詩 :ノライヌ。 作:ことねぇ
最初に会ったのは ヤサシイオネエサン
どうしたんやいくとこないのか
私んとこ来る?
ぬくぬくとヤサシイお姉さん
でも気づいたらだんだん会える回数が
減っていく・・・
次にそのお姉さんと出逢った場所から
移動して
公園に寄り道したときに
お兄さんがベンチでスマートフォンと
睨めっこ
なんや 首輪ついてへんなぁ
ここに来て話聞かへん?
そのお兄さんが落ち込むたびに
私はオロオロして なんども
声を押し殺して泣いているのをみて
わたしはどうして━━━━━━━━━━
にんげんじゃないんだろう
お兄さんが部屋にこもりがちになって
公園に来なくなり
私はまた行くところを見失い
道路に飛び出したところを
色気のあるお兄さんが抱えてくれた
おまえ、危ないな 轢かれて死ぬぞ
いい犬だなおまえ飼い犬だろ
なぜ首輪をしていない?
そのお兄さんはなにか思いついて
お店へ車で移動する
お店にいたのは煌びやかな
お姉さん、か、な
あら、よく見ないとおもったら
犬拾ってくるなんてうちじゃ飼えないわよ
ひょい、と前髪で目を隠したお姉さんが
この子 公園でお兄さんに
飼われてるんじゃなかったの?
まあ飼い犬だろうけど
フラフラ遊び回っていて本当の
帰るところわからないんだろうな
それか、捨てられたのか
お兄さんは出されたグラスの飲み物を
一気に飲み干し
烏龍茶、かとむせかえり
当たり前でしょ車でしょ
と、煌びやかなお姉さんに
たしなめられている。
『ーノライヌね君は』
そう、言われて
私の名前は『ノライヌ』だと知った。
首輪はもうない
あの日外された時
飼い主は言ったのだ
お前を飼えないもう
俺は仕事をしたくない
もうローンも払いたくない
おまえを飼えない
好きにしろ
嫌がっても首輪をつけられて
自分が嫌になったら首輪を外す
にんげんって無責任だ
私を可愛がるひとに私は私の
出来ることをする
だけど
私は貴方の━━━
━飼い犬じゃない━━━━━━━のだと
『ノライヌ』
野良犬として
どこまでも自由に
飼っているわけじゃないのにね
このお兄さんもお姉さんも
それでも構ってくれる
そんな人間もいるんだなぁと。
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