【経理】経理さんが大番頭になると経営が安定するという話。
こんにちはきくちきよみと申します。
税理士です。
今日は、「企業の経理さんが会社の大番頭になると企業経営が安定するので、それは長寿企業の第一歩である」ということについて書きます。
会社の「大番頭」とは。
日本語で他に適切な言葉が見つからないのでこの表現を使いますが、企業の「大番頭」は、企業経営に重要です。
大番頭とは、「社長ではないものの、社長と同じレベルでその商売のすべてを把握して取り仕切る」役割です。
例えば、ドラマ『下町ロケット』では立川談春演じる佃製作所の "殿村直弘" 、高田郁著『あきない世傳金と銀』では主人公の師匠である "治兵衛" 、のことです。
海外の映画で例示してみようと思いましたが、何となくしっくりくるものがありません。「企業のナンバー2」ではあるものの、CFO・COO・CTOのいずれも適切ではないように思います。
なぜ、「大番頭」が必要なのか。
企業に「大番頭」が必要な理由は、企業の社長は忙しすぎるためです。社長と同じ判断ができる人が他にいるのであれば、それに越したことはありません。
企業経営の中では、小さなことから大きなことまで、本当に数多くの判断が必要とされます。その判断は後からリカバリーできるものもあれば、決してリカバリーできないものもあります。また、人材や知財など、会社が抱える多くの財産を、一つひとつの判断で守っていきます。
"社長が判断しなくても、社長と同じ判断を、別の人が下す。"
こうして言葉にしてみると、非常に大きなことであることがわかります。「大番頭」と呼ばれる社長以外の人が、重要な判断をし、企業経営を守っていくことになるのです。
基準は、自分で判断する覚悟を持てるかどうか。(=社長が信用するかどうか。)
「社長と同じ判断ができる人」になるには、自分の会社のことも社長のことも良く知っていなければなりません。結果的に「長くその会社に勤務する人が大番頭になりやすい」という事実は存在します。
ところが、経験や時間は関係なく、あっという間に大番頭になる方を見ることがあります。
例えば、問題が起きた時にその事実が明確化します。
以前は、同じような問題が起きたときに責任回避するような発言が多かった方から、聞かなかった言葉を聞くことになります。
「大丈夫ですよ。社長に伝えて必ず変えます。」
「あ、その件ですね。それは、~が理由です。事前に説明しておかず失礼しました。対処はどうしましょうか。」
すぐに大番頭になる方と時間がかかる方の違いは、「自分で判断する覚悟を持てるかどうか」だと思います。ご自身の能力や努力もあるとは思いますが、同時に、「社長が信用して任せてくれるか」ということもポイントでしょう。ある程度のバッファがあれば、覚悟を決めることも容易になります。
経理さんが、大番頭になりやすい。
社長をCEOと定義すれば、CFO・COO・CTOの中に、大番頭と呼ばれる方は多いと思います。ただ、中小企業のリソースの中ではそもそもCOOやCTOは採用できないため、CFOが大番頭にいちばん近いことになります。
特に、CFOは数字という明確なものでその会社の状況を把握しているため、会社の実情を理解しやすいのは、自明の理であるものと思います。
「自分以外のものは信用しない」から脱却し、企業の経営者の方には「信頼できる大番頭」を育てて頂きたいと思います。
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ここまでお読み頂きまして、ありがとうございました。