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INCHEON PENTAPORT ROCK FESTIVAL 2024 Zapping report


8月2日 / DAY1

初めての"INCHEON PENTAPORT ROCK FESTIVAL"。オーガナイザーのJun Bumが招いてくれた。今回60組以上の出演者のブッキングは、Jun Bum + Kokiの2人だけでやったというからすごい。
仁川国際空港から宿泊先のHoliday Innに16:00過ぎに入って、目の前の仕事を片付けて会場へ向かう。
地下鉄の駅へ向かおうとしたところで、"Zandari Festa"のDalseから電話。ホテルで拾ってくれるという。玄関先で待っていると、折坂悠太さんチームとバッタリ。昨年秋の台南での"LUCfest"以来。話題は気温とフジロック。Howon(Busan International Rock Festival)夫妻も合流して会場へ。Hill stageの裏側に隣接したアーティスト・ラウンジ。ケータリングの冷麺を食べつつ、Howonにいろいろと話を聞く。Music Lane Festivalのこともいろいろと考えてくれていてありがたい。Cecilia(DMZ Peace Train Festival)とWeining(LUCfest)にハロー。

夕暮れの"toe"@Hill stage。前方は劇混みだが、後方はゆるり。モンゴルの"Playtime Festival"の帰り道、ウランバートルのホテルから空港のタクシーが一緒だった山嵜廣和さん(Vo. G)の演奏を初めて聴いた。もっといろいろ話しておけばと思うが、朝4時半の移動では無理だったな。こういう些細な後悔は何年経っても忘れない。

toe

SE SO NEON、KIM GORDONを聴いて、TURNSTILEが出るメインステージへ移動。上手がわの最前列が空いていたので遠慮なく。Fuji RockやZeppでの騒ぎはここにも当然届いているだろう。果たしてモッシュの渦は?! 観客はステージに上がれるのか?? 客席は、これから目の前で起こることへの期待からか、開演前からざわついた雰囲気。

TURNSTILE 嵐の前の静けさ

動きがあったのは最後の曲が始まるタイミングだった。ボーカルのブレンダン・イェーツが、客席に向かって手招きをすると観客は一気に反応した。大型ビジョンには、制止しようとする警備員の姿も映っているが、おそらく数百人の観客を止めることなんて無理だ。最前列でスマホで撮影していた私の周りの観客も一気に柵を乗り越え始めた。でも、誰かを押しのけてというわけではなく、ある程度の秩序が保たれた中で順番に柵を越えていく人々。ステージが観客で埋め尽くされるまで、2分もかからなかったはずだ。(詳細は動画を)大きなステージの上から果たしてどんな風景が見えたのか。上がってみたかった気もする。

TURNSTILE、観客が目の前のフェンスを乗り越えてステージへと向かう。

8月3日 / DAY2

折坂悠太(バンド)

ホテルを昼過ぎに出る。
14:00過ぎ、2日目は、折坂悠太(バンド)からスタート。相変わらず素晴らしい演奏。途中、1曲、地元のSSWイ・ランさんがゲストで入る。彼をロックフェスにブックするセンスが素晴らしいと思う。PAは広津さん。本番中で声をかけそびれる。

過去にはこんな共演も。

アーティスト・ラウンジでBiKN shibuyaの藤澤さんと話す。B-sideのKimさんを紹介される。BiKNは11月、今年は行けたらいいな。

ラウンジ内にあるSXSW Sydneyのブース。シドニーから誰か来ているのか尋ねると、地元韓国の担当者が対応するとのこと。日本から来たことを伝えると日本の担当者を紹介された。昨夜も話をした知り合いで驚く。SXSW、オースチンはアメリカのビザの関係でハードルが極端に上がった。オーストラリアのビザのことはわからないが、これからはシドニーの方がベターな気がする。Tシャツをいただく。

室内のGlobal stageで、韓国の女性SSW、YEON JEONG。場内に入ると"Look Back In Anger"のカバー。その後のオリジナルも含めてかなり良かった。終演後、ラウンジで先ほど会ったばかりのKimさんにYEON JEONGが所属するDHPLAY Entertainmentのボスと本人を紹介される。来年、"Inspiration Okinawa"がやれたら声をかけたいレベル。韓国には、もう一人、気になっている19歳のSSWがいる。

HILL stageに戻ってGOONUM(韓国)。ウランバートル のジャズクラブで聴いてまだ1ヵ月足らず。無茶人気で驚いた。韓国の訛りみたいなものを感じるロック、歌の内容はわからないが、観客の表情から深く愛されているのだと感じる。

(L→R / GOONUM @Fat Cat Jazz Club,Mongolia / @Incheon Pentaport Festival 2024)
Golden Mammoth (Malaysia)

Global stageで、Golden Mammoth(マレーシア)。コロナ禍のMusic Lane Festivalに、事前収録のオンラインで出演してもらった。赤で揃えた衣装で、ご機嫌なパフォーマンス。今回、PentaportとAXEAN festivalとのArtist exchangeで、City Roar Festival / Live FactのMakが連れて来ている。こういうことをやろうとHowonと話す。
途中、立っているのが辛くて、一旦ラウンジへ離脱。外の暑さは強烈で、時々頭痛すら感じるほど。ちょっとヤバかった。

ラウンジで冷麺食べながら、WeiningとHowonと話す。日本の業界のレスポンスの遅さとか、ショーケース・フェスティバルを継続させることの過酷さとか。WeiningにMusic LaneのDelegatesについて相談。話しているうちに、なんとなく体調も戻る。

メインステージの前方はおそらく3,000-4,000人のスタンディングエリア。PA席後方は着席エリア。

メインステージで、GIRL IN RED。客席は異様な盛り上がり。ボーカルの女性も興奮が押さえられない様子だった。「韓国サイコー!また戻って来る!」的なMC。気持ちはわかる。音楽的にはポップ寄せている感じなのだが、客席後方ではサークルモッシュ。

ライブの合間にラウンジで休憩をとらないとしんどい。Orbisがいた。弘大の"Strange Fruit"のJihongとHowon、その妻と雑談。

話題のSILICA GELを見にメインステージへ。なるほど、素晴らしかった。メンバーは天才肌な印象もありつつ、いろいろとちゃんとしている。とてもうまくプロデュースされているという印象。ステージにグランドピアノが持ち込まれていて驚く。

SILICA GEL (South Korea)
"RIDE"、モンゴル、台湾、韓国、タイとアジアツアーの一環で行われた。

HILL stageのRIDEを横目に見ながら、ラストのJack Whiteに備えてラウンジへ。普天間かおり+高良結香の東京でのライブの配信を覗く。GOONUMのボーカルJOHから、小豆のアイスバーをもらう。何気に美味かった。

Jack White、特にファンでもなくヒット曲も知らないが、バンドを含めて演奏が素晴らしく、最後まで聴いてしまう説得力。フェスのヘッドライナーをやるというのは、こういうことかもしれない。

地下鉄で戻り、一杯飲んでホテルに帰ろうと歩いていると、ワインバーに韓国チームの面々を見つけて合流する。長い一日だった。
それにしても仁川の街のCyber Punk感がハンパない。

8月4日 / DAY3

早い時間は宿で仕事をして地下鉄で会場へ。会場の最寄り駅までは2駅、10分足らず。駅からフェスのゲートまでの間は歩いて10分ほど、ほぼ日陰はなく、暑さと湿度で脳みそが溶けそうなレベルだ。裏から入ればセキュリティーも何もないのだが、フェス気分を味わおうと、入る時は表から。100mほど手前の入口でもらったペットボトルの水は、セキュリティーで没収された。何故?

ステージは3つ。Main StageとHill Stageが屋外で、Global Stageが室内。左側の赤いバスはエアコンを効かせたCool Bus。動線の頭上にミストのエリアがあったり、客に向けて散水が行われていたり。公園で日陰も少ないので、体感35度以上の炎天下では、こういう逃げ場がないとかなり危険だ。

涼みたくて屋内のGlobal Stageに入ってみたものの、セットチェンジで本番まで時間があるので、再度炎天下をメインステージへ。TOUCHED(韓国)がライブ中。女性ボーカルのオルタナロックバンド。かなり激しめの演奏が心地よい。

そのままHill Stageへ移動してSAY SUE ME。ブッキングをしているKokiさんと立ち話。SXSW Sydneyの日本のrepがKokiさんだと聞いたと話すと、何も知らないとのこと。エ〜誰だ? オペをするのは広津さん。SAY SUE MEも、TOUCHEDと同様に女性ボーカルだが、よりポップな印象。それなのになぜか会場の一角ではサークルモッシュの渦ができる。激しさよりも楽しい感じ。韓国の人はコレが好きなのだなと思う。

あまりの暑さにアーティスト・ラウンジで3日連続の冷麺。これ一択という感じ。

続いて、メインステージで韓国のGLEN CHECK。名前を見た時はアメリカあたりのアーティストだと思っていたが違った。甘い歌声のの男性シンガーのポップロック。

あまり魅かれることもなく、ラウンジ方面へ。途中、男性に声をかけられる。Facebook繋がりのChang Leeさん。TOUCHEDのマネージメントをやってらっしゃるとのこと。

ラウンジで昨夜GOONUMのJOHに勧められた小豆のアイスバーを広津さんと食べながら雑談。SILICA GELのPAのジェミンさんを紹介いただく。彼はLAMPの東京公演、USツアーでもオペを務めるそう。日本語堪能。PAの仕事も国境を越えるんだなぁ。

bongjeinganというバンドのCDをいただく。

メインステージで緑黄色社会(日本)。
まったくの初見。完璧な韓国語のMCに驚く。スクリーンには、韓国語に翻訳された(?)歌詞が流れる。今はこういうやり方があるんだよなぁと感心する。6月に聴いた、ブルース・スプリングスティーンのマドリードでの公演でも一部の曲はスペイン語のサブタイトルがスクリーンに流れていた。大型公演限定かもしれないが、これをやれれば言葉の面での課題はほぼ解消されるだろう。音楽も演奏も素晴らしかった。新しいサウンドで普遍的なテーマが歌われているように感じた。

そのままHILL stageに移動してSUNWOO JUNGA(韓国)。その力強くソウルフルな歌声にしばし聴き惚れる。韓国版アレサみたいな感じ。素晴らしかった。

DAY6(韓国)@メインステージ。
JYP Entertainmentの売れっ子バンド。この3日間の最大動員な印象。PA席前の通路に突っ立ってみていたら、今回のブッカーの一人Jun Bumが声をかけてくれて、PAブースの特等席に入れてくれた。"DAY6"、4人組のアイドルバンドで、動員が半端ないだろうことはよくわかる。
フェスの興行面を考えると、こうしたブッキングは必然なのだと思う。

DAY6(South Korea)

「DAY6」、当日のフル動画が上がってた。

HILL stageで、SEPULTURA、ブラジルのベテランハードコアメタルバンド。フェスもクライマックスで、いい塩梅になった観客が大いに盛り上がり、バンドもその雰囲気に押し上げられてさらにテンションを上げていく好循環。激しめのサークルモッシュが頻発。小柄な女性もその渦にどんどん飛び込んでいく。

HPを見ると、今回のライブは1年半に渡って続く彼らのFarewell Tour / 引退興行の一環らしい。まだまだやれると思うのだが。

Howonからホテルの近くでKoreanBBQ屋に行くとメールが来たので、ヘッドライナーのJANNABIをチラ見して地下鉄の駅へ向かう。途中一緒になったKokiさんから、SEPULTURAは彼のブッキングだと聞く。大きなフェスになる程バランスは大事だなと感じる。ビッグネームと新進バンド、ニッチなジャンルのアーティストのバランス、ジェンダー、地域性、世代...。バランスを取ることで損なわれることもあるが、それ以上に発見も多いと思う。「DAY6を見た人が、少しでもSEPULTURAを聴いてくれたら」というKokiさんの言葉に集約されている。

KoreanBBQ屋は閉まっていて、昨夜のワインバーに集まることに。Dalse父娘、Howon夫妻、Weining、Cora(Clockenflap)、Mak、David(AXEAN festival)と、軽い打ち上げのようになった。

次は9月末の"AXEAN festival"@ Bali。

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