好きな喫茶店の看板猫が死んだ。 ライト商会という京極通りを1本入ったところにある骨董品を扱う喫茶店に堂々とした佇まいでその猫はいた。 言ってしまえば他所の猫だった。 又兵衛からしてみても私は他所の人間だっただろう。けど、又兵衛がいたから、そこに足を運ぶようになった。 私に居場所をくれてありがとう。 会社の先輩を連れて行った時には接待してくれてありがとう。私には見せなかったお腹も、人と行くと見せてくれて。一人で行った時にはつかず離れずの距離で同席してくれてありがとう。