このブログでは、ストレチックス本部著書「70歳からのゆる~い筋トレ&ストレッチ」執筆者が、本で書いたことの要点や、書ききれなかったことを、お伝えしていきます。
今回のテーマは「反り腰に関連する筋肉」です。
●反り腰の特徴
背骨は24個の椎骨で構成されていて上から頸椎が7個、胸椎が12個、腰椎が5個にわけられますが、反り腰にあたる部分が腰椎です。
背骨のかたちは前側に向かって弯曲をつくる前弯の形状と、後ろ側に向かって弯曲をつくる後弯があり、頸椎は前弯、胸椎は後弯、腰椎は前弯をしています。
腰椎前弯なので、本来、前に弯曲、後方に反るというのが適切なのですが、それが過剰になる、過剰に見えることが反り腰といわれるようなものです。
腰椎1番と5番の成す前弯の角度はおおよそ45度が適切とされています。
レントゲンなどで見ないと確実にわからないところはありますが、反っている幅が大きければ角度が大きくなっていて、適切な位置からはずれてしまうので、人によっては身体への負担を感じたり、動かすための不具合が生じたりすることもあります。
もちろん、その角度が大きくてもとくに問題ない方もいるので、それが必ずマイナスであるということもないと思います。
●反り腰になる要因として考えられるものは?
腰椎前弯という生理的弯曲があることで重力に対して立位で安定させています。
しかし、前弯を過剰にさせ、反り腰の状態にしてしまう理由の一つに、正しい姿勢を誤って認識していることがあります。
背中は丸まっているよりは真っすぐに伸びていることがよいといったイメージにより、極端に背面の筋力を使うようになり、結果的に反った状態が自然なかたちになってしまうことがあります。
また、人前に立つような仕事をされていると意識的に姿勢をよくすることで、背骨を反らせるようなこともあるようです。
人前に立たなくても、悪い姿勢でいると指摘される、何か緊張感を与える場面があったり他者がいたりすることで背骨周りを過緊張にしてしまうとも仮定できます。
(反対に萎縮して身体を丸めて固めてしまうこともある)
そして成長過程によっても腰椎前弯を起こしやすくなることがあります。
人間は赤ちゃんから成長をしていく際に、ハイハイの動きを経て立位の動きを習得します。
ハイハイのように四つん這いになっている期間に身体の前面の腹部の筋肉などが活用され、背骨を前側から安定させる筋力が発達します。
そのような期間が短く、立位になるまでが早いと背骨を立てた際に腰椎の前弯が強くなりやい場合があります。
赤ちゃんの期間にずり這いやハイハイをすることで、手足を動かし身体を動かしていく過程で背骨周り、胴体の筋肉に刺激が入り立位に向けての準備をしていくとされています。
●腰椎の前弯に関連する筋肉のストレッチと筋力トレーニング
腰を反るというのは腰椎を適切なカーブに保つための筋肉の働きが関連します。
腰椎の前側と後ろ側の部分からそのバランスを見ていきましょう。
筋肉はある骨と別の骨をつないでいるのでその筋肉が短くなり、カタくなってしまう、一方の筋肉が弱くなったり、強くなったりすることで腰椎の前弯角度、反り腰に影響が起こります。
▼筋肉が短くなる、強くなると反り腰になりやすい筋肉
・腸腰筋
腸腰筋は胸椎の下部、そして腰椎の1~5番までに付着して、太ももの骨である大腿骨の小転子という部分をつないでいます。
腸腰筋の役割には太ももを上に持ち上げるように、大腿骨と骨盤の前方向での距離を近づけることがあります。
このような動きは股関節の屈曲という関節動作です。
太ももを骨盤側に近づけるとは反対に、骨盤が太もも側に近づく動きも股関節の屈曲と捉えられます。
腸腰筋の距離が短くなると腰椎が太もも方向に近づくことになり、前弯の前方向へ引き付ける力が働きます。
腸腰筋は太ももを持ち上げる働きや、腰椎を支える役割をしているので非常に大切な部分ですが、短くカタくなってしまうと反り腰に方向に動かされることがあります。
・大腿直筋
大腿直筋は太ももの前面にある大腿四頭筋の一部にあたります。
四頭筋というのは4つの筋肉の構成ですが、そのうち大腿直筋のみが骨盤への付着があります。
太ももの前面にあるのでこの筋肉が短くなると骨盤を前傾させることになります。
骨盤の前傾が起こることで骨盤に乗っている腰椎も前側に引き付けられて前弯が強くなります。
大腿直筋は骨盤から膝の下部まで付着する長さのある筋肉なので骨盤を前傾することに協力に働きます。
骨盤の前傾により反り腰が目立つという場合は大腿直筋が短く、カタくなっていることがあるかもしれません。
・脊柱起立筋
脊柱起立筋は背骨を支え左右への側屈、回旋、伸展という方向に動かす役割をしています。
その中で背骨の伸展は背中を後ろに反らせる動きにあたるので、脊柱起立筋の伸展方向へのカタさは反り腰に影響します。
「よい姿勢」というと背中が丸くならずに真っすぐ起こすといったことがイメージできますが、その動きの主になることが多いのが脊柱起立筋で、まさに倒れた背骨を起こし立てることに働いています。
背骨のS字カーブを保つように脊柱起立筋を働かせていればよいのですが、過剰に伸ばそうとすることで反り腰を誘発してしまうことがあります。
1つは長年、「よい姿勢」を保とうとすることで背中全体のカーブが減少することで背面の疲れが出やすかったり、背骨の可動性が落ちてしまったりするケースがあります。
また、猫背が定着している状態で、背筋を伸ばそうとすると、もともと後弯している胸椎は伸展しにくくなっていて、もともと前弯している腰椎をさらに伸展してしまうことがあります。
猫背を解消することと腰椎を反らせて背筋を伸ばそうとすることを分けて動きを行うことが過剰な反り腰を起こしにくくなると思います。
・広背筋
広背筋は肩関節を動かす部類の筋肉にあたりますが、場合によって背中を反って固めてしますことがあります。
この筋肉は骨盤の骨の上部にあたる腸骨稜や中央の仙骨、腰椎、胸椎から上腕骨の前方にかけて付着しています。
腕を後ろに回りたり、腕を前から後ろに引くような動きの時に機能し、この場合は上腕骨が骨盤側に近づく動きになっています。
一方、骨盤側が上腕骨側に近づくように働くと骨盤が前傾しながら上半身方向に引き上がり背中の反らせるように位置が変わっていきます。
姿勢は背筋が伸びたように見えますが、腰部に対する負担と背骨の動きのカタさなどに関連します。
▼筋肉が伸長する、弱くなると反り腰になりやすい筋肉
・腹直筋
腹直筋はおなじみの腹筋、お腹の中央の筋肉です。
腹直筋の役割は身体を丸める腹筋運動があるように、胴体を丸めることで背骨の動き、腰椎の動きとしては屈曲いいます。
背骨では反る動きである伸展の対になる動きです。
背筋のトレーニングをしたらバランスよく腹筋も鍛えましょうといわれることもありますが、反り腰の姿勢であれば腹筋が背筋に比べると弱さがある、または背筋のほうが過剰に強くなっている、過緊張があるということが考えられます。
腰が反っているので腹筋をしようとしても背骨をうまく丸めることができない、仰向けから起き上がろうとすると背中をまっすぐにして起き上がってしまうということがあります。
このまま腹筋運動をしても腹直筋が使われにくいので、背中を丸めるストレッチなどで動きやすくしながら行っていくとよいと思います。
・ハムストリング
太ももの後面の筋肉をまとめた呼び名です。
立位体前屈の際でブレーキになる筋肉の1つで、カタくなっているとマイナスなイメージがある部分ですが、骨盤の前傾で腰が反りやすくなる姿勢では重要な部分です。
太もも前面の大腿直筋が筋肉の長さによって骨盤前傾に関与しますが、ハムストリングも骨盤から膝下までの距離があり、前傾の反対の後傾に働きやすくなっています。
骨盤の前傾に機能する筋肉と後傾に機能する筋肉のバランスがとれていれば過剰な前弯になることを防ぐことができます。
これらの筋肉が短くなっている、強くて過緊張をしている、または弛緩して弱くなっているといったことで腰椎の前弯が大きくなる、または骨盤の位置によって腰椎がついてくるように反った状態になることが考えられます。
ストレッチで伸ばす、柔軟性をよくする、一方は鍛えて筋力のバランスをとるといったようにそれぞれの部位に適したものを選択していきましょう。
●まとめ
今回は反り腰といわれる腰椎の過剰な前弯と、骨盤の前傾の組み合わせで状態を考えていきました。
骨盤が後傾していても反り腰になることもあります。
反り腰を改善する目的でなくとも、身体全体のストレッチや筋力トレーニングは大切ですのでできる範囲で行ってみましょう。
・日常の姿勢の意識や成長過程が反り腰の要因になる。
・骨盤を前傾させ腰を反らせる筋肉はストレッチ。
・骨盤を後傾させる筋肉は筋力トレーニング。
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ストレッチ専門店ストレチックス
https://stretchex.jp/
本部著書&公式ブログ 監修・執筆
本部研修トレーナー 渡辺 久進
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