ナナシ マハル

主に楽曲を題材にしたショートストーリーを掲載しています。

ナナシ マハル

主に楽曲を題材にしたショートストーリーを掲載しています。

最近の記事

THE BOHEMIANS「GIRLS(ボーイズ)」をもってすれば、こんなことも起きるかもしれない。

 ※以下は楽曲から想像した物語(フィクション)です。太字は歌詞引用。  アイラインを引く。  慣れていないせいか不安定に揺れるペン先をぎゅっと握りしめ、慎重に。  なんとか納得のいく仕上がりになったところで、詰めていた息がふっと洩れた。  鏡で確認すると少しだけ、ほんのわずかながらいつもより目に力が宿っている気がして、そのことに励まされ、次の工程に移ることにする。  またも口を引き結んで、今度は瞼の上にアイシャドウを乗せる。アイラインに引き続き、こちらも慎重に薄く塗り伸ばす

    • [ピロウズお祝い用]916をもってすれば、こんなことも起きるかもしれない。(ショートストーリー)

       9月16日。今日は特別な日だ。  目が覚めた途端、その思いが胸を満たす。昨夜特別早く寝付いたわけでもなかったのに、目覚めが良い。  カレンダーの日付に目をやって、気分よく着替えることにする。お気に入りのTシャツを頭からかぶる。  これといって予定はないが、言うなれば今日をこの気持ちのままに過ごすことが本日の予定なのだ。  誰もいないみたいだ。  朝方の公園は人気がなく、静まり返っている。風だけが前髪を揺らす。  珈琲を買いに行った帰りがけ、気分が良いので、通りがかりのベン

      • a flood of circle「花降る空に不滅の歌を」をもってすれば、こんなことも起きるかもしれない。

        ※以下は楽曲から想像した物語(フィクション)です。太字は歌詞引用。  一度座ったら立ち上がれなくなった。  信号待ちのほんの少しの間。そのつもりだったのに。  青。赤。青。  色が変わる度に人が溢れ、またせき止められる。  スクエア上の交差点、夕方、金曜日という3点セットが揃って、人通りは多い。足早に通り過ぎていく人々の姿を歩道脇の花壇の縁石に腰を下ろして眺めている。  早いところ会社に戻らねばと思うものの、なかなか腰を上げる気にならない。どうせ戻ったところで膨れ上がった報

        • LEGO BIG MORL「三月のマーチ」をもってすれば、こんなことも起きるかもしれない。

          ※以下は楽曲から想像した物語(フィクション)です。太字は歌詞引用。 「なんか、いつも降らない?三月の終わりって」  言ったそばから大粒の白い塊がアスファルトを埋めていく。さっきまで地面が見えていたのに、あっという間に白が世界を覆ってしまう。  「最後の抵抗なんだよ」  隣から呟かれた意表を突く言葉に思わず視線を向けるが、モスグリーンの大きな傘の下に隠れてその表情は見えない。対する私は薄いピンク色の傘をさしている。色合いの薄さが似ていて、二つ並ぶとなぜだか対のように見える。

        THE BOHEMIANS「GIRLS(ボーイズ)」をもってすれば、こんなことも起きるかもしれない。

        • [ピロウズお祝い用]916をもってすれば、こんなことも起きるかもしれない。(ショートストーリー)

        • a flood of circle「花降る空に不滅の歌を」をもってすれば、こんなことも起きるかもしれない。

        • LEGO BIG MORL「三月のマーチ」をもってすれば、こんなことも起きるかもしれない。

          ROTH BART BARON「MIRAI」をもってすれば、こんなことも起きるかもしれない。

          ※以下は楽曲から想像した物語(フィクション)です。太字は歌詞引用。  彼は祈る。  緊張した面持ち、気だるそうに見せたポケットに手を突っ込む姿、決意に満ちた眼差し、ステージ上では多種多様な佇まいの生徒たちが出だしの音を待っている。  ここ数年でかなり目立つようになった壇上の隙間に彼は唇を引き結ぶ。赴任したばかりの頃にはクラス毎の発表となると、あのひな壇に乗り切らないくらいに所狭しと生徒たちがひしめいていた。今は隙間ばかりがやたらと目立つ。  時の流れだ。仕方がないことだ。彼

          ROTH BART BARON「MIRAI」をもってすれば、こんなことも起きるかもしれない。