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このブログでは、ストレチックス本部著書「70歳からのゆる~い筋トレ&ストレッチ」

執筆者が、本で書いたことの要点や、書ききれなかったことを、お伝えしていきます。


今回のテーマは「日常でスムーズに動く膝をつくるストレッチ」です。



●膝の痛みで聞く、軟骨とは何なのか?


▼軟骨のつくりと性質


「年齢による膝の痛み・・・」「膝の軟骨を守る・・・」といった膝の不具合に訴えるものは多く、それだけ膝に対しての不安や痛みをもっている人がいるということなのかもしれません。


膝の痛みでよく聞くのは軟骨がすり減るということですが、その軟骨とはどのようなものでしょう。

居酒屋で出てくるおつまみでおなじみの「軟骨」。

食べたことがあるかたは想像がつくと思いますがコリコリとした食感です。

フライドチキンの骨の端にも半透明の物体が付着しており、それが軟骨といわれる部分です。

人の身体にも同じように軟骨というものがあります。

膝の軟骨が減って痛いというイメージがあるので膝の特別な部分のように思われるかもしれませんが、他の関節にも備わっています。


軟骨は軟骨細胞と軟骨基質というものから構成されます。

軟骨基質は細胞と細胞のあいだにある物質です。

この軟骨基質のほとんどは水分ですが、それ以外には膠原繊維とプロテオグリカンという物質があります。

膠原繊維とはコラーゲン繊維ともいわれ、コラーゲンはタンパク質の一種です。


プロテオグリカンは糖とタンパク質が結合した糖タンパクの一種です。

魚や動物をはじめとする多細胞生物の皮膚や軟骨などに含まれている成分で、わたしたち人間の皮膚や軟骨にも多く含まれています。

コアたんぱく質と呼ばれる長いたんぱく質の糸に、グリコサミノグリカン(多糖類の一種)という糖鎖が何本も結合したブラシのような形状をしています。

グリコサミノグリカンには様々な種類があり、代表的なものとしてコンドロイチン硫酸というものがあります。

プロテオグリカンはヒアルロン酸と結合してプロテオグリカン凝集体をつくります。

その特徴はスポンジのように水分を溜める、保つ機能があることです。


保水機能があるものなのでお肌の潤いを保つというように美容関係のもので使用されることも多いです。


膠原繊維は引っ張る力が強いので、張りや軟骨組織のかたちを維持する役割があります。


軟骨細胞は軟骨小腔という小部屋に一塊になっています。

この軟骨細胞がコラーゲンやプロテオグリカンを構成します。



▼軟骨がすり減っていく要因


軟骨はすり減るという表現をされますが、なぜそのようなことが生じてしまうのでしょうか。

個人差があるものですが、


・靭帯や半月板などの膝の怪我をしたことがある。

・男女を比べると、女性のほうが減りやすいという性差。

・過体重により膝関節への負荷が高い。

・年齢により軟骨の新陳代謝が衰えて薄くなっていく。


といったことが要因としてあげられています。


変形性関節症では何らかの原因で関節軟骨がすり減り、骨同士の適合が悪くることで可動域に制限が出たり配列にゆがみが生じたりします。

減少が過度になると軟骨下の骨が露出して、その部分に荷重が加わり続けることで肥厚硬化や骨壊死が起こることがあります。

また骨の接地面がとげのようになる骨棘がつくられることがあります。


▼軟骨がすり減るとなぜ痛い?


これはいろいろな考えがあると思うのでその一つとしてご紹介します。

まず、軟骨が痛い、痛みを感じるということはありません。

それは軟骨には神経がないからです。


痛みを感じるのは筋肉や神経、皮膚といった痛みのセンサーをもっている部分です。

すり減った軟骨同士があたって痛いという感覚なのかもしれませんが、その周囲の組織が痛みを感じていることになります。

関節軟骨が減って接合部のかたちが悪くなり、動きが悪くなっているために動かすと痛いということや、筋肉がカタくなり神経に圧がかかることで痛みを生じるといったことがあるということです。


変形性関節症を持っていても痛い日と痛くない日があるといいます。

たくさん歩いたり、足に強い負荷がかかったりするようなことがあれば筋疲労などが考えられることの1つです。

そして軟骨が削れている状況であるかどうかが考えられます。

軟骨がすり減るときに、その削りカスのようなものが生じ、それが関節内にとどまる、散らばるといわれます。

その散らばった削りカスを免疫細胞が異物として感知し、攻撃することによる炎症反応で痛み

が起きるという見方もあります。


●日常から膝のためにできるストレッチ


人工関節置換手術をして関節の可動制限は残るものの、痛みなく過ごしている方もいます。

変形の状況により手術を勧められないという方もいます。

自身の幹細胞を利用して、再生を促すような方法を選択する方もいます。

いろいろな方法がありますが、それは専門の医療機関の判断や意見を求めるのが適切です。


しかし、できれば膝の痛みを起こしたくないというのが希望としてあるものだと思います。

膝の動きを保つためにできること、膝関節の動きに関わる筋肉の働きとエクササイズを紹介します。


膝の関節の主な動きは曲げると伸ばす、そして膝関節を構成する大腿骨と脛骨の回旋です。

膝が曲がりにくい、伸びにくいという要因を筋肉の面から見ると、単純ですがそれぞれの動きに機能する筋肉の動きの悪さがあります。


▼膝の伸ばす役割がある大腿四頭筋のストレッチ


太ももの前側にある、膝を伸ばすために働く大きな筋肉です。

歩行を維持するためにはここを鍛えましょうという提案が多い部分でもあります。

立ち上がるときには膝を伸ばしていく必要がありますが、大腿四頭筋がその力を発揮しにくくなれば体重を膝が支えにくくなります。

伸ばすために働くということは、曲がらないようにしていることでもあります。

歩く時では踏み出した足に体重がかかるために身体は沈もうとします。

階段の昇り降りでは必ず片足立ちになる瞬間があります。

このときに軸足の膝が曲がっていってしまえばお尻が下に沈んでいきます。

そのような状況で膝が曲がらないようにブレーキをかけています。


膝を伸ばすための筋肉であることで曲がらないように制御していますが、柔軟性が低下してしまうと膝の関節が曲がりにくくなります。


日本リハビリテーション医学会が示す膝関節の可動域はまっすぐに伸びる方向が0°、曲がる方向は130°とされています。

競技や芸事で必ずそれ以上の可動域が必要という場合があることや、どのような状態でその可動域を使うのかがあるので、人それぞれ求める動きには差があると思います。

ただいカタくなって筋肉の柔軟性がなくなることで、動かすときに痛い、曲げないようにブレーキをかけることの前に、曲がりにくくなっていればそれが日常の動きを妨げるものになってしまいます。

ストレッチを日々行って筋肉の柔軟性を保ちましょう。




▼膝を曲げる役割があるハムストリングのストレッチ


骨盤の坐骨から膝の裏側を越えて付着している筋肉です。

これは大腿四頭筋の対になる、膝を曲げる機能があります。

太ももの裏面にあり、前屈をしてカタい方は突っ張り感がある部分だと思います。

日常の動作は膝を曲げるという単体のことよりも股関節や足首も使うことが多いと思います。

ハムストリングは膝関節を曲げる機能と股関節から足を後ろに蹴り出す機能もあります。

この動きを使うと蹴り出しによって身体が前に進みます。

大腿四頭筋がブレーキだとするとハムストリングはアクセルの働きをします。


ハムストリングの膝への影響は、カタくなっていくと膝が伸びにくくなるという点があげられます。

極端ですが、膝が曲がったままであれば体の重さが重力に対しまっすぐに保ちにくくなります。

中途半端な曲がり方で維持されてしまえば自分の重さを支えることが負担になり、曲がろうとする力に対して大腿四頭筋が曲がらないようにブレーキをかけているのでそこにも負担がかかります。






▼膝にも関わるふくらはぎの筋肉、腓腹筋のストレッチ



腓腹筋はふくらはぎの筋肉として示されることが多い部分です。

ふくらはぎの筋肉というと踵を持ち上げ背伸びをしたときに強く働くため足首の動きに関わるものと考えられますが、この腓腹筋は膝の動きに似も関与しています。

ハムストリングと同じく膝の裏側を通過して付着しており膝を曲げる役割をします。

お尻をさげて下にしゃがむときに膝が曲がっていくのは重力とこの腓腹筋の動きです。


とくに腓腹筋とハムストリングは膝の裏側で重なるようについているため筋肉がカタくなると互いの動きにくくなるようになり、膝の裏側がスムーズな伸びを妨げてしまします。

腓腹筋とハムストリングの癒着を防ぐためにもしっかりとストレッチをしていきましょう。




●曲げ伸ばしだけではない、膝関節の回旋とは?


膝は安定性が優位の関節なので各筋肉や靭帯でしっかりと守られています。

回旋というと捻じれのようなことなので安定性を失うようなものになるともいえます。

しかし関節には動きの特徴があり、しっかりと固定されているかたちを緩んで動くポジションがあります。

膝関節ではまっすぐに伸びているときは安定性がしっかりとあり、曲がっている状態では緩み回旋する遊びができます。

膝関節の曲げ伸ばしは太ももや脛、ふくらはぎがまっすぐに動いているだけに見えますが、内側、外側へ回りながら動いています。

これを専門的に「スクリューホームムーブメント」といいます。


一般的には膝が伸びる際には膝下が外側に回旋しながら伸びていき、反対に曲がっていく際には内側に回旋して動くとされます。

この回旋運動がうまく機能しにくいと最後までしっかりと伸びなかったり、曲げにくかったりすることが起こることがあります。

自分の膝をみてスクリューホームムーブメントを適切にしているかはわからないものだと思うので、回旋に機能するハムストリングの動きを意識しておくとよいと思います。


太ももの裏側の筋肉であるハムストリングは内側の部分と外側の部分に分けられますが、それぞれの機能で膝下を内側に回す内旋、外側に回す外旋があります。

内旋はハムストリングの内側の半膜様筋と半腱様筋、外旋は外側の大腿二頭筋がその役割を持ちます。

カタくなってしまいうまく機能しなくなると回旋運動が出にくくなることがあります。

ハムストレリングのストレッチをする時も先に紹介したように足の方向を変えながら行うとそれぞれに筋肉を伸ばすことができます。


また、膝下の動きのみを意識して動かすようにするエクササイズも回旋可動域をつくるのによいと思います。



●まとめ


膝関節は長年、身体を使うことにより傷んでしまうということもあれば、スポーツ中に一瞬で大きなケガを起こすこともあります。

どちらにしても伸ばしにくい、曲がりにくいということで日常が不便になってしまうのは防ぎたいものです。

痛いときに無理に動かすのはかえって筋肉や関節にカタさを与えてしまうこともあるのでこれくらいの動きなら大丈夫だな、と少しずつ余裕を感じるように行うようにしましょう。

膝関節に不安がないかたも日々のストレッチは先々のために取り入れてみてください。


※膝の痛みの原因や変形の症状の判断は医師の診断が必要です。

 ご自身でストレッチ等を行うさいは無理のない動きで行うようにしましょう。


・膝関節は伸ばす、曲げる、回旋の動きができる。

・太ももの前側の筋肉は膝を伸ばす、裏側の筋肉は膝を曲げる。

・膝関節の軟骨は年齢や性別、既往歴が減少の要因になる。

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ストレッチ専門店ストレチックス
https://stretchex.jp/

本部著書&公式ブログ 監修・執筆

本部研修トレーナー 渡辺 久進

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