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大学生の空虚感、みたいなの

 大学生になって急にやることや勧められること、娯楽などの情報過多になり、何をやったらいいか分からなくなってる。これは最近いろいろな人に話を聴いたりネットのエッセイを読んだりしてほぼ確信して言うのですが、浪人経験者はこうなりがちなのではないか?あと、僕もその例に漏れない、と考えている。

 なんでこうなるのかとか考えようが無いけど、自分の考えでは浪人生は生活の密度が否が応にも薄くなるからだと思う。経験した人しか分からないことだが高校卒業してストレートで大学に入って得られる生活の濃さのギャップと、浪人して大学に入学してから得られるギャップでは明らかに後者の方が大きい。浪人してる人間はやろうと思えば予備校とのつながりも絶てるし、宅浪であればなおさら社会から孤立したような形になるし、入ってくる情報は受験テクニックと本番への心構えと大学に行った同級生の大学での生活ぶりとかどこそこへ行ったとかいうものばっかりだし、もっとこう、新生活を初めて分かったことだけど、世の中には雑然とした情報がいっぱい溢れてる。

 一人暮らしを始めるのに、やれこのアパートは広いが古いとか、立地が悪いとか、はたまた燃えるごみはこの日とこの日に出さなきゃいけないとか、食材使い切らないととか、宗教にはいりませんか?とか。それはそれはいろんなことが頭を駆け巡っている。

 宗教には入りません、とくに悩んでないので。いやいや悩んでるでしょ?いや、あなたがたの言っている「悩んでる」っていうのは死ぬのが怖いとか生きてるのが嫌だとかでしょ。今はそんなことに悩んでないし、悩んでるのはもっと身近なことについてだよ。例えば、帰省をするから明日までに卵7個使い切らなきゃいけないな、とか。お話を聴いたところ君たちの教祖様は悩める子羊の明日の晩飯の献立を考えてくれるような気もしないし、履修登録もやってくれないし、新歓期間にサークルに入り損ねたから後になってLINE送ってくれるわけでもないだろうから、僕は入信するのやめときます。

 とにかく、そんな雑然とした情報に触れずにおよそ11か月勉強だけをさせてもらえて来れたのも、ひとえに家族のおかげだと気づいて、感謝することができた。スペシャルサンクス、ありがとう。

 でも、ありがたいことに1年の勉強で合格することができたのに、新生活で独り暮らしを始めて、自分でやることが多くなって、何を優先すべきなのか分かんない状況に陥ってる。浪人してたときよりよっぽどいい。いくらお金を積まれても前みたいな生活には絶対戻りたくない。そういえば現役で合格した同級生と話をしてると、「お金もらえたら浪人してもいい」っていう人間が結構多くて驚いた。これが価値観の違いか…人間って意外と多様やったんやな…。1年間で知らずのうちに凝り固まってた自分の性格にも驚く。

 解決策は、これといったことは考えてないです。共感してくれる人がいるかなと思ってこの文を書いてます。わがままなのはわかってるけど苦しむ↔救うの関係ではなくともに痛みを分かち合う仲間が欲しい、というのは古来からの人間の性質だ、そうであれ。

 ちょっと浪人期間で鬱屈としてしまったので考えすぎてしまってるのかもしれないね。そういえば去年の10月くらいにNHK教育で「シュガー&シュガー」という番組を見て、はっとさせられたことがあった。その「シュガー&シュガー」はサカナクションのボーカル山口一郎さんが出演している音楽番組(少なくとも僕は音楽番組だと思っている)なんだけど、毎回ゲストの様々な人と対談するんですね、一郎が。その回のゲストが岸田繁さんで(ロックバンドくるりのボーカル)、僕くるり大好きなのでこれは見なきゃいけんということで見た。

 その対談では、サカナクションはくるりに影響を受けているので一郎さんがそのことについて語ったり、10年前にサカナがくるりと対バンしたこととか、を語ったりしていた。

 その中で、作曲の方法が変わってきたことについてどう思いますか、例えば音楽を記す術が楽譜からコンピュータのソフトへ変わってきた、みたいなことについてどう思いますか、っていうのを一郎さんが質問。僕の記憶だと岸田さんはこのようなことを言っていた。「例えば、調理された魚食う時に、その鱗や骨とかの下処理のことを気にして食べないじゃないですか。それと一緒で、音楽も、その工程とか途中に過度にとらわれずに、スピーカーから出てくる音が良ければいいんだって思っています」

 なんか腑に落ちてしまった部分があって、僕のほうこそ受験でも、勉強法とかテクニックにとらわれずに、今やるべきことをやって最後にいい結果を出そうって気合を入れなおした。このメッセージが、受験期の僕を奮い立たせてくれたし、実際今の大学に入れたのだって、家族のおかげに加えて岸田繁のおかげかもしれない。この言葉が今でも僕の指針になっているし、大学に行って独り暮らしを始めてもそれは変わることが無い決意だ。


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