タイムマシンを作ってみた
どらえもんの道具で私が一番欲しいのはタイムマシンだ。言ってみたい時代はたくさんある。唐代中国の長安の宮廷、ルイ14世時代のフランスパリ、古代ギリシャのアテネ、アッバース朝時代のバグダッド、19世紀ドイツなどなど。日本では江戸時代の江戸、大坂、京都は行きたい。当時の京都はびっくりするほどきれいだったと言う。江戸で歌舞伎を見たい。
しかしタイムマシンは恐らく実現しない。そこでタイムマシンがなくてもタイムワープをする方法を編み出した。
ここしばらくちょっと大げさに言うとゲルマン時代の8世紀イギリスにタイムワープしていた。中世初期のイギリスの歴史を勉強し、sutton hooなど当時の残された遺物をネットでたくさん見る。当時のイギリスを再現した『ベオウルフ』という映画のdvdを買って何度も見る。『ベオウルフ』は8世紀のイギリス最古の文学作品。その映画化だ。当時の料理は残っていないが、ミードという当時よく飲まれていた蜂蜜酒を取り寄せて飲む。VRでイギリスの自然を体験する。8世紀も現代も自然に関しては大きな変化はないと思う。木が伐採されているかどうか位の違いだろう。雰囲気はたぶん同じだ。
古英語も少し勉強した。8世紀に成立した『ベオウルフ』を古英語で少し読んでみた。文法をざっと目を通し、インターネット辞書であるwiktionaryの英語版で単語を調べていく。youtubeで復元された古英語の発音を何度も聞く。そして正確な発音を体に染み込ませたうえで同じフレーズを何十回も音読する。更に古英語を体に染み込ませる。もっともきわめる気はさらさらない。1ヶ月程度勉強してみるだけだが。
部屋の電気を消して真暗にする。映画『ベオウルフ』のゲルマン人たちの宴会の場面を思い出し、そこに自分がいるつもりになる。そしてyoutubeの文学作品の『ベオウルフ』の古英語での朗読を流す。Benjamin Bagbyが一番いい。当時の吟遊詩人が現代に甦ったかのようである。それを聴きながら蜂蜜酒ミードを飲む。バーレンメットのミードがいい。いい意味で粗野な感じがゲルマン民族っぽい気がする。
こうやって自分が得た8世紀イギリスに関する体験をすべて総合して体験する。8世紀イギリスのいろんな分野を勉強するとそれらは互いにつながっているので相乗効果が生じる。強烈なゲルマン人体験。当時のイギリスにタイムワープした気になる。心はゲルマン人だ。
タイムマシンがなくても感性と知識の相乗効果で色んな時代にタイムワープできる。歴史などの知識が骨格で、芸術文化が血肉だ。知識だけでは干からびてしまう。感性だけでは全体像が構成できない。全体像が見えないと相乗効果は生じない。
恐らく近い将来VRで色んな時代への疑似的タイムワープが実現できるようになると思う。そのようなソフトが開発されるだろう。しかし自分で歴史や言語などを勉強しておくとさらに深く理解できる。
西洋思想を勉強するにあたり、少し遠回りだが西洋の歴史文化を知っておいたほうがいいと思って勉強している。思想は歴史の上に乗っかっているから。