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赤い日記帳。ーモーニング娘。の歌のヤツではないー

   私が高校生の時、1度だけ、鍵付きの赤い日記帳をお母さんの部屋で見つけて、鍵が空いていたからつい、盗み見してしまったことがある。



   そこには、高校時代の好きな先輩との文通のやりとりやその先輩が東京の大学へ行ってしまうこと、ついていくかどうするか、という内容で。


  それをそのままお母さんに話したら

  『あんたは!人の日記帳盗み見るもんじゃないわよ!』
   『でも見開いてあったの』

   『だめ!あんたも日記帳みられたら恥ずかしいでしょ』


   『えー。でもお父さんじゃないんだね、付き合っていたの』
   『お父さんにいうんじゃない。その人が東京に行ってしまったから。お父さんに出会ってないとあんたもいないのよ』


    そのときは、それくらいにしか思わなかった。


     おととい、母親の葬儀や火葬を終えた。火葬は付き添えなかったけど。


  通夜のあと、実家にもどったとき、葬儀の受付に飾る母親の写真を探しまくった。子どもばかり写真をとっていて、ほとんどお母さんが写っておらず、数十枚あるかどうか。


    そのときだ。



   ━━━━赤い日記帳だ━━━━━━━━━━





  前に見たのは、私が高校生だった。16-18歳辺りだと思う。

   私、42歳、20数年の時を超えて。

    また目に入ってきた。鍵は……ない。どうしよう、開けられるかな。



    ところが、鍵付きの日記帳は、鍵が掛かっていなかった。


    つまり、誰かが鍵をあけたか、みたひとがいる。


   ━━━━お父さん、だろうけど━━━━━━




  遺品整理が、始まる。いや、鍵は元々掛けてなかった?


   これを私が持ち帰って、お父さんから電話が来るのか。




 
    これは私の中学時代と高校時代のアルバムの間に挟まっていて、これに気がつけるのは私だけだ。



    お母さん……が、読んで欲しい、と。
   そう言っている気がした。時を超えて。


    すごいな、これ。1冊の辞書くらいあって1年間の日記帳だ。それも高校三年生のときだ。
なんかこんなアニメ映画あったよね。  
  ああ、思い出のマーニーだ。



   
  持ち帰って3日目、いまだ父親から何も言われていない。



   これは、お母さんからの最期のメッセージだと思うから、全部読んで咀嚼して私の作品としてこれをなにかに活かそうと思う。



   私からの供養として。


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