入院森田療法してきた。②入院するには編
こんにちは。入院森田療法の話の②です。
今回は入院するぜ!って思ってから入院するまでの話をしようと思います。
前回:入院森田療法してきた。①そもそも編
その前に自己紹介をば。
おはこんばんちは。E音と申します。30代の女性です。精神障害者手帳の3級を持っています。都内一人暮らしです。
病気歴をざっくり紹介すると、新卒で入社した会社で過呼吸を起こすようになってメンタルクリニックに行ったのが最初でした。
20代の間は時々精神安定剤を飲みながら全国転勤で働いていました。30歳目前になって全国転勤がしんどくなったので辞めて、「おら東京さ行ぐだ!」つって東京の会社に転職して上京しました。だってビッグサイトが東京にあるんだもん。
んで東京に来たら、メンタルクリニックがいっぱいあるんですよね。びっくりしました。どこの駅にもあります。コンビニくらいあります。いや嘘多分コンビニよりは少ない。
これだったらメンタルクリニック通い放題じゃん?仕事の後にも行けるじゃん?根本治療しよ!と思って抗うつ薬治療を開始しました。そんで実家の問題等々色々あってド鬱になってしまいました。
1年くらい引きこもってました。その間に休職期間が切れて会社を退職しました。やべーやべーと思って東京都ひきこもりサポートネット( https://www.hikikomori-tokyo.jp/ )に自分で電話したりなんだり色んな人に助けてもらって引きこもりは脱却しました。
その後は近所のメンタルクリニックで通院治療→そこがデイケアやってたのでデイケアに通う→ちょっと回復→残高がやばいので就職したい→30代で精神病持ちで空白期間が1年あるってヤバない?普通に転職できるか?→障害者採用を目指そう!→精神障害者手帳の3級取得→就労移行支援事業所に通う→無事就職 って感じで去年の春ごろから障害者枠で働いています。
医者には大体「不安障害」って言われます。入院する時は「抑うつ状態」で診断書書かれて、森田療法んとこのドクターの診断では「うつ病」でした。手帳取る時の診断書はたしか「反復性うつ病性障害」でした。自己紹介する時は「こんにちは不安障害です」と名乗っています。そんな感じです。
閑話休題。
就職して明るく元気に障害者として働いていましたが、秋ぐらいから朝起きられなくなってしまいました。起きられないから仕事に行けません。遅刻するか休むかです。
もちろん睡眠導入剤やらなんやらは飲んでいたのですが、寝付きは問題ないものの夜中に中途覚醒してしまい、そのまましばらく眠れません。普通の社会人が起きるころに眠くなってきて、次に起きたら始業時間過ぎています。
中途覚醒なんで寝る時間早くしても駄目です。薬変えてもらったりベッド変えたりアップルウォッチ導入したり色々したんですが駄目でした。中途覚醒絶許。困ったもんです。
12月ころにはもう殆ど仕事休んでました。ずっと眠かったです。かくなる上は休職させていただくしかないんですが、休職したところで、通院、休養、デイケア、就労移行支援、と、出来る範囲の治療はもうほぼやり尽くしてたんですよね。もう入院するしかなくないですか?私はよっしゃ入院すんぞと思いました。
しかし。通ってるクリニックには入院設備がないので、入院するには他の病院を探さなければなりません。精神科の入院って何すんの?って話ですよ。何すんの?ってデイケアのスタッフさんに訊きました。
私「何するんです?」
スタッフさん「病院による」
私「鍵かかる部屋に閉じ込められます?」
スタッフさん「病院による」
私「スマホって持ち込みおk?」
スタッフさん「病院による」
私「どれくらいお金かかります?」
スタッフさん「病院による」
全部のQに対するAが「病院による」でした。
マジで病院によって全然違うらしいです。それだってホームページに書いてある訳でもなく、病院にひとつひとつ電話して「おたくの精神科の入院って何するんですか?おいくら掛かるんですか?」と確認するしかありません。無理じゃね?詰んだ。
そこで思い出したのが本かなんかで読んで知っていた「森田療法」ってわけです。
つまり森田療法受けたくて入院したんじゃなく、入院治療の選択肢が森田療法以外に思いつかなかったのです。入院森田療法受ける動機としては邪道だと思います。
早速主治医に相談しました。なお私の通院先のクリニックは森田療法やってません。
私「先生森田療法ってどう思います?」
主治医「興味あるならいいんじゃない?」
先生適当すぎん?とりま主治医のOK出ました。
長くなりましたね。ここから本題の「入院するには」の話です。
私に興味ない人はこっから上は忘れて大丈夫です。
①まず主治医に相談しましょう。
話はそこからです。ここ読んでて困ってて通院してない人はメンタルクリニックを受診しましょう。大丈夫怖くないよ!
森田療法が適応になる精神疾患はいっぱいありますが、適応にならない精神疾患もいっぱいあります。
②入院先を探しましょう。
グーグル先生に聞いたところこちら↓の一覧にたどり着きました。
https://www.mental-health.org/medical.html
入院森田療法をやってる病院は全国でもめちゃくちゃ少ないです。ぶっちゃけ地方の人は超大変です。この中から一つ一つググって「ここかな?」っていう病院に目星をつけます。
ちなみに「入院森田療法」と言うからには「外来森田療法」もあるのですが、私は外来での森田療法は受けてないので、ここでは入院森田療法の話だけします。
外来で森田療法やってる病院は入院森田療法やってる病院より多いっぽいので、地方在住とか仕事休めないとか家庭があるとかいきなり入院はちょっとの人は外来から始めてもいいんじゃないかと思います。知らんけど。
あと今通院してなくて特に主治医とかいないけど入院森田療法には興味ある!って人はこの病院選びから初めてもいいかもしれません。知らんけど。
私は素人なので何はともあれ医者に相談してくれ。
私は某J医大付属病院(数少なくて某も何もないけど一応ぼかす)に目星を付けたので、ここから先は某J医大付属病院に入院する場合の話です。他の病院のことは知りません。
③外来の予約をしましょう。
某J医大付属病院のサイトに「森田療法受けたい人はここに電話して外来の予約を取っておくれ」と書いてあったので普通に電話して予約しました。
入院前に1回は外来で診てもらう必要があります。「こんにちは初めまして入院させてください」とはいかないようです。ここ、地方の人は大変だと思います。
④主治医に紹介状を書いてもらいましょう。
無事に外来の予約取れたら主治医にかくかくしかじかと話して紹介状を書いてもらいましょう。ちなみに宛先のある紹介状は保険が効くらしくて、お財布に優しく済みました。定期的にメンタルクリニックに通ってる人は大体自立支援制度使ってると思うので、なおお財布に優しいです。健康保険って素敵。
⑤外来で診てもらって入院の予定を決めましょう。
紹介状を握りしめていざ外来へ。
最初研修医の先生が出てきて1時間くらい素性を洗いざらい話しました。研修医という生き物を初めて見ました。さすが大学病院。
その後ほんちゃんのドクターが出てきて、研修医の先生の書いた何かを見つつ診察を受けました。私の場合無事ここで入院OKとなりました。OKじゃない人はお断りされるかもしれません。私の場合はこの時のドクターが入院中の主治医となりましたね。
入院が決まったので入院日を相談します。
森田療法の病床はあんまり多くないです。某J医大付属病院には森田療法の専用病棟があり、ベッドは20床です。これは後々書くのですが、治療の特性上20床フルで使うことはあまりありません。枠は20より少ないです。なので空きがなければ空くまで待つことになりますし、逆に空いていれば「じゃあ明日から」となるかもしれません。入院中に話した患者さんの中には、空いてなくて待った人も、空いててすぐ入院した人も、両方いました。
私が受診した時は「今はまあ空いている」とのことでしたが、職場との兼ね合いもあって外来初診から入院予定日まで1か月くらい空けてもらいました。なのでこの初診と入院の間にもう1回診察がありました。
入院期間は3か月が基本とのことでしたが、私はドクターに「なるはやで!!!」とお願いしました。金がねえのです。
ドクター「森田療法は厳しいけど、大丈夫?」
私「はあ。大丈夫じゃないっすか」
こんな話もしましたが、これフラグです。あと「嫌になったら退院できるから、勝手に出ていかないで相談してね」とも言われました。どんだけだよと思いました。
ちなみに紹介状がないと初診料を取られるので、主治医がいる人は紹介状書いてもらった方がお得です。
⑥入院の説明を受けて病棟を見学しましょう。
私の場合は時間があったので、⑤の外来初診の後そのまま説明を受けて病棟を見学しました。病棟どうでもいい人は見学しなくていいかもしれませんが、数か月過ごす場所なので見学しといて損はないと思います。
まずは入院の説明の話から。
【1】入院森田療法の流れ。
「入院森田療法の流れ」というぺら紙をもらって説明を受けました。
臥褥期(約7日間)→
軽作業期(約5日間)→
作業期(約1~2か月)→
社会復帰期(0~1か月程度)
某J医大付属病院の場合はこんな感じです。それぞれ何するとかちょろっと書いてありましたが、これはおいおい実体験とともに書きましょう。あと、森田療法は俗世から隔離される療法なので、面会や外出、外部との通信はだいぶ制限されます。なので何日目からどこまで行っていいとか何をしていいとか書いてありました。これもおいおい書きます。
【2】入院時の持ち物の説明。
これも紙一枚もらいました。
服(動きやすくて汚れてもいいやつ)、靴(外履きと室内履き、サンダルスリッパクロックス禁止)、寝間着、下着、使い捨てマスク(作業に使う)、マグカップ、箸と箸箱とスプーンフォーク、目覚まし時計と腕時計、筆記用具、風呂グッズ(シャンプーリンス石鹸タオル)、洗面グッズ(歯磨き洗顔タオル)、ドライヤー(共同のが一つはある)、爪切り(使わないときは看護師さんに預かられる)、洗濯洗剤、ティッシュ、保険証と診察カード、印鑑、薬1週間分くらい、生い立ち記(?)、心理テスト(?)
こんな感じです。服やタオル類は2~3日に1回洗濯できるので必要な枚数を持ってきてねとのことでした。携帯電話、スマホ、パソコン等の通信機器は使えません。看護師さんに預かられます。
生い立ち記と心理テストってなんぞやは⑦に書きます。
【3】めちゃくちゃ大事な入院費用の説明。
一般的に入院にかかる費用は①入院費、②食事代、③差額ベッド代です。①入院費はもちろん保険が効くので収入によって月の上限額があります。②食事代も人によって変わりますが、あんまり高くないです。やべーのが③差額ベッド代です。身も蓋もなく書くと、
某J医大付属病院の森田療法病棟の差額ベッド代は1日5,500円(税込)です。
1日いるだけで5,500円取られます。地方なら安めのビジネスホテルに泊まれます。涙が出ますね。私は泣きました。
看護師さんは「3か月で大体100万円くらい」と言ってましたが、これはざっくりすぎるので、もうちょっとちゃんと計算しましょう。
健康保険の自己負担限度額は、普通の給料の人は大体月8万円くらいです。大きな怪我とか病気とかしても8万超えた分は戻ってきます。
(参考: https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3030/r150/ )
食事代(入院時食事療養費)は一般人だと1食460円です。3食食べると1日1,380円です。
(参考: https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3170/sbb31702/1951-254/ )
これで計算すると、30日分で
80,100円 + 1,380円×30 + 5,500円×30 = 286,500円 です。
(別にこういうの詳しいわけじゃないので計算おかしかったらすみません。)
3か月だと×3です。
私は通帳を握りしめて「絶対に良くなってやるぞ」と決意しました。
私が実際に払った金額についてはまた後で書こうと思います。期間的にも金額的にも、ちょっとした海外留学みたいな感じですね。
次に病棟の見学です。
看護師さんが付いて病棟を案内してくれました。作業中の患者さんがちらほらいました。年代はさまざまで、男女はどっちかというと男性の方が多いとのことでした。
看護師さん「ここが臥褥のお部屋です」
私「はあ」
看護師さん「ここが病室です」
私「はあ」
看護師さん「ここが患者さんが日中過ごすデイルームです」
私「はあ」
看護師さん「犬飼ってます」
私「はあ…」
看護師さん「お庭です。ここの植物は患者さんが世話をします」
私「はあ」
看護師さん「鯉も飼ってます」
私「はあ」
看護師さん「鳩も飼ってます」
私「はと?????」
こんな感じで案内してもらいました。
レース鳩飼ってるんですよね某J医大付属病院の森田療法病棟。はと?鳩飼ってどうすんの???って思うじゃないですか。私は思いましたね。いや犬も鯉も植物もなんで?????って感じですが。
この、鳩を飼ってる意義がすぐ理解できる人には、入院してまでの森田療法は不要じゃねえかなと思います。個人の感想です。森田療法には不思議がいっぱいです。
病棟の掲示板(もちろんリアル)に入院生活のスケジュール表が貼ってありました。こんなんです。
月曜日~土曜日
7:00 起床、検温、清掃
7:10 ラジオ体操
7:20 朝食配膳、朝食(食べ終わったら自由時間)
9:00 朝のミーティング、作業開始(作業中10~15分の休憩を取る)
11:30 作業終了
11:40 昼食配膳、昼食(食べ終わったら自由時間)
13:00 昼のミーティング、作業開始(作業中10~15分の休憩を取る)
15:00 作業終了
15:30 卓球
16:30 入浴開始(~23:00)
17:20 夕食配膳、夕食(食べ終わったら自由時間)
19:00 夜のミーティング(終わったら自由時間)
21:00 施錠(外出はこの時間まで)
23:00 消灯
日曜日
7:00 起床、検温、清掃
7:10 ラジオ体操
7:20 朝食配膳、朝食(食べ終わったら自由時間)
9:00 作業(日曜日用の簡易版)(終わったら自由時間)
11:40 昼食配膳、昼食(食べ終わったら自由時間)
13:00 作業(日曜日用の簡易版)(終わったら自由時間)
16:30 入浴開始(~23:00)
17:20 夕食配膳、夕食(食べ終わったら自由時間)
19:00 夜のミーティング(終わったら自由時間)
21:00 施錠(外出はこの時間まで)
23:00 消灯
週休1日制(1日休めるとは言っていない)です。寺かな?と思いました。あと卓球。卓球って???
こんな感じで診察受けて入院の説明受けて病棟の見学して家に帰りました。
帰りの電車の中で必死に健康保険料上限とか食事代とか調べて電卓叩きました。
⑦入院の準備をしましょう。
なんせ2~3か月外界から引き離されるので、準備も大変です。
某J医大付属病院は家族から着替えとか送ってもらえるのですが、私は一人暮らしなので、誰も送ってくれません。悲しい。入院の途中からは買い出しに行けるのですが、買い出しに行ける範囲で何が買えるのかもこの時点では謎です。最初に何もかも持っていかなくてはなりません。春節の中国人みたいなスーツケース買いました。
あと公共料金系を自動引き落としになるように手続きしたり、不在期間分の家賃払ったり、箸箱とか持ってないので100均に買いに行ったり、2~3か月分の「動きやすくて汚れてもいい服&靴」がなかったので店やらメルカリやらで買ったり。この辺でも地味にお金がかかります。
それと「通信機能ないならええんじゃろ?」と思ってポメラと電子辞書をメルカリで買いましたが、2回目の外来診察でポメラは駄目だと言われました。電子辞書はOK出たので持っていきましたが、入院時に「やっぱり駄目」と言われて預かられました。字を書くのが好きなので字書きツールと辞書は欲しかったんですが、森田療法と電子機器は水と油です。あきらめましょう。メルカリで22,500円で買ったポメラDM200をまだ持て余している私からの忠告です。
私の場合は休職しての入院なので、並行して職場の上司や人事の人と話したり、休職の手続きしたりしました。
めちゃくちゃ大変でした。つらかったです。つらいから治療したいつってるんですけど???って感じでした。
あと⑥でもちょっと触れた「生い立ち記」と「心理テスト」です。これを入院日までに用意しなくてはなりません。何ぞ???って感じです。
「生い立ち期」はA4の紙7枚です。生い立ちや両親・同胞(兄弟姉妹)、友人との思い出をできるだけ詳しく書けと書いてあって、がんばってできるだけ詳しく書きます。聞いたらパソコンで書いたやつのプリントアウトでも良いと言われたので私は普通にパソコンで書いてプリントアウトして持っていきました。
「心理テスト」は240問の心理テストです。5択のマークシート方式です。240問です。塗っても塗っても終わりませんがこれもがんばって塗ります。
人生で後にも先にもこんなボリュームの心理テストやることはないだろうと思いましたが、これもフラグです。
入院準備しつつ森田療法について調べたり図書館で本を借りて読んだりしましたが、あいかわらずよくわかりません。森田正馬先生についてちょっと詳しくなっただけです。
森田療法について調べていると「あるがまま」というワードがしょっちゅう出てくるのですが、「『あるがまま』がしんどいから治療したいのですけど???」と思うだけでした。
大丈夫です。こんなふわふわでも医者がおkと言えば入院できるので入院できます。森田療法とは何ぞやはこの後叩き込まれます。
入院するまででもう大変ですね。
入院当日は朝9時半ころまでに病院に行かなければいけなかったので、起きられなかったら困るのと準備が大変だったので徹夜をして向かいました。付き添ってくれる人もいないしタクシー代も出せないのでくそでかいスーツケース引いて満員電車に乗って東京を横断しました。
次回に続きます。