姿勢を保つために必要な筋肉
このブログでは、ストレチックス本部著書「70歳からのゆる~い筋トレ&ストレッチ」執筆者が、本で書いたことの要点や、書ききれなかったことを、お伝えしていきます。
今回のテーマは「姿勢を保つ背面の筋肉」です。
●背面の筋肉の特徴とエクササイズ
▼重力に抗う、姿勢を保つ筋肉
背筋の弱さを指摘されるときは、姿勢が悪いとき、とりわけ猫背のような背中が丸くなったような姿勢のときだと思います。
鍛えた方がよい、伸ばしたほうがよいなどその方の姿勢によって必要なアプローチは変わってきますが、どちらも知っておいた方が身体の状態によって使い分けができます。
背骨を支える筋肉、骨盤、股関節周囲を中心に紹介したいと思います。
人の身体は直立二足歩行ですが、その特徴の一つは重力に逆らって立っているということです。
特に背骨が丸まっているというのは重力に対して抵抗しておらず、倒れ込もうとしている状態です。
一方、後方に向かって反りすぎているのであれば背中の筋肉が過剰に強かったり、筋肉の長さが短くなっていたりして、その方向に引っ張っているということが考えられます。
骨盤、股関節までを考えると背中が反ってしまうことも、反対に丸まってしまうこともどちらにもいきます。
お尻や太もも裏面の筋肉も背面の筋肉にあたるのでその状態により姿勢や動きにも影響します。
▼脊柱起立筋の特徴、自宅でできる筋力トレーニング、ストレッチ
背骨(脊柱)に沿うような走行で付着しているのが脊柱起立筋です。
筋群というタイプで、腸肋筋、最長筋、棘筋という複数の筋肉をまとめて表しています。
それぞれの全体像は骨盤から首の頸椎、または頭の後頭骨までつながっています。
また、背骨の頸椎、胸椎、腰椎の部分に付着部が分かれていて全体的な背骨のラインに存在しています。
起立という名称である通り、背骨が重力に対して丸まらないように働いています。
主な機能は伸展、側屈です。
起立させるために必要なものが伸展という後方に反らす動きにあたります。
脊柱起立筋は骨盤の後ろ側に傾いている後傾のときに働きます。
骨盤が後傾することによって背骨が丸まるかたちになり、筋肉は下方向に引っ張られます。
それに抵抗するように筋力を発揮して背骨を正しいかたちに保つような役割をしています。
また、猫背のように背中の上部が丸まってしまうと胸椎は必要以上に丸まってしまいます。
重力を効率よく受け止めるために背骨はS字カーブをしていますが、身体の前側の筋肉が縮まってカタくなってしまうと背面の筋肉とのバランスが崩れていきます。
赤ちゃんのように背中を大きく反らすことはではできなくても、丸まって前に下がった胸を持ち上げにくくなったりして、動きにくくなってしまうことになります。
一方、脊柱起立筋の特に腰の部分がカタくなってしまうと反り腰の状態になります。
腰を反らすと圧縮されるような感じになる、反った感じで痛いといったこともあります。
身体を前に傾ける前屈動作でも、背中をうまく丸めることができないとった動きも見えます。
・脊柱起立筋のトレーニング
腰を反らすと痛みや違和感が強い、首や肩の痛みや違和感が強い方は医療機関等、専門機関に確認してから行うようにしましょう。
・脊柱起立筋のストレッチ
20秒程度、ゆっくり呼吸をしながら行いましょう。
▼広背筋の特徴、自宅でできる筋力トレーニング、ストレッチ
背中の筋肉の2つめは広背筋です。
人の身体の中では一番表面積が広いといわれ、背中の半分程度を広く覆っています。
筋肉の付着のはじまりも骨盤の上側の縁の腸骨稜、腰椎、胸椎、肩甲骨と広くついていて、腕の骨である上腕骨まで付着しています。
背中にありますが、腕の骨につくため肩を動かすための筋肉として分類されます。
懸垂のように身体を引き付ける、反対に身体から離れているものを引き寄せるといった「引く」ための動きに使われています。
物を身体に引き寄せるといった動きのほかに、骨盤を前側方向に傾ける前傾を保つための機能があります。
椅子に座り、手にひら座面につくようにして、お尻の横当たりに置いたまま座面を下に向かって押すと、腰の位置が高く持ち上がってくるように反応すると思います。
これは広背筋の筋力で骨盤が付着部の方の方向に向かって近づいたということです。
広背筋が脱力したままでは背中が重力に逆らいにくくなっていくので適度な筋肉、筋力はひつようです。
過度な緊張やカタさがあると背中が反りやすくなります。
これにより、腹筋群の力がうまく使いにくくなり、お腹の力が抜けたような、身体が反ったまま前に突っ込んだような姿勢になりやすくなります。
胸が張れて一見、よい姿勢と見えていても筋肉が過度に緊張している場合があります。
・広背筋の筋力トレーニング
腰を反らすと痛みや違和感が強い、首や肩の痛みや違和感が強い方は医療機関等、専門機関に確認してから行うようにしましょう。
・広背筋のストレッチ
20秒程度、ゆっくり呼吸をしながら行いましょう。
▼大殿筋の特徴、自宅でできる筋力トレーニング、ストレッチ
背中から下、下半身の筋肉にあたるお尻の筋肉です。
大殿筋は股関節を動かす機能があり、足を後ろ方向に蹴り出す伸展という働きをします。
股関節の伸展は歩いたり走ったりするときは足を後方に蹴り出す力を利用して身体を前に進めますが、単純に立っているというときには股関節が前に折れ曲がらないように骨盤から上を起こすように働いています。
四本足の生物から直立二足歩行になり、身体が倒れないように支えられているのは大殿筋の機能が一躍買っています。
大殿筋は骨盤と太もも骨である大腿骨の後ろ側をつないでいて、骨盤の傾きにも影響します。
筋肉は付着しているところ同士の距離が変わり短くなったり長くなったりするので、骨盤が大腿骨側に近づくと骨盤を後傾方向に動かします。
座り仕事で身体を背もたれ預けているようなときには骨盤は後傾しやすくなり、大殿筋は短縮した状態になります。
座ったまま動かす時間がなければ筋肉が働く時間もなく、後傾した状態を身体が覚えやすくなります。
さらに大殿筋を使う機会が少ないことで縮まって伸ばす能力が衰えてくると弱くもなっていきます。
そこで起こりやすいのは骨盤が後傾したままお腹を前に突きだすような姿勢になることです。
これは背骨が丸くなったことともつながっていて、丸まった背骨を伸ばして起こすことができなるくなるものを補うために、骨盤の位置をずらして頭の高さを上げようとしていることもあります。
もちろんお尻の筋肉の大殿筋は鍛えられればお尻のかたちにも影響します。
ピンポイントで大殿筋に力を入れるのも得意、不得意が出やすいので股関節の動きや筋肉の動きがどうなっているかをイメージしながら行えるとよいと思います。
・大殿筋の筋力トレーニング
股関節の伸展の動きを利用して負荷をかけます。
腰を反らすと痛みや違和感が強い、首や肩の痛みや違和感が強い方は医療機関等、専門機関に確認してから行うようにしましょう。
・大殿筋のストレッチ
お尻の面積を広げるような意識で行います。
20秒程度、ゆっくり呼吸をしながら行いましょう。
▼ハムストリングの特徴、自宅でできる筋力トレーニング、ストレッチ
大殿筋とつながる、太ももの裏側の筋肉です。
陸上の短距離選手をはじめとした瞬発系のスポーツ選手などは大殿筋やハムストリングが発達し筋肉のボリュームがしっかりとあります。
ハムストリングも大殿筋と同様に蹴り出しに働き身体を前に進めるための機能を持ちます。
見た目としては、身体の正面から見える太ももの表側が気になることが多いかもしれませんが、機能としては表も裏側も大切です。
ハムストリングは大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋という筋肉の総称です。
大腿二頭筋は太ももの裏面の外側に、半腱様筋と半膜様筋は内側にある筋肉です。
股関節の動きと膝関節の動きに関連し、股関節を伸展、膝関節を踵でお尻を蹴るような動きに機能します。
また、股関節、膝関節の回旋動作にも働きます。
大腿二頭筋は股関節と膝関節を外側に向かって回旋、半腱様筋と半膜様筋は内側方向に回旋する役割があります。
太ももや膝の向きが外に広がっているようなときは外側が、内側に捻じれているようなときは内側の筋肉にカタさがあることがあります。
ストレッチをするときは足の向きも意識すると伸ばされ方が変わります。
・ハムストリングの筋力トレーニング
腰を反らすと痛みや違和感が強い、首や肩の痛みや違和感が強い方は医療機関等、専門機関に確認してから行うようにしましょう。
・ハムストリングのストレッチ
膝からお尻までの距離を長くします。
20秒程度、ゆっくり呼吸をしながら行いましょう。
●まとめ
背面の筋肉でも細かくみるとたくさんありますが、今回は姿勢に影響するような大きく目立つ筋肉について紹介しました。
筋肉の役割としては前後、上下、左右とバランスがよく使えることで運動機能も偏らずに働きます。
ご自身の身体に不足しているなと思うところはストレッチや筋力トレーニングでその機能を補っていきましょう。
・背中の筋肉は背骨を支えて姿勢を整える。
・筋肉がカタくなると背中が反りやすくなる。
・骨盤、股関節の動きにも関連する。
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ストレッチ専門店ストレチックス
https://stretchex.jp/
本部著書&公式ブログ 監修・執筆
本部研修トレーナー 渡辺 久進
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