筋トレが好きだ。平日は帰宅してから自室で一時間、土日はみっちり三時間行う。筋トレのスケジュールをたてるのも楽しいし、どんな種目をやるか考えるだけでもワクワクする。筋トレの後に飲むプロテインの味を色々試してみるのも醍醐味の一つだ。二十代終盤で始めてかれこれ四年間続けている。 しかし、長い間続けていると毎日筋トレをすることが当たり前になってしまい、段々筋トレが出来ない日があると不安になるようになった。決まった時間に蛋白質を摂れないとモヤモヤする。ジムに行っても人が多いせい
チビである。デブである。おまけにブスである。滑舌は悪いし、最近は抜け毛も増えてきた。いわゆる人からコンプレックスと言われるあらゆる要素を備えている。しかしこれらのことを僕自身はコンプレックスと思ったことは全くない。 ……少しだけ嘘をついた。デブと言われると少し傷つく。だが、深刻に捉えたことはない。敢えて時代錯誤な表現を借りていうと私は「女の腐ったような」ウジウジしてネガティブな男なのだが、不思議なことに身体的コンプレックスは生まれてこの方ほとんど感じたことがない。 は
本が好きだ。音楽が好きだ。映画が好きだ。落語も好きだし、ゲームも好き。休みの日に博物館を巡るのも好きだ。好きなものが沢山あるということは幸せなことだと思う。 しかし、むやみやたらに好きと言って良いのだろうか……?僕の脳裏には時折こんな考えが影を落とす。こんなことを言われたことはないだろうか。 「好きなのにそんなことも知らないんだね」 「好きと言ってる割には、その程度なんだね」 僕はこの呪文のような言葉にとらわれ続け、そして他人にもそれを課していたように思う。 学