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熟睡が出来る物語⑦「月夜の妖精エリオと星の歌」
エリオは小さな月の妖精で、星々と一緒に夜空を飾ることが仕事でした。彼は星々を揺り籠のようにゆらゆら揺らしながら、それぞれの星に優しい歌を歌っていました。
ある穏やかな夜、新しい星が空に登場しました。しかし、その星はまだ歌を知らない新米で、どうやって輝くべきかわからなかったのです。エリオはその新しい星に微笑み、優しく語りかけました。
「大丈夫、君はきっと素晴らしい輝きを放つことができるよ。私が君に歌を教えるから、その歌に耳を傾けてみて。」エリオがソフトなトーンで語り始めると、夜空はさらに静寂に包まれました。
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新しい星はエリオの歌に耳を傾け、その調べに身を任せることで自らの光を磨き上げる術を学んでいきました。エリオの歌声は夜空を満たし、その音色は新しい星の中に潜む可能性を引き出していきました。エリオの歌が小さなクレシェンドを迎え、最後の音符が静かに響き渡ると、新しい星は躊躇なく、自信をもって美しい光を放ちました。
その夜は特別な夜でした。星々はエリオの調べに合わせて輝きを強め、一緒に美しい夜の歌を創り上げました。その歌は地上へ降り注ぎ、子供たちの心をやさしく揺らして、彼らを夢の世界へと誘いました。エリオは微笑んで新しい星を見つめ、その輝きに感動しながら、満足げに頷きました。新しい星に向かって、彼は優しく手を振りながら、ささやかながらも心のこもったおやすみの言葉を贈りました。
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翌朝、地上の子供たちは穏やかな眠りから目覚めました。夜空で起こった小さな冒険に気づくことはありませんでしたが、それでも彼らの心には、エリオと星々が奏でたメロディーの余韻が残っていました。その歌は子供たちの心を暖かくし、新たな一日を迎える準備を整えていました。
そしてエリオは、優しく歌いながら、全ての子供たちに向けて言いました。「さあ、もう眠りの時間ですよ。星々の優しい輝きに身を任せて、心地よい夢の世界へ旅立ちましょう。今日も一日、よく頑張りましたね。そして明日も素晴らしい一日が待っています。だから今は、ゆっくりと、心地よく眠ってね。おやすみなさい、素敵な夢を。」その言葉とともに、エリオの優しい歌声はだんだんと遠くなり、ついには静寂に包まれた夜空に消えていきました。
そして、新しい一日が来るまで、安らかに、深く眠りました。