【2つめのPOV】シリーズ 第6回 「しがみつく」 Part.4 (No.0227)
パターンB〈ラウディのサングラス〉
[Put on sunglasses]
木の家が燃えたのなら、直すには木材が要る。
レンガの家が壊れたのなら、直すのにはレンガが要る。
当然のことである。
もし木材を売りたいのなら、木の家を燃やせば良い。
レンガを売りたいのなら、地震で壊せば良いのだ。
そうやって必要になる状況を作ってやればいい。
食べ物を売りたいのなら、それと同じように腹を空かせてやれば良い。
だが、もっと売りたい、もっと食わせたいと考えるのなら、それだけでは足りない。
それを叶えるには、いくら食べても満足出来ないようにすればよい。
食べることは、エネルギーや栄養を取るためにする。
しかし、いくら食べたとしても栄養が取れないとしたらどうだろうか?
そうだ。
彼らはいつまでも食べ続けてくれるのだ。
いくら食べても食べても、その有機物の中にはカケラほども栄養が無い。
あるのは添加物とカロリーだけだ。
だから、僅かな間だけ腹は満たされ満足するが、肝心の栄養が無いから脳はまたすぐに栄養を摂取するように、と命令を出すのだ。
そしてまた食欲が沸き立ち、彼らは空っぽの食品を求めだす。
こうして彼らは留まることなく食べ続けてくれるのでとても良く売れる。
そして栄養のない、カロリーと添加物だけの食生活が続くので、若くてもすぐに病気になってくれる。
こうして、何と食品と薬が同時に売れるのだ。
工場と病院が同時に儲かるのだ。
彼らが飽きないように新しい商品を常に市場に投入し続け、それをCMで流し続ける。
その時その時に流行っている人間に食わせる。
それを映像で流せば簡単に売れる。
時には並びさえするのだ。
たかが食べ物で。
それも中身の何も無い、そのへんにあるものと何も変わらないものでも、割高でも彼らは買うのだ。
だがその中には栄養が欠片も無い。
当然である。材料なんぞゴミ同然だ。
遺伝子を組み替えて化学肥料と農薬を大量に使用した超促成栽培の作物だ。
だが見た目だけは拘る。
あんな連中でも見た目でバレてしまう事がある。
だから見た目と量は必ず注意する。
作物も見た目は注意するのだ。だが中身はどうでもよい。
水ぶくれの促成栽培の作物で充分だ。
栄養なんぞどうでもいいのだ。
何しろ栄養は絶対に見えないのだから。
だからどうにでもなる。
こうやって、連中を食べることだけに執着するように飼いならすのだ。
食べることだけに依存するように生活を誘導する。
見入りを減らし、負担を増やす。
食べることだけで精一杯になるように時間をかけて工作を続ける。
そしてその食べるものさえも、栄養のないもので埋め尽くす。
連中は食べることしか考えられず、しかしいくら食べても満足出来ない。
こうして食べることだけに縛り付けたイートジャンキーが出来上がるのだ。
こうなればもうどうでも良い。
連中は私達の言いなりだ。
私達の行う政治的な活動にも、経済的な活動にも、時に私達が起こす社会的な問題でさえも彼らは気にもしない。
考える力もない。その余裕なぞ一切無いのだ。
こうやって生活をギリギリに追い込めば、この依存症人生のサイクルからは絶対に抜け出せず、永遠に家畜に出来るのだ。
こうして、これまではこの家畜共を使って、私達の生活が成り立っていた。
だが、もう不要になった。
連中がいなくても、私達は今のような豊かな生活が出来るようになったのだ。
だから、現在は減らす方向に計画を変えている。
しょせん豚との違いなど無いのだ。
連中はただ食うだけしか頭に無い、自分のことしか考えない連中なのだから、こっちが鞭打ってでも道を示さないと秩序が乱れてしまう。
連中のせいで私達が不利益を被ったり、私達の大切な世界が傷つけられたら元も子もない。
全くもって手間のかかることだ。
私達の苦労も少しはわかってほしい。
ゴミでも食べられるだけ感謝してもらいたいものだ。
【2つめのPOV】シリーズ 第6回
「しがみつく」Part.4 (No.0227)
パターンB〈ラウディのサングラス〉
[Put on sunglasses]
おわり
Part.5 につづく