかったことがいくつもありました。しかし大学生になった今、その分からなかったことや当時伝えきれなかったことを今ならご説明できるかもしれません。今の僕だから追加で話せるネタもいくつかあることでしょう。そういった意味では「バージョンアップした動画」を文でお見せすることができると考えております。
またしてももふと考えたことを実行しているのでどれだけ続くか分かりませんが、ストリングスの「歴史資料館」としてご一読していただけると幸いです。
それではご覧ください、ストリングスの新たな試み「文で旅するストリングスの動画」!!ほんの小さな旅でもワクワクしていたあの頃の僕たちをお見せしませう!!!
始まりの地・藤沢
ストリングスの旅動画が始まったのは、藤沢駅の高架橋。今から4年前、小田急百貨店の前にある、あまり人気(ひとけ)のない遊歩道で僕たちの歴史は始まりました。ここは僕・テラヲ公認の「ストリングスの聖地」です。藤沢にいらした際はぜひお立ち寄りを。
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話を旅に戻します。
この日、2020年3月26日は平日。この日は高校の教科書販売のために都内にある学校へ登校することになっていました。その機会を利用して、本来ならば通らない藤沢駅を経由して撮影をしたのです。悪い子です。
通勤客の女神・ライナー
そんな悪い子・テラヲが、初の鉄道旅動画のネタとして採用した列車が「おはようライナー新宿26号」です!!現在は特急湘南号として運行されている列車ですが、以前は「ライナー」といって、通勤時の「着席保証型列車」という役割を担っていました。
藤沢駅を含む東海道本線の湘南エリアは大変なラッシュで有名で、15両の普通列車をバンバン運行させてもラッシュが解消されない大混雑区域です。
そんな湘南エリアの通勤客に着席の保証を提供するために運行されたのが「湘南ライナー」をはじめとした「ライナー」です。着席料金わずか520円で座って通勤できる超お買い得なこの列車は、沿線の通勤客にとても重宝されました。
今回はそんな便利なライナーの一つである「おはようライナー新宿26号」に乗車して、途中の渋谷駅まで快適で優雅な登校を楽しみます。なんとも悪い子です。
ちなみに今、特急湘南号で同じ区間を乗車しようとすると、普通車でも1,020円かかります。合掌。
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他に、東海道本線での快適な移動といえば普通列車グリーン車が挙げられるでしょうが、平日の朝では全くの無意味です。この普通列車グリーン車は自由席のため、必ずしも着席できるとは限りません。この区間は多くの通勤客でごった返す地獄の窯。グリーン券を買ったところで、空いている席など藤沢なんかではどこにもありません。
しかもグリーン料金は割高で、藤沢~渋谷では1,000円もかかってしまいます。1,000円も払って座れるかどうか分からないグリーン車に乗りますか??それだったらライナーに乗って、必ず座れる通勤を実現させた方が賢明です。
おはようライナー新宿に乗車!!
おはようライナー新宿26号は藤沢駅の1番線、一番外側のホームにやってきます。向こう側のホームにはすし詰め状態の普通列車が見えます。
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大変ですねー(棒)
パスケースに入っているオレンジ色の切符、これがライナーに乗るための「ライナー券」です。このライナー券は原則、前日の夕方から販売されます。このライナー券も前日に藤沢駅で仕入れたものです。定員に達した時点でライナー券の販売はストップします。早い者勝ちです。
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やってきました、ホームライナー新宿26号です。使用車両は国鉄型特急列車・185系。この少し前までは、「スーパービュー踊り子」として知られる251系で運行されていた、鉄道ファンの目玉列車でした。
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車内は全ての座席が埋まっていたわけではなく、思っていたより空いていました。この列車は朝のライナー列車の中でもやや遅い時間に運行されていたので、そんな時間に乗る乗客は少なかったのでしょう。
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古めかしい車内。ザ・国鉄という感じです。もっとも、僕たちは国鉄時代に生まれてはいないのですが…。
ラッシュの中をくぐり抜ける“工夫”
ここで東海道本線におけるライナーの、朝の大混雑をすり抜けるカラクリについてご説明いたします。
東海道本線の小田原~東戸塚間には“2つの東海道線”が並行しています。一つが普通列車や特急踊り子などが走る東海道“旅客”線、そしてもう一つが東海道“貨物”線です。後者は貨物線なので、普段は貨物列車だけが走行する線路となっています。
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朝の東海道本線は大変なラッシュで、旅客線には大量の普通列車が行き交っています。ただでさえ混んでいる線路に駅を通過する列車をぶち込んでも渋滞にはまるだけで、迅速な輸送はできません。
そこでライナーの大半を空いている貨物線に持っていくことで、乗客を素早く東京方面に送ることができるのです。また、貨物線を使うことで横浜駅というラッシュの巣窟を迂回できます。ライナーは全て横浜駅を通過するのですが、大半の列車は駅さえ通りません。
この輸送方法は特急湘南となっても引き続き採用されています。貨物線利用はとても理にかなった工夫なのです。
貨物線を走る旅客列車
列車は大船駅を通過。貨物線を走っているので、駅を横目に通り過ぎる感じです。
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先ほどの藤沢駅は貨物線にもホームがありましたが、茅ケ崎駅と藤沢駅には貨物線利用のライナー専用の乗車ホームがあります。逆に平塚とか大船には停車できないため、旅客線を走る少数派ライナーがそれらの駅にも停車します。
東戸塚駅を通過すると、貨物線は東海道旅客線と湘南新宿ラインに別れを告げます。長いトンネルに入り、横浜駅を迂回するような別ルートをとるのです。
暗いトンネルを通過中、185系のやかましいモーター音と窓のガタガタ揺れる音が続きます。非鉄ならばうるさいと感じるでしょう。座れて快適ですが、この区間は不快そのものです。現在はE257系という185系よりも新しい列車になっているので、そこまでうるさくはありません。
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トンネルを抜けるとそこは雪国…ではなく貨物駅。ここは「横浜羽沢駅」という貨物専用の駅があります。すぐ近くには横浜国立大学とその最寄駅・羽沢横浜国大駅があります。
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鉄道にあまり詳しくない人でも、埼京線と相鉄線が直通運転をしていることはご存じでしょう。ここからはそのJR・相鉄直通線とほぼ同じルートで新宿に向かいます。この直通線も現役の貨物線でして、貨物列車と線路をいわば“共用”している形です。
湘南新宿ラインと合流
再びトンネルに入り、しばらくすると鶴見駅が見えてきます。東海道本線との再会です。
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列車はこのまま貨物線を走り、武蔵小杉駅付近で湘南新宿ラインと合流します。この湘南新宿ラインも、元はと言えば貨物線なんですよ?
右手にたくさんの機関車と貨物が見えてきました。「新鶴見機関区」です。現在東京方面の定期列車で右手にこれが見れる列車は、特急湘南と相鉄直通の埼京線だけです。貨物線ゆえ、機関車もよく見えるので結構楽しいです。
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新鶴見機関区を過ぎると貨物線区間も終了。湘南新宿ラインと合流し、武蔵小杉駅を通過します。藤沢を出てから初めてホームのあるところを通過しました。すさまじいことです。
ホームを見るとたくさんの通勤客が列車を待っています。彼らが待ち受けるのは芋洗い場のような普通列車です。無情にもライナーは通過していきます。
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タワマンの街とは大変結構。しかし東京に近いがゆえに苦痛な通勤を余儀なくされるという“代償”は背負わねばなりません。さようなら〜。
渋谷に到着
我がおはようライナー新宿はこのまま湘南新宿ラインを通って新宿へ向かいます。一方、湘南ライナーは大崎駅の手前で横須賀線に分岐し、東京へ向かいます。そっちへ向かう湘南ライナーの動画も近いうち文にしましょうかねぇ。
ところで、ライナー時代は大崎駅を通過していましたが、特急湘南になって大崎駅が新たな停車駅となりました。需要が多いのでしょうか?通過してもいいのにねぇ。
さあ、そんなこんなで列車は僕が降りる渋谷駅に到着するようです。40分強の乗車、なかなか見応えがあったでしょ?もしそうお思いになったのなら、あなたは鉄道ファンとしての素質があるのかもしれませんよ?(笑)
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列車は渋谷駅の“突き出た”湘南新宿ラインのホームに停車。現在は改良工事の結果ホームは新宿寄りになりましたが、この時はまだ乗り換えが億劫な構造でした。懐かしいなぁ。
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さて、今回の旅はいかがでしたか?通勤列車とは言えども、まるでミステリーツアーのような感覚を味わえる東海道本線のライナー。ぜひ一度、特急湘南で“不思議な通勤旅”を体験してみてはいかがでしょうか?
ただ、もう520円では乗れないのでご注意を…。
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それでは次回の「文で旅するストリングスの動画」もお楽しみに!!ストリングスのお時間でした〜。