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アメリカで急成長しているD2Cブランド、オリーブオイルブランドBrightlandの話。
実はアメリカにもお歳暮の文化がある。時期は似ているが、アメリカではこれをクリスマスギフトと呼ぶ。
クリスマスシーズンになると、夫の取引先の会社からギフトが送られてくる。
毎年、どんなギフトが届くのか楽しみにしているのだが、特に印象に残っているのが昨年のものだった。
届いた箱を開けると、中には3本のオリーブオイル。
「オリーブオイル?」
正直、驚いた。宅配ボックスに届いた洗練されたパッケージを見たとき、まさか中身がオリーブオイルだとは思わなかった。シンプルで美しく、まるでデザイン雑貨のような佇まい。開封する前から、すでに心が躍った。
「オリーブオイルはどれも同じ」──そう思っていた私の価値観を覆したのが、このオイルのブランドだった。
それが、今アメリカで急成長しているオリーブオイルブランド Brightland だ。
スーパーに行けば、低価格なものから高級志向のものまで、数え切れないほどのオリーブオイルが並んでいる。選択肢には困らないはずだ。
そんな中で、一体なぜ Brightland はここまで成功したのか?
どのようにして「ただの食品」から「選ばれるブランド」へと進化したのか?
今日はその秘密を、創業者 Aishwarya Iyer(アイシュワリヤ・アイヤー) のストーリーとともに探っていこう。
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きっかけは「オリーブオイルの真実」に気づいたこと
Brightlandの誕生は、Iyer自身が体験した「ある気づき」から始まった。
彼女と夫は、ある時期から胃腸の不調に悩まされていた。食生活を見直しているうちに、彼女は 「オリーブオイルが原因かもしれない」 と考えるようになった。
そこで調べてみると、衝撃的な事実が浮かび上がる。
アメリカ市場に流通している多くのオリーブオイルは、 店頭に並ぶ頃にはすでに酸化・劣化している というのだ。さらに、一部の製品は 「エクストラバージンオリーブオイル」として販売されているにも関わらず、実際には低品質の油が混ざっていることもある という。
この事実を知ったIyerは、 「本当に品質の良いオリーブオイルを届けたい」 という思いから、Brightlandを立ち上げた。
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ありふれたオリーブオイルを「売れる商品」に変えた3つのポイント
1. 透明性のあるストーリーテリング
Brightlandの特徴のひとつは、「商品の透明性」だ。
多くのオリーブオイルブランドが 原料の産地や製造過程を詳しく説明しない のに対し、Brightlandは、
カリフォルニアの小規模農家で栽培されたオリーブを使用
収穫から90分以内に低温圧搾することで鮮度を保つ
農家や生産プロセスの詳細を公式サイトで公開
と、徹底的に情報を開示。
ただ「品質がいい」と言うのではなく、 実際の製造過程やデータを示しながら、消費者に「信じられるブランド」 という印象を持たせることに成功した。
さらに、Iyer自身が SNSやメディアで積極的に発信し、「なぜBrightlandが必要なのか」を語ることで共感を生んだ。
これにより、消費者は単なる商品ではなく、「ブランドの哲学」に共感して購入するようになったのだ。
2. D2C戦略 × 魅力的なブランドデザイン
Brightlandは D2C(Direct-to-Consumer) というビジネスモデルを採用し、消費者と直接つながることでブランドを成長させた。
商品の価格帯は決して安くない。
しかし、 InstagramなどのSNSを活用してブランディングを行い、ミレニアル世代やZ世代のライフスタイルにフィットするデザインとメッセージを発信 することで、「価格に見合う価値があるブランド」としての地位を確立。
また、Brightlandのオリーブオイルは 白い不透明なボトルにカラフルなラベルが施され、キッチンに置いておきたくなるデザイン になっている。
これは、単なる食品ではなく、 「ライフスタイルの一部」としての価値を持たせる ための戦略だ。
実際、多くのインフルエンサーや料理好きの人々がSNSでBrightlandを紹介し、その 「映えるデザイン」もブランドの成長に大きく貢献した。
3. ニッチな市場から始め、Whole Foodsへ拡大
Brightlandは最初から大手小売店での販売を狙わず、 D2Cを中心に「こだわりのある消費者」にアプローチ した。
特に、 健康志向の高い人や、美意識の高いミレニアル世代をターゲットにし、「高品質な食生活」を求める層 に焦点を当てた。
結果、2022年にはWhole Foodsでの販売が始まり、 2024年には165店舗まで展開を拡大。
店頭での売上も前年より 500%増加 するなど、成長を続けている。
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たった3万ドルの自己資金で始めたスモールビジネスが、数億円規模へ
Brightlandは、Iyerが 自己資金3万ドル(約450万円)でスタート させた小さなビジネスだった。
彼女は食品業界の経験もなく、もともとは テック業界で働いていた会社員 だった。
しかし、
自身の「課題意識」から生まれたビジネスアイデア
透明性のあるブランド構築
D2Cによる直接販売とSNS活用
を武器に、Brightlandは わずか5年で急成長。
現在は従業員16名のチームを率い、 ベンチャーキャピタルから約7億円の資金調達にも成功 している。
売れるのは「新しさ」ではなく、「時代に合った価値」
Brightlandの成功は、「市場にない全く新しい商品」を作ったわけではない。
むしろ、 既にありふれたオリーブオイルという市場において、「これからの時代に求められる価値」を再定義したこと が大きい。
消費者が本当に求めるものは「品質と透明性」
見た目やライフスタイルに合うデザインが、購買意欲を引き出す
ストーリーを伝えることで、単なる商品ではなく「共感するブランド」になる
これらの戦略は、 食品D2Cに限らず、すべてのスモールビジネスに応用できる考え方 だ。
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まとめ:あなたのビジネスにも活かせるBrightlandの戦略
Brightlandの成功から学べることは、単に「良い商品を作る」だけでは不十分だということだ。
・透明性を持つこと
・ブランドのストーリーを伝えること
・時代の流れに合ったデザインや価値を提供すること
これらの要素が揃ったとき、「ありふれた商品」でも「売れる商品」に生まれ変わる。
「新しいものが売れる時代は終わった」と思っている人こそ、Brightlandのようなブランドの戦略を、自分のビジネスにも応用できるのではないだろうか。