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【経理】自社で会計記帳するのが重要な理由。
こんにちは、きくちきよみと申します。
税理士です。
中小企業の場合、会計記帳は自社でやらずに会計事務所や税理士に委託することは多いと思いますが、今日は、自社で会計記帳することのメリットは非常に大きい、ということについて書きます。
自社で会計記帳するようになるタイミング。
中小企業の場合、自社で会計記帳をしているケースもありますが、会計事務所や税理士に会計記帳を委託しているケースも多いでしょう。
社内で記帳するかどうかについては、私自身、以前は「会社の実情に応じて、コスパが良いのであれば、外注できることは何でも外注した方が良い」と考えており、あまりこだわりはありませんでした。
ただ、IPO(上場)を目指そうとすると、自計化(社内で会計記帳するようになること)は必須条件になります。IPO案件に関わって自計化による会社の変革を短期間で実感することが多くなり、自計化によるメリットは非常に大きいという思いが強くなりました。
今は、「IPOを目指すタイミングでなくても、中小企業はもっと社内で会計記帳するようにした方が良いのではないか」と考えています。
自計化によるメリット
自計化によるメリットは、下記のようなものだと考えています。
①月次決算の早期化
当然のことですが、外部に委託するよりも、月次決算が締まるのが早くなります。
不明点を翌月以降に持ち越すことは少なくなるため、毎月の取締役会や経営会議の日程も早められるようになります。
②会計処理に対する理解・こだわり
会計事務所や税理士に委託しているときは気にしていなかった会計処理について深く考え、こだわるようになります。
特に、BS残高にこだわるようになります。そして、売掛金・買掛金のような重要な科目残高のみならず、その他のBS残高にも目を向け、「自社にとって適切な会計処理は何か」について考えるようになります。
例えば、会計事務所に中小企業の会計記帳を委託すると、何の断りもなく、「短期前払費用(1年以内にサービス提供を受けるの前払の費用)をBS前払費用にせず、PL費用処理する」という会計処理をされてしまうことがあります。その方が、当期の法人税額が少なくなるからです。ただし、「その会計処理は、本当に自社の実態を反映しているか?」と考えた場合に、そうではない場合も多いです。
金額の影響も見て一つひとつの会計処理にこだわり、特にBS残高の在り方についてこだわることは、何より自社のことを考えている経理の方にできることだと思います。
③キャッシュフロー管理
自計化すると、キャッシュの動きが良く見えるようになります。
キャッシュの動きを見ながら、売掛金の回収サイトを早める工夫や、支払いのルール決めなどを、経理から自発的に提案できるようになるのも、自計化のメリットです。
自計化によるデメリット
一方、自計化によるデメリットは、ただ一つ。
①人件費がかかる
社内で会計記帳することになるため、記帳できる人を雇用しなければならない、というのが唯一の、かつ、最大のデメリットになるでしょう。
もちろん、中小企業の常駐の経理人材を雇うことにより、固定費が増えることを気にする経営者は多いと思いますが、より事業を大きくすることを考えているのであれば、優秀な経理人材に投資することは決して無駄ではない、ということを是非お伝えしたいです。
営業活動と会計は連動している。
会社の大きさに関わらず、月次決算を適正化して、自社の本当の財政状態と経営成績に真摯に向き合い、より大きく事業を成長させようと考えるならば、まずは自社で会計記帳する体制を整えることをお勧めします。
まだ自計化されていないようでしたら、是非、貴社で導入を考えてみてはいかがでしょうか。