カンリーがStoreHR総合研究所を設立した理由とは?
初めまして。株式会社カンリーです。
この度「店舗におけるHR課題をテクノロジーで解決する総合研究所」として、StoreHR総合研究所を設立いたしました!
記念すべき1本目の発信になるので、弊社がなぜ本研究所を立ち上げたのか、またどんな世界観を目指すのかなど、お伝えしたいと思います。
最後までお付き合いいただけましたら幸いです!
StoreHR総合研究所とは?
「StoreHR総合研究所」とは、飲食店をはじめとする店舗事業者におけるHR課題をテクノロジーで解決することを目指す研究所です。
「店舗におけるHRのtechの可能性を考えていく」ことをテーマに、例えば飲食店などこのマーケットで働くスタッフがより、この仕事に誇りを持ち、店舗で働く時間をより幸せな時間として費やせるようにStoreHRの領域を通して、事業と社会を一歩先に進めていくための機会を創ってまいります。
設立の背景
プレスリリースには、設立の背景を下記の通り記載いたしました。
せっかくなので、もっと詳しい話を本人たちからききたい!
ということで、本研究所の主要メンバーに改めて設立の理由など話していただきましょう!
主要メンバーご紹介
所長 萩野 貴拓
フェロー 田口 弦矢
“店舗”のあり方について考える
編集:今回、どのような経緯でStoreHR総合研究所を設立することになりましたか?
田口 :カンリーは「店舗経営を支える、世界的なインフラを創る」をミッションに日々事業を推進しているようですが、そもそも”店舗”ってどんな場所なのか、どういう機能を持つのかを考えてみました。
日本の店舗環境は大きな転換期を迎えています。
例えば、みんなの記憶にある駄菓子屋ってよかったよね。
萩野:町の子供達があつまる、良い場所でしたね。
田口 :あれは、単なる店舗ではなく、子供達や近所の人たちがいつも行き交う場所に出会った人等が集まるコミュニティでもあったと思うんだよね。同様に、いわゆる昔ながらの町中華もそう。近年、ラーメン屋さんは倒産件数は増加していると言われているが、いわゆる町中華の店舗数はラーメン屋ほどの現象のかわりがないと言われるのは、時流を捉えたメニュー構成もあるはずだけどそれだけではないと感じていて、町中華は、チェーンとは異なる雰囲気やお店でのおやっさんとの会話も魅力の一つだから、通うお客様がいる。なんというか、お店に求めるあり方が見えてくる気がするな、と。
一方で、かつての「駄菓子屋」や「町中華」が象徴していたコミュニティ機能は、一時期3rdカフェブームが増えたことで、町のカフェがその役割を補いはじめていた。今もそれは続いているとは思うけど、リモートの波で同時に多くの飲食チェーンのカフェ化現象も起きており、場所の意味が変わって今や急速に失われつつあると感じたりしていて。
効率の象徴とも言えるコンビニエンスストアは商品数が増え、常にセレクトされて効率追求の「工場」と化し、人間味は消えつつある。効率が上がり(店舗運営において効率はとても重要!)、より多くの人に利便性高く商品を届けることはできるようになったが、人が店舗で働く楽しさや関わりがいという点ではまだまだ課題が残されているのではないかな。
一時期、コンビニ内のカフェ化も広がったと思ったら、やはり機能の意味が違ったことでスペースが商品陳列に戻されるという現場にもなっている。
人が解する価値、を中心においた時、やっぱりお客様にとってもスタッフにとっても、何が価値で楽しさだったんだっけ、みたいなところから、もう一度考えてみるのはどうかなと思うんだよね。
萩野:それ、確かにそうですね。
興味深いのはなぜ「ラーメン屋が潰れているのに町中華は生き残っているのか」という点。その答えは、単なる効率性ではなく、人間が求める本質的な価値にあるように思えます。
今の店舗って両極化しており、効率化を極めたコンビニエンスストアは完全に工場。工場化されるコンビニの中で、その機械を操作するのが今のコンビニスタッフ。
田口:その逆張りが例えば高級オーベルジュのようなサービス特化型だとすると、町中華は中間くらいですかね。
萩野:そうですね。いわゆるチェーン店舗化はされていないけれど、最高級サービスまではいかない、個人のこだわりがでているお店。「こだわり」。
萩野:今後、効率化がどんどん加速する中で1と2が両極化していくだろうことを考えると、多分この中途半端なエリアに位置する店舗がなくなってくることも予想できる。その時、今の店舗従業員、特にアルバイトスタッフに求められている役割はこの両極端化する間に位置しそうですよね?この人たちを、もっと付加価値をつけて2に寄せていくことが、給料を上げる一つの方法のように思います。
田口:付加価値がつかないと、単価はあげられないですね。
萩野:ですよね。
そうすると、店舗のHR = StoreHRを語る・研究するとは、そもそも店舗のビジネスがどうあるべきか、を研究することであり、今後テクノロジーがあることで今のビジネスの殻をどう破っていけるのか!という議論をしなければならないのではないか、と思います。
田口:そうですね。
おそらく、僕らが研究したいのは「工場化モデル」ではなく「コミュニティ中心モデル」の方。ラストワンマイルをドローンで配送とか、AIを使ってお客さま判定する、ではなく、今の労働力をどうやって付加価値づけるのか、どうやってより多くの労働力を2寄りに持っていくのか、が思想に近いと思う。何をテックに頼り、どこを人に頼るのか。
どんな要素があれば、店舗で働く人も含めてハッピーで、お客さまもハッピーなのか。
目指す世界観
編集:「何をテックに頼り、どこを人に頼るのか」、面白そうです!
萩野:私たちが本当に向き合いたいのは、店舗における『人』の本質的な価値なんです。
時代背景も加味すると、物事が大きく変わるのは「技術の変革」か「社会人口動態の変革」が起こる瞬間です。AIの急速な進化が起きているこのタイミングで、人口の急激な変化が起きて人手不足になっている。この状態で、店舗は今ビジネスモデルと戦略の変化が求められています。テクノロジーやマーケティングの話は色々なところでお聞きしますが、意外と店舗に関わる”人”の話ってあまり語られる機会がないように感じます。そこに対して、我々がStoreHRを研究する専門的な会社として、何かしら一石投じられるよう頑張りたいなと思います。
田口:効率化は大切ですが、それは手段であって目的ではありません。
これまでのテクノロジーは、店舗運営の効率を上げることに注力してきました。これはこれでとても重要です。しかし、我々が考える本当に大切なことは「働くスタッフの価値」であり、「接客やサービスなどにあげられる、お客様に直接的に接することでしか届けられない仕事の楽しさ」ではないでしょうか。
萩野:なので、今後このStoreHR総合研究所では、未来のStoreHRに関するロードマップなんかもださないとですね!
編集:が、がんばりましょう…!(どきどき)
ちなみに、お二人が目指す世界観に近づけたとして、社会はどう変わるのでしょう?
萩野:一番分かりやすいのは、1人当たりGDPの向上ですね。
時給1,500円で働いている人の時給が3,000円になる、10,000円になる世界を作りましょう、という。
経済的な面に置き換えると、生産性の向上、でしょうか。
例えば、スイスに行くとちょっとしたモーニングだけで軽く5,000円くらいかかるけど、日本だったら500円程度で食べられるとして。この10倍の生産性の差がなんなのか、これを問うていかなければならない。
田口:結果時給が上がるのは、分かりやすく嬉しいよね。企業からすると、大変なことになってるんですけどね(笑)。人件費だけでなくて光熱費も食材費も上がってるし。だから、企業側も同時に課題を解決しない限り、特例は別として、結局給料だけを上げることは難しい。
じゃあ企業側の解決方法はなにか、というと、会社の方針(= どんな店で、どんな価値を提供したいのか)とテックの活用(= どこにテックを活用することで差別化するのか)だと思います。
萩野:”人”の付加価値を上げるために、そもそも企業のビジネスモデルを変えましょうってことですね。
極端な例え話をすると、チェーン展開しているカフェに入って夜お酒を頼むと2~3,000円で気軽に呑めるんですが、もしこれがスナックでママの接客をうけたとすると単価2~3万円軽く飛んでいく。要するに、チェーン店でスナックのママレベルの接客ができるビジネスモデルができれば生産性が10倍上がるよね、ってことですね(笑)!
最後に(編集後記)
いかがでしたでしょうか?
「私たちは、店舗における”人”の価値を再定義したい」と所長・萩野は話していましたが、まさに単なる効率化ではなく、人が解する価値を再定義することで、日本全体を元気にできると考えています。
これからStoreHR総合研究所では、店舗におけるHR課題をテクノロジーで解決することを目指して、市場の現状分析やトレンド調査をはじめ、さまざまなプレーヤーにお話を伺いつつ、未来を考えるためのヒントを発信していきたいと思います!
今後はいくつかの軸で関連情報を定期的にお届けできればと思いますので、ぜひまたいらしてくださいね!
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