父子でいわなの郷へ another story いわなの郷物語
昨日とストーリーは同じ
別視点のストーリー
another story としてみました。
「よし!
今日はパパと一緒に行こうな」
「うん」
車を走らせること1時間。
いわなの郷に到着。
「わあああ」
4歳の子は歓声をあげる。
釣堀のいわなが集まっている様子が見える。
パパは
まずお手本を示す。
釣り方を子どもに見せた。
「すごい!
パパすごい!」
「じゃあやってみようか!」
「うん。
やりたい」
子どもも釣りを始める。
何度かエサをとられたものの、釣り上げた。
「やったあ〜」
釣り上げた魚を食い入るように見ている。
何匹か釣り上げた。
釣り上げたいわなを塩焼きにする。
焼き上がるまでには40〜50分ほどかかる。
囲炉裏でしばらくすると
いい匂いがしてきた。
「わあ美味しそうな匂いがしてきた〜」
「ああ美味しそう!」
「ママも来ればよかったね?」
「そうだね」
「帰ったら、ごめんなさいしようか?」
「うん。そうする。」
朝、母と子どもはケンカしてしまい、
お母さんは行かないことになったから、
父子で来ていたのだ。
「今朝ママとケンカしちゃって・・・」
そうスタッフに父は告げた。
「ねえ。
それはありますよねえ。」
スタッフは
ひどく胸を痛めた。
子供の頃ケンカをしたことはなかった。
ケンカしたら、
母に許されることはないと
固く信じていたことに気づいたからだ。
でも、
目の前のこの子はケンカできる。
嫉妬心にも似た感情にさいなまれた。
「焼けましたよ〜」
いわなが焼きあがった。
「うん。美味しい。」
「おいしい」
「おいしい」
「おいしい」
子どもはただおいしいとだけ言いながら食べる。
「いやあ
うれしいですねえ!」
思わずスタッフも声をかける。
あとで焼いていたイワナも焼きあがった。
「大きいのも焼き上がりましたよ〜」
「ボク大きいの食べたい。」
「食べられるの?」
「食べる。」
大きいイワナも食べ始めた。
「ママと一緒に来ればよかったね?」
「うん。今度はみんなで来よう。
・・・
帰ったらごめんなさいするよ。」
「よし。今度はママも連れてこようね。」
なんだかいたたまれなくなって
スタッフは別の仕事に向かった。
「じゃあ一度離れなくちゃなので
食べ終わったらそのままにしておいて下さい。」
その場を後にして
加工品の袋詰めをした。
子どもらしい子供時代を送りたかったなあ
そんなことを考えていた。
自分の感情を押し殺してきた子供の頃を思い起こした。
一仕事終えて
戻るとメモが置いてあった。
「ごちそうさまでした とてもおいしかった」
涙が出そうになった。
感謝されていることも嬉しかったけど
そこではない。
感情を出せること
その幸せを
味わったからだ。
うれしいって感情は伝染するのかもしれない。
今ここで
元気に幸せに生きることが大事なんだ。
父子の帰途を思う。
「ママに
ごめんなさいって
言えたかなあ。」
朝は寒いくらいだったが、
秋晴れでお日様はまぶしい。
帰りは少し窓を開けて
帰途に向かっているんだろう。
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