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マジック・ボキャブラリー:怖い!キモい!編

当店の有料会員コンテンツにて、
現場で活躍する若手マジシャンの演技に対して
お客様への対応やお客様の発言に対するカウンターのひと言を
みっちりフィードバックするMagic Worker’s CLINIC By 聖寿と言うコンテンツを実施しております。

その視聴者の方へ、本Noteのマジック・ボキャブラリー:えーっ!なんで!すごい!編の紹介をしたところ、「怖い!キモい!」と言われた際のためのボキャブラリーも紹介してほしいとリクエストをいただき、本記事を書いております。

はじめに

本記事に記載の内容は、筆者の経験、好みによって書かれておりますので
万人に有用な内容ではございません。
あくまでも参考程度にご覧ください。
インプットをした上で、自身で考え、咀嚼することが重要だと思っております。

【考察】なぜ怖い!キモい!と言われるのか

マジックを見て、なぜ怖い、キモいと言われてしまうのでしょうか。
マジックの要素を分解して考えると、少なくとも「キモい」の文字通りである嫌悪や拒絶の感情は生まれないはずです。
(もし本心からお客様より「キモい」と言われてしまった場合は、まず身だしなみから整えましょう)
そこで、まずは感情を分析するためにプルチックの感情の輪をご紹介いたします。

引用元 https://marke-otaku.com/robert-plutchik/

こちらは、人間の感情を8つに分類し、近い感情を隣に配置して環にした理論です。
マジックそのものが持つ「驚き」の感情は、心地よさを覚える「喜び」「信頼」の感情の間に「恐れ」の感情があることがわかります。
そもそも、「驚き」の感情は「恐れ」「悲しみ」の感情に近いため
構造的にマジックの現象から「恐れ」を抱きやすいのです。
お客様にとって、理解のできない「恐れ」の感情から、それを発声する手段として「キモい」と言われるのだと理解しております。
しかし、構造として仕方がないとしても「驚き」の感情を用いてお客様に楽しんでいただくためには「恐れ」の感情をそのままにするべきではないと思っております。
(「俺のマジック、凄すぎて怖がられちゃうんだよね。ふふふ」と斜に構えて悦に浸っていると、本当にキモいマジシャンになりかねないと思います…)
なので、しっかりお客様の「怖い!」「キモい!」の言葉は拾って、楽しい!に変えるべきだと考えています。

本題:「怖い!」「キモい!」に対するボキャブラリー集

私自身はアドリブが得意ではないため、「怖い!」「キモい!」に対して複数の返しを用意しております。
もし、「どのように返していいかわからない」と言う方がいらっしゃいましたら、自身が使っている返しを参考までに以下記載いたします。
文面では強い言葉タメ口やタメ口が続きますが、あくまでもジョークとしての返答です。

キモいに対して:瞬発力系

・え!今キモいって言いました⁉笑
・ちょっと待って!シンプルに…悪口⁉笑

補足:こちらは「キモい」と言われた際に、間髪入れずに返すときに使います。
お客様が深く考えずに発した軽い「キモい」の場合に適していると思います。

キモいに対して:自虐系

・ねぇ、会って〇分でキモいはひどくないですか?笑
・(男性に向かって)モテると思ってマジックを始めたのに、今はキモいと言われる始末です!

補足:前者は女性のみのグループ、後者は男女混合の場合に採用します。
キモい!と発するのは女性の場合が多いので、"すごいことをしたのにキモいなんて…"と同情を誘うことで「すごい」を引き出すように使います。
また、「そ、そんなこと言わなくてもいいじゃないかぁ」と落ち込む派生も使います。

キモいに対して:振り切り系

・そんなあなたも、僕は好きです!
補足:全力で好意を向けられると、相手のことを嫌いになれないので、「どんなにひどいことを言われても好きですよ!」とストレートにぶつけます。(これを、勝手に大型犬理論と呼んでいます笑)
ただ、異性にこのセリフを使うとトラブルになりかねないので、同性に向けて使うのが無難です。

怖いに対して:鎮静系

・怖くないですよー、ただの○○(芸名)ですよー
補足:子供をなだめるようなテンションで、怖い人間ではないというメッセージと、「ただの」のワードで人間味を与えることで
怖れる対象ではないと自覚させるのに使います。

怖いに対して:自虐系

・最近、甥っ子に泣かれたんですよね。。そんなに怖いですか。。。?
補足:現象に対して怖いと発した言葉に対して、顔が怖いと誤って受け取って自虐します。
甥っ子の話をすることで、人間味を出す(理解不能な人間ではない)狙いもあります。

キモい、怖いに対して:強制系

・違う違う!そういう時は「カッコいい!」って言うんですよ!
補足:ネガティブワードをポジティブワードに転じさせることで今後の演技を潤滑にする狙いがあります。
また、「すごい」や「不思議」ではなく、「カッコいい」にすることで明らかにジョークで言っている印象を与えたくて採用しています。

キモい、怖いに対して:責任転嫁系

・こら!周りの人(or店長やオーナー)に僕がキモい(怖い)人だって思われちゃうでしょ!笑
補足:「キモい」「怖い」と言う発言で、マジシャン本人に対してではなく他の人にネガティブな印象を与えてしまう→マジシャンの評判が下がってしまうと転嫁することで発言に責任を持たせたい狙いがあります。

返しがすぐに思いつかない時:混乱系

・突然方言で話し始める
補足:すぐに適した言葉が出ない際は、「お客様の発言にびっくりして方言(私は鹿児島弁)が出っちゃった」と言うボケにします。
これも、「こんなマジックをしている人でも、中身は田舎者ですよ」と言う人間味を出すために使います。

以上です。

パッと思いつくものを羅列していったので、実際にはもう少しバリエーションがあるかもしれません。

これらの返しを、お客様とシチュエーションに合わせて使い分けをしております。

もちろん、私自身のキャラクターに沿って返しを作っているので参考にならない方もおられると思います。

自身にどのようなセリフが向いているか考える上での素材として考えていただけますと幸いです。

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