第2章

そう、それは「テッテレー!」と何か大成功した音が鳴り響く勢いだった。
床に丸い切れ込みが入り、そこが開いて大きな穴ができたのだ。

穴から立て札を持った人が出てくることは無かったが...

今までドロップキックかましても、何をしても動くことが無かった
居住スペースで動きがあった。これは大きな進展だった。

この穴は、ぼくが通れるくらいの大きさだ。

まずは穴を覗く。
「もしかすると穴の向かい側から何かが飛んでくるかも慎重に覗こう。」

恐る恐る覗く。特に何も飛んでこない。
穴の中からはヒューヒューと風が通る音がして、先は真っ暗だ。

「怖ッ。」

よく見ると、手が届きそうな位置にはレバーがあり、掴めそうだ。

「掴んでみたらどうなるかな。でも怖ッ。でも風は来ているし...」

『床に穴が開いたーー!!!!!』

ぼくが独り言を言ったと同時に、どこかから聞き覚えのある2人分の声が聞こえてきた。相変わらずよく声を張る2人だ。

『や、うわぁーーーーー!』

すぐさま聞き覚えのある1人の叫び声が聞こえた。
ただ叫び声はどんどん遠くなって、聞こえなくなってしまった。

「今のはArizonaの方だな。勇気あるな。」

それに続くかのように

『面白そうだぁぁぁぁぁぁ!!!』

「今度は筋肉ばかの方だな。」

ぬくぬくと最低限の欲求を満たしてきて初めての出来事。
2人は速攻で変化に飛びついた。

「2人とも声が遠くなったし、真っ暗だし怖い。」

今まで生きてきて挑戦なんてして来なかった。
最低限の生活を送れて、そのまま終われば良いと思ってた。

でも16日間、自分との会話を毎日やっているうちに、
目標や夢、ぼくにもやりたいことがあることを思い出した。

「CH-19で自然を見たい!これだけは絶対に。」
「この気持ちがわかってしまったら、こんなところにずっといられない!」

そしてレバーを両手で掴む。

するとレバーが動き出し、穴全体にパッと明かりがついた。
ちょっと下に進むと、今度は前、上に方向を変えて進んでいった。

正確にはわからないけど、多分6分くらい進んだ。
そして少し光が見えてきた。
「出口か?」

そして着いたのは、また違う部屋。

そこには大きな丸テーブルと椅子が5つ、
さらに人のようなものが1つ立っていた。

”おはよう。私はスーアス、初めまして。”





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