【楽園の噂話】 Vol.6『愛の取り引き』 Part.1「甘さと情とワイルドカードコレクションズ 後編」(No.0045)
人はこの万能カード「ワイルドカード」を使って自分のワガママや甘えを他者に飲ませる事を普段から行います。
このカードが心の内にあると不思議なほど人は強気に出る事が出来ます。
理由はもちろん「被害者意識」からです。この被害者意識は謎の損得勘定が作り出します。
確かに当然といえるものもありますが、このワイルドカードの使い方やこのカードで得た利益のトリコになるとそれはもう当然といって庇うことは難しくなります。
大変残酷なことに、このカードは自身の不幸や不運などから産み出される事が分かった時、人はそのカード欲しさにワザと不幸や不運を自身に招く様に振る舞い出すのです。
ワザと苦しみから抜けないようにする。ワザと辛い思いを迎えに行く。ワザと汚れに行く・・・。
こういうことはワイルドカード目当て以外にも積極的にするケースも多々あります。
恐怖心や自分への罰などです。
しかしこの場合は少し違います。もちろん大変悲しい心理ですが、カードを取りに行く時とはその後の行動に違いがあると思います。
恐怖心や自分への罰の時は自分の内側でのやり取りになるのですが、ワイルドカードを取りに行く時の心理は外側への意識として行われると思います。
そのカードで他人に自分の「情」を受け入れさせる時などに使われるため、周りの対象者は不幸や苦しみに晒されてしまうのです。
これはもはや暴力なのですが、このカードは目に見えず「存在」しませんから、取り締まることも出来ませんし、何度も言うように個々人の「甘さ」がそのカードを使うことを許諾しているために無理やり成立させることが出来てしまうのです。
このような全く目にも見えず手にも取れない謎の取引が実のところ我々の実生活では極めて当たり前に日々行われているのです。
わかりやすい例ですと、男性は子供の時によく友達同士などで軽い叩き合いをすると思います。
いわゆる「じゃれあい」程度のものですが、肩や背中を友達に叩かれてやり返した時、加減を誤って強めに相手を叩いてしまうと、相手は思わず「そんなに強く叩いてないだろ」と言って怒って抗議したり再度同じ程度の強さでやり返してきたりします。
この時の交換されたものは「叩いた強さによる痛み」ですが、こんなものは当然目には見えず手にも取れない「謎の」ものです。
しかしこういうことが子供でも大人でも日常普通に行われているのです。
誰も認識していません。
この心の中にしか無い正体不明の貨幣交換が、一対一であるならまだ分かりやすくて良いのですが、残念なことに現実での貨幣交換よろしく不特定多数ともこれは行われるはめになるのです。
この「闇の貨幣経済」が人の心を激しく蝕んでいくと考えます。
【楽園の噂話】 Vol.6
『愛の取り引き』 Part.1
「甘さと情とワイルドカードコレクションズ 後編」(No.0045)
おわり
Part.2につづく