【雑談】"10分で試算表を作れるか?" を考える。
こんにちは、きくちきよみと申します。
税理士です。
遂にコロナに罹ってしまい、先週から自宅療養中です。今週に入って少しずつ仕事をしています。週2回を目安にこのマガジンを書いていますが、今週に入って全く書いていなかったことに気づきました。(記事をストックせずにいつも当日に書いているので、こういうときに困ります。)
今日は「試算表の作り方」について、思うことを書いてみたいと思います。
注:タイトルに【雑談】が付されている投稿は、今まであまり整理したことがなかったことで、最近ふと考えたことについての投稿です。考えが浅い部分も多分にあると思いますが、雑談の雰囲気で読んで頂けますと幸いです。
「1社の試算表を10分以内に作りたい」と願っていた。
自分が過去に勤務した税理士法人で、非常に忙しい職場がありました。一人の担当社数は月次作業ベースで平均100社以上で、年次作業ベースでは200件を超える先輩もいらっしゃいました。今となっては自分の生きるための糧になっているので「思い出」として思い出せますが、当時はかなりキツイ毎日だったことは否定できません。
自己中心的な考え方ですが「1社の試算表を10分以内に作れるようになれば、終電で帰宅して始発で出社する生活を変えられる」と考え、何とか試算表を早く仕上げてお客様に報告したいと願っていました。
もちろん、当時考えていた「10分」では、どんなに小規模な企業であっても受け取った資料の整理作業すら終わりません。それでも「資料のもらい方(例:紙→データ)」「会計記帳の方法(例:データ取り込み)」だけでも工夫すれば作業時間が半分以下になることもあり、地道に工夫を重ねる毎日でした。
ただ、そのような「会社の状況に応じて工夫するための試行錯誤の時間」を捻出すること自体もリスクが高く、「試行錯誤に時間をつかってしまったものの、結果的に作業時間の短縮につながらなかった」ということもありました。
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頭の中だけなら、試算表は10分で完成する。
担当社数が多いからこそやっていたことですが、試算表作成のための資料整理・会計記帳をして手を動かしながら「今月のこの会社の試算表はこういうBS・PLになるはず」ということを必ずイメージするようにしていました。
前期同月・当期推移の状況が頭の中に入っていれば、「想像上の試算表」は10分かからず完成します。事前に知っている特殊事項(例:今月は従業員を1名採用した、など)があればその分を加味し、頭の中で試算表をつくります。
そして頭の中で完成した想像上の試算表数値を百万円単位でメモし、最終的に会計ソフトから出力された試算表の実績数値と比較する、ということを当時は毎日実践していました。
頭の中の試算表と実際の試算表を比較すると、「在庫の金額が想定の3分の1以下である」「業務委託費の金額が想定より100万円多い」「この1,000万円の広告宣伝費の話は聞いていない」など、その会社に対する自分の理解度を測ることができます。
事業会社経理の時代に「試算表数値の異常値によく気づく経理の先輩」がいらっしゃいましたが、本当に自社の事業のことを理解されていたのだな、今さらながらに思います。
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今は「試算表が10分でできる時代」なのか?
現在は会計ソフトも機能が充実しているので、「会計ソフトの機能にうまく合わせて作業すれば、事業規模によっては、10分かからず試算表が作成できる」時代だといえるでしょう。生成AIも組み合わせれば、比較分析内容の自動テキスト化も非常に近い未来だと思います。
ただ、実際には「会計ソフトの機能を完全に生かせるような会計記帳」はなかなか難しいです。一時的にできたとしても、ビジネス内容が変わると対応ができなくなるようなことも、しばしば起こります。
経理部の在り方として「会計ソフトの機能 VS 経理人材の能力」の論点がありますが、自分はやはり「経理人材の能力」に重きをおいていきたいと、改めて思っているところです。
最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。
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