【Storyvilleアーカイブ①】『「 」に隣る 今日マチ子さんと考える いま、戦争を描くこと読むこと』ゲスト:今日マチ子(2022年7月13日開催)
今回は2022年7月13日に開催したイベント『「 」に隣る 今日マチ子さんと考える いま、戦争を描くこと読むこと』をご紹介します。
漫画家である今日マチ子さんは、『アノネ、』『いちご戦争』『パライソ』といった、戦争を題材とした作品を手がけられてきました。このイベントは、今日マチ子さんが原作の『cocoon』の舞台化作品が、本大学にある春秋座にて上演されたことに先立ち、今日さんをゲストにお迎えし開催しました。今日さんがゲストということで、文芸表現学科の学生だけでなく、マンガコースの学生も多数ご来場くださいました。
現実で戦争が起こっている一方、戦争それ自体をどこか遠い世界の話のように感じてしまう今、戦争を題材とした作品を描き、読むことにどのような意味があるのかをインタビュー、座談会を通して考えていきました。
第一部のインタビューでは、『cocoon』をなぜ描きはじめたのかに始まり、今日さんの創作との向き合い方などをお伺いしました。「戦争という難しいテーマを書くと毎回なんらかの課題が生まれる。だからこれからも書き続けたい」と自身の作品を振り返り話していただきました。実は、これまでの「Storyville」では学生がゲストにインタビューすることはなく、これは画期的なことでした。
第二部の座談会では、学生が事前に読んだ戦争を題材とした作品を取り上げながら、三つの議題をテーマに、今日さんと対話を行いました。
最初の議題では、今を生きる私たちが戦争を描くこと読むことの意義について、当事者と非当事者が描く戦争を題材とした作品を例示することで、当事者の発言に偏る危険性について話すことができました。
二つ目の議題では、当事者性をキーワードに、非当事者がセンシティブな題材を扱うことに対する葛藤について「当事者を傷つけてしまうかもしれない不安」「当事者でないからこそその問題に寄り添える可能性」といった様々な意見が出ました。
最後に、実際に戦争が起った現在、戦争を題材とした作品は、戦争を描く人や読む人にとってどのような意味を持つのかについて考えました。戦争を他人事にせず一人一人が戦争に否定的になることで戦争はなくなる可能性があること。そのためには作品を通じて戦争について考えることが重要だと深く話し合うことができました。
このイベントのタイトル『「 」に隣る』は、2022年2月末から続くロシアによるウクライナ侵攻の報道で取り上げられる1人1人の顔を想像し、彼ら彼女らの隣に立ちたいという思いを込めてつけられました。このイベントで今日さんと学生が読み手側、書き手側として対話したことで、私たちの戦争に対する意識の変化につながったのではないでしょうか。
以上、『「 」に隣る 今日マチ子さんと考える いま、戦争を描くこと読むこと』の紹介でした。
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