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【無料で全部読めます】戦略コンサルタントからみた「フェルミ推定のポイント」 扇風機の市場規模
有料記事設定ですが、皆さん全部無料で読めます。
思ったよりも反響が良いこと、当方の本業(コンサル)が忙しく追加記事を書くためのモチベーションが欲しいことから、投げ銭的に応援してくださる方は応援いただけると嬉しいです。以降、本題です。
戦略コンサルティングファームを中心とした入社試験ではもはや定番であり、「できない=落選」が決まる足切り基準である印象が強いフェルミ推定について語ります。
戦略コンサルタントはフェルミ推定で、候補者をどのように評価するのでしょうか。大きく3つのポイントがあります。
①定量的な構造化ができるか?
②本質(数字を規定する要因)を付くことができるか?
③数字自体の精度を検証できるか?
実際のケースのお題を例にして①~③がどのように評価されていくかみていきましょう。以降、”ジュニアクラスの1次面接であれば通しても良いかな”と思える学生の回答イメージです。
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◆ケースお題
日本国内における扇風機の市場規模はどの程度になると思いますか?
3分で算出をお願いします。(ベインなどでこうしたプレッシャーを与えられたフェルミ推定がでることがある)
◆初期回答 (思考時間3分)
結論から申し上げますと、扇風機の市場規模は290億円/年と考えます。
具体的に説明して参ります。
まず市場構成についてです。大きく次のように構成されると考えます。
(①定量的な構造化ができるか?)
・A:設置用扇風機 市場
・A1:世帯購入市場
・A2:法人購入市場
・A21:民間企業
・A22:公的組織
・B:携帯用扇風機 市場
Aについては成熟しており現存台数の買替え需要によって市場規模が形成されていると仮定します。
A:設置用市場=f:現存台数(台)÷ g: 平均買替年数 (年) × h: 平均単価 (円/台)
Bについては比較的新しい市場であり、新規消費者獲得が市場規模を形成していると仮定します。
B:携帯用市場=a: 人口(人)×b:未保有率(%)×c:新規購入率(%) ×d:平均購入台数(台/人年) × e:平均単価 (円/台)
続いて、上記構成に沿って具体的に推計しました。時間が限られているため、優先順位をつけて推計しました。
(②本質(数字を規定する要因)を付くことができるか?)
数値精度の観点ではBは極めて小さいと思え、Aにフォーカスをしました。そしてA2についてはA21が支配的であると仮定しました。民間企業従事者の方が圧倒的に多いためであり従事者に比例して扇風機の台数も変化すると想定するためです。
つまり、
市場規模 ≒ A: 設置用市場 ≒ A1:世帯市場 + A21:民間企業市場
と仮定し算出いたしました。
A1:世帯市場については以下から、240 億円/年
f:現存台数=4000万台 1世帯1台は存在していると仮定
g:平均買替年数=5年 実感をベースに家電の買替周期を採用
h:平均単価=3000円 家電量販店の数値を基に想定
A21:民間企業市場については、以下から50 億円/年
f: 現存台数 = 500万台 従業員が5000万人で10人に1台扇風機があると想定
g: 平均買替年数 = 5年 B1と同様と仮定
h: 平均単価=5000円 企業用のため世帯よりも高いと仮定
以上より市場規模は290億円/年 と考えました。
◆面接官との議論を通じた深堀評価
面:数字は妥当そうでしょうか?(③数字自体の精度を検証できるか?)
候:確かエアコンの市場規模が2,000億円程度だったと思います。すると扇風機は10分の1程度になります。扇風機が衰退し、エアコンにシフトしていっているということを考えると妥当そうだと思います。
面:なるほど。いい数字を知っていますね。
候:はい。それ以外の検証ですと肌感覚と照らし合わせる形でしょうか。台数推計がこのフェルミ推定のネックですが、世帯については個人的に違和感はありません。法人については今300万企業(平均従業員数は20人くらい
くらい)あるはずですので、1企業につき2台くらいの扇風機があるということになります。これも大きな乖離はないように思います。
面:…。そうかもしれないですね。わかりました。
面:ご自身の推計精度を高めるためにはどうしますか?さらに10分あったら何を行っていきますでしょうか?
(②本質(数字を規定する要因)を付くことができる)
候:この推計の依拠している前提を羅列した上で、その中でも推計誤差へのインパクトが大きなものから順に対処していくことになろうかと思います。前提は大きく4つあります。
P:A1世帯用扇風機市場の台数・購買量等が一律に設定可能
Q:A21民間企業の設置扇風機市場の台数・購買量等が一律に設定可能
R:B携帯用扇風機市場は無視できるほど小さい
S:A22公的組織の設置扇風機市場は無視できるほど小さい
面:なるほど。どれが優先度が高いのでしょうか?
候:そうですね。先ほどの数値検証でP、Qの誤差は小さいと考えてよいと思います。故に残るRとSが大事そうでしょうか。。。
特にSでしょうか。病院や学校、バス、電車などに設置されている扇風機が該当すると思いますが以外とボリュームがあるように思います。
面:そうですね。RはなぜSに比べて劣位と判断したのでしょうか。
候:大きく2つあります。
1つ目はS側で上記のような明らかな漏れがあったこと
2つ目はR側において更に浸透するイメージが持てなかったことです。Pの携帯用扇風機市場はそこまで新しい概念でもないですし、直近イノベーションが起きて機能性が増したという話も聞いていません。故にそこまで新規獲得ができておらず市場規模も小さいのではないかと考えました
面:わかりました。これくらいにしましょう。
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この候補者は良い回答をしている。
①~③のポイントに基づき簡単に評価をしてみよう。
①定量的な構造化ができるか? ➔ Good
フェルミ推定の中でも比較的難問である。市場全体を捉えることが意外と複雑であり購入主体によってできるだけMECEに類型化が求められるからである。特に通常の候補者であれば既存買替市場しかなく、A携帯用扇風機を無視して議論をすることが多いのだが、この候補者はここも検討の枠組みとしてあげた上で優先度が低いと議論できている点で優れている。
②本質(数字を規定する要因)を付くことができるか? ➔ Good
この候補者は非常に良い回答をしている。市場構造が複雑であることを言及した上で、3分という短い制約時間の中で、枝葉がどこかを論理的に見極め、推計アプローチに反映させることができている。
またディスカッションの中でも、更に精度を上げるための方針について極めて論理的に回答ができている。特に推計の穴(依拠する前提)を論理的に上げた上で理由をつけてさらに優先順位付けできたところは極めて良いといえる。候補者の中でも中々ここまでできるものはいないといえよう
③数字自体の精度を検証できるか? ➔ Good
たまたまエアコンの市場規模が頭で入っていたのが奏功している。しかしながらそれだけではなく自分の実感ベースでの推計の妥当性を検証する姿勢を見せている。妥当性の検証方法としては実感はイマイチなところもあるが、多面的に物事を捉えて検証しようとする姿勢はGoodである
いかがでしたでしょうか。
勿論、フェルミ推定は1次面接の足切りラインであり、この後、この候補者は「市場規模を拡大させるための方策を考えよ」という質問に対応していくことが求められる。
とは言え、このレベルの回答は戦略コンサルタントを志望する上では必須といっても過言ではない。このケースを参考に対策をしていっていただけると幸いである
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