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【強い経理】月次決算の精度を上げるには?

こんにちは、きくちきよみと申します。
税理士です。

よくお客様から受けるご相談の一つに「月次決算の精度が低く、後日になって月次決算の数値が大きく変わってしまう」ということがあります。

今日は「月次決算の精度を上げようとするとき、考えてみたいこと」について書きます。

注)このマガジンは中小企業向けに書いていますので、ここでの「決算」は原則として単体法人決算を想定しており、連結決算は考慮していません。

↓↓↓ 本マガジンにおける「強い経理」の定義


そもそも、年度決算の精度は高いか?

月次決算の精度を上げようと考えるとき、年度決算との比較をするのが最も簡単です。「年度決算はいつも円滑に進むし精度は低くないはずなのに、月次決算はうまくいかない」ということであれば、年度決算と月次決算の違いの部分だけが問題だとわかるからです。

ところが、「そもそも年度決算が円滑でない」「年度決算の数値はなかなか固まらず、決算が締まるのは決算日後40日」という状態で急に月次決算だけ精度を上げようとしても、うまくいくわけはありません。この場合、まずは「決算の締め方」を改めて検討する必要があるでしょう。

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年度決算と同じ手順を踏んでいるか?

「年度決算の精度は低くないのに、月次決算はうまくいかない」という場合、多くの場合において「年度決算でやっていることを月次決算では実施していない」ということが理由です。

①内訳書の作成

多くの中小企業において「年度決算時はやっているが、月次決算時はやっていない」というもの一つに「(勘定科目の)内訳書の作成」が挙げられるでしょう。作成するのに時間と手数がかかってしまう、というのが一番の理由です。

ところが、決算作業においては「すべてのBS残高が正しいかを確認する」ということが非常に重要です。逆に言うと「すべてのBS残高が正しいか確認・検証できれば、月次決算は完了したも同然」と言っても過言ではありません。内訳書の作成中に会計記帳のミスに気づくことも多く、月次決算で内訳書を作成している会社さんは、後になってミスが判明することも少なく、ミスがある場合もその金額影響が大きくなることは少ないです。年度決算の数値も比較的早く締まります。

毎月のことですので、勘定科目の内訳明細を簡単に作成・検証できるようにしておくと、これだけで月次決算の精度は上がります。


②発生主義 or 現金主義

月次決算は現金主義で決算を組み、年度決算のときだけ発生主義に変えて決算を組んでいる場合、現金主義である月次決算の精度を上げようとしても、そもそも何が正解かどうか区別がつきません

「月次決算の精度を上げたい」という経営者の希望があるのであれば、現金主義を発生主義に変えることも含め、月次決算の組み方は検討すべきでしょう。


③引当金、減価償却などの見積数値

「年度決算の精度は低くないのに、月次決算はうまくいかない」という場合でも、詳細を伺うと「年度決算は顧問税理士が一部の仕訳を作っている」ということがあります。例えば、引当金や減価償却などです。

このような見積数値も含めてすべて会社で管理できれば良いですが、なかなかそこまで手が回らないということも多いでしょう。このような場合、見積計上すべき金額を年度初めに検討し、例えば12分の1ずつ、月次決算で費用計上していけば、年度末に急に決算数値が歪むということはありません。

できるかぎり「年度決算だけの仕訳」をなくすようにする工夫が大切だと思います。

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会社に合った月次決算の方法を考える。

月次決算についてお客様からご相談を受けるとき、「経営者にとっての月次決算の重要性」と「実際に実施している月次決算の方法」のバランスが悪いことが多いです。経営者が月次決算の正確性に重きをおくのであれば、それに見合った方法を採用すべきでしょう。

是非、各社に合った月次決算の方法を考えてみてはいかがでしょうか。


最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。

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